裁判官のプロフィール審査対象の
裁判官の顔ぶれ
弁護士出身・第2小法廷
草野 耕一くさの・こういち
- 昭和53年
- 東京大学法学部卒業
- 昭和53年
- 司法修習生
- 昭和55年
- 弁護士登録(第一東京弁護士会)
- 昭和61年
- ハーバード大学修士(LL.M.)
- 平成16年
- 西村あさひ法律事務所(当時の名称「西村ときわ法律事務所」)代表パートナー
- 平成19年
- 東京大学大学院法学政治学研究科客員教授
- 平成25年
- 慶應義塾大学大学院法務研究科教授
- 平成26年
- ハーバード大学法科大学院客員教授
- 平成30年
- 東京大学博士(法学)
- 平成31年
- 2月13日 最高裁判所判事
国民審査後の主な裁判での判断クリックで裁判の詳細記事へ
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10年前の逮捕歴わかるツイート 削除可能か
投稿の削除を命じる
(2022/06/24判決 第2小法廷)
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「結論と同じ 補足意見あり」
今回のツイートが男性のプライバシーを侵害していることは明らかで、削除によって生活の平穏を取り戻すことは法的保護に値する重大な利益だ。実名報道の第一の効用は制裁だが、刑の執行が完了している状況ではプライバシーを上回るほどの社会的利益があるとはいえない。
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福島原発事故 国の責任は
国に賠償責任はないと判断
(2022/6/17判決 第2小法廷)
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「結論と同じ 補足意見あり」
仮に長期評価を前提に国が規制の権限を行使して事故を防ぐための措置を命じ、東京電力が行ったとしても事故が発生した可能性はかなりあった。規制を行わなかったことと事故という結果に因果関係は認められない
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国民審査 海外在住日本人の投票認めないのは
憲法違反か「憲法違反」と判断
(2022/5/25判決 大法廷)
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「結論と同じ」
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福島第一原発事故で避難 東京電力の責任は
国の基準を上回る賠償額と東京電力の責任が確定
(2022/3/2、3/30決定 第2小法廷)
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「結論と同じ」
国民審査前の主な裁判での判断クリックで裁判の詳細記事へ
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「夫婦別姓」認めないのは憲法違反か
「憲法違反ではない」と判断
(2021/6/23決定 大法廷)
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「違憲」
選択的夫婦別姓を導入することによって向上する国民の利益は、減少する利益よりはるかに大きいことは明白だ。それにもかかわらず導入しないことは、あまりにも個人の尊厳をないがしろにしている。
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集団予防接種でのB型肝炎
“再発”の給付金減額は違法か「減額せずに賠償認めるべき」と判断
(2021/4/26判決 第2小法廷)
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「結論と同じ」
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同性の事実婚カップルが浮気で破局
慰謝料はどうなる?慰謝料支払い命じた判決が確定
(2021/3/17決定 第2小法廷)
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「結論と同じ」
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公園の「孔子廟」は憲法違反?
「憲法違反」と判断
(2021/2/24判決 大法廷)
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「違憲」
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2019年参院選の「1票の格差」は憲法違反か?
「合憲」と判断
(2020/11/18判決 大法廷)
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「条件付き合憲」
格差を大きく改善できる案としては大ブロック選挙区、自由区割りとする方法、比例代表選挙を廃止する方法などが考えられるが、これらの実施を国会に強いることはできない。現状を一応、合憲と認めた上で、投票価値の不均衡によって一定の人々が不利益を受けているという具体的で重大な疑念が示された場合には、違憲状態と捉え直すべきだ。
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2019年参院選で導入
「比例特定枠」は違憲?「合憲」と判断
(2020/10/23判決 第2小法廷)
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「合憲だが別の意見」
特定枠は「非拘束名簿式」の比例代表に、国民と候補者の距離が遠い「拘束名簿式」を導入するもので、導入にあたっては特性を十分に考慮する必要がある。ただし一部に導入すること自体が国会の裁量権の限界を超えるものとはいえない。
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医師免許なしでタトゥー
有罪か無罪か「無罪」と判断
(2020/9/16決定 第2小法廷)
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「結論と同じ 補足意見あり」
