2023年04月14日
エントリーシートを何回書いても、ガクチカ(=学生時代に力を入れてきたこと)がいまいち、しっくりこない…。こんな時はまわりの人に意見を聞くのも1つの手だといいます。マイナビの高橋誠人編集長に詳しく聞きました。
(聞き手:西條千春 藤原こと子)
学生
藤原
自分のまわりを見ても、1年生の時からコロナ禍で部活動や課外活動が思うようにできなかったという理由からガクチカを考えるのに苦労している人が多いと思います。
ガクチカといえばアルバイトかサークルか、というようなイメージがあるのかもしれませんが、実はそうでもなくて。
マイナビ
高橋誠人編集長
例えば、コロナ禍以前でも、滋賀県から大阪府の大学に片道2時間かけて通っていたのでアルバイトやサークル活動をする時間がありませんでした、というような人もいました。
高橋誠人編集長
2002年にマイナビに入社。10年間、マイナビの学生向け広報事業に携わったあと、営業の現場で企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。2018年より現職。
でも、月に平均30冊くらい本を読んでいます、とか、毎朝5時に起きて2時間TOEICの勉強していましたというガクチカあったらどうですか?
学生
西條
すごいと思います。
そうですよね。
同じように、コロナ禍でもみなさん、まったく何もしてこなかったわけじゃないと思うんです。
何かしらに取り組んできたんですけど、それが自分の中では当たり前の習慣になっていて、これはガクチカじゃないよねって決めつけてしまっている可能性があります。
自分が当たり前にやってきたことは過小評価しがちです。
他者から見たら十分ガクチカにできることに気がついていないことも多いので、一人で悩まずに周りに意見を聞いてみたほうがいいと思います。
意外と「これやってたