審査対象の11人が
関わった主な裁判裁判の一覧へ

2020年11月18日判決2019年参院選の「1票の格差」は憲法違反か?

どんな
裁判か

  • 2019年7月の参議院選挙でいわゆる1票の格差が最大で3.002倍だったことが法の下の平等を定める憲法に反するかどうかが争われた
  • 最高裁は15人の裁判官による大法廷で審理し「合憲」と判断
  • 15人のうち10人が「合憲」、ほかの5人は個別意見や反対意見を書いた

2019年7月の参議院選挙は、選挙区によって議員1人あたりの有権者の数に最大で3.002倍の格差があり、2つの弁護士グループが法の下の平等を定めた憲法に違反するなどとして選挙の無効を求める訴えを全国で起こしました。
最高裁判所大法廷は判決で、「格差のさらなる是正を図る国会の取り組みが大きな進展を見せているとは言えない。しかし、合区の解消を強く望む意見もある中で、合区を維持してわずかではあるが格差を是正していて、格差を是正する姿勢が失われたとは言えない」と指摘し、憲法に違反しないと判断しました。

格差が最大3.08倍だった前回・2016年の選挙に続いて、3倍程度の格差を再び「合憲」とする判断でした。
「合憲」の判断は15人の裁判官のうち10人の意見で、ほかの5人は個別意見や反対意見を書いています。「条件付きで合憲」が1人、「違憲状態」が1人、「違憲」が3人(うち今回の国民審査の対象は1人)でした。

この裁判についての最高裁判所の資料はこちら(資料①資料②
(NHKサイトを離れます)

審査対象の裁判官たちの判断は

  • 深山 卓也

    合憲

  • 林 道晴

    合憲

  • 岡村 和美

    合憲

  • 草野 耕一

    条件付き合憲

    格差を大きく改善できる案としては大ブロック選挙区、自由区割りとする方法、比例代表選挙を廃止する方法などが考えられるが、これらの実施を国会に強いることはできない。現状を一応、合憲と認めた上で、投票価値の不均衡によって一定の人々が不利益を受けているという具体的で重大な疑念が示された場合には、違憲状態と捉え直すべきだ。

  • 三浦 守

    違憲状態

    3倍程度の格差は1人1票という選挙の基本原則や、投票価値の平等が国民主権と議会制民主政治の根幹に関わるものであることを考えると、大きいと言わざるをえない。合区が維持されたからと言って著しい不平等状態を正当化できる事情にはならない。

  • 宇賀 克也

    違憲

    選挙権が国民主権の基礎となる極めて重要な権利であることに照らせば、国会は1票の格差がない状態をデフォルトとして制度設計しなければならない。参議院選挙での1票の価値の不均衡を衆議院選挙よりも緩やかに認める根拠は存在しない。地域代表の必要性を理由としても、正当化は困難だ。

ほかの裁判・記事クリックで詳細記事へ