タトゥーの施術が医療行為だと解釈した場合、日本でタトゥーの施術を職業にする人が消失する可能性が高い。タトゥーの施術による保健衛生上の危険を防ぐため法律の規制を加えるのであれば、新たな立法によって行うべきだ。
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結婚後の性別変更
認めないのは憲法違反?「憲法には違反しない」と判断
(2020/3/11決定 第2小法廷)
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「合憲」
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諫早湾干拓事業
開門の是非は高裁で審理やり直すよう命じる
(2019/9/13判決 第2小法廷)
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「結論は同じだが別の意見」
開門のために国が支出しなければならない金額が開門によって回避できる損害額を上回り、漁業権の侵害行為で漁業者側が受けた損害を国が全額弁済していれば、特別な事情がない限り開門を強制することは権利の乱用にあたる。2審はこうした損害額などを具体的に認定しておらず、審理を尽くさせる必要がある。
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看護助手が患者死亡で有罪に 再審認めるか
裁判のやり直し認める
(2019/3/18決定 第2小法廷)
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「結論と同じ」
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就任時の意気込み
豊かで公正で寛容な社会を形成するために、微力ながらも全力を尽くしたいです。会社を立ち上げようとして失敗した人たちも再びチャレンジでき、安心してリスクに挑めるような社会の寛容さが維持されるために、職務を通じて役に立てたらいいと思います。また、人権に関わる法制度の構築にも力を尽くしたいです。
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裁判官へのアンケートより
自分の個性・信念が
最も体現した裁判や就任前の仕事裁判長として関与した令和2年2月28日第2小法廷判決(※NHKサイトを離れます)です。「福利のパイを大きくする」ということの意義を補足意見中において比較的明確に示し得たと思うからです。
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夫婦別姓や同性婚を求める
裁判など、社会の変化や
価値観の多様化に
どう向き合うか人がすでに形成されている価値観の下でよいと考える生き方を追求することを(その生き方が他者に危害をもたらし、あるいは、社会の倫理的基盤を揺るがすようなものであれば格別、そうでない限り)妨害しないという原則は憲法の求めている立法の基本理念であると思います。夫婦別姓の問題については大法廷決定に詳しい個別意見を付しました。
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性犯罪に関する法改正について
性犯罪の被害者団体の皆様が性犯罪の構成要件はもっと拡大されるべきであると考えるお気持ちは理解できます。他方において、犯罪の構成要件を拡げることは必然的に国民の私生活に国家権力が介入する余地を大きくすることを意味することを考えると犯罪の成立要件を緩和することには慎重であるべきだという視点も大切であると思います。現行の法制度(民事訴訟制度を含む)に使い勝手が悪い部分があるとすれば、どこをどのように改めたらよいのか、専門家の皆様の間で議論を深めていただきたいと思います。
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再審をめぐる現状について
刑事訴訟法上再審請求を求め得る理由は限定されており、無罪を言い渡すための再審開始決定がなされるためには、無罪と認めるべき「明らかな証拠」(証拠の明白性)が「新たに発見」される(証拠の新規性)ことが必要です。証拠の明白性と新規性の意義についてはかなり弾力的な解釈がなされるようになってきていますが、再審の開始決定を得るためには高いハードルをクリアしなければならないことに変わりはありません(そして、このハードルの存在自体は訴訟制度を維持するために必要なことであると考えます。)。冤罪を防ぐという目的のためには、何よりも、通常の刑事裁判における審理を充実させることが重要であると思います。
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審理のネット中継など
国民に開かれた司法へ
工夫できること「これならうまくいくだろう」と思える具体案は目下のところ持っていません。この問題については、引き続き考えていきたいと思います。
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ネット関連訴訟も増加。
自身のネットとの向き合い方はインターネットは書籍の購入と外国語の勉強以外の目的にはほとんど使っておらず、SNSもたまにちらっと見るだけです。
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最近うれしかったこと
腹立たしかったこと嬉しかったことは、夏のオリンピック・パラリンピックにおいて、コロナ禍の中、無観客での開催となったにもかかわらず、日本選手団の皆様が大活躍されて目覚ましい成果をあげてくれたことです。特に腹立たしいと思ったことはありません。
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趣味
一番の趣味は「勉強」です。若いころはそうでもありませんでしたが、年を重ねるにつれて勉強が好きになってきました。50代の時には数学や経済学の勉強に励み、還暦を過ぎてからは、記憶力の低下を嘆きつつ、フランス語と歴史(特に英仏の近世史と日本の中世史)の勉強を続けています。
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最近印象に残った本や映画
望月哲男氏の訳によるトルストイの『アンナ・カレーニナ』は、物語の面白さもさることながら、訳文とはとても思えない文章の美しさに感動しました。現在は、同じく望月氏の訳によるトルストイの『戦争と平和』を少しずつ読み進めています。
就任時の記者会見より(音声はありません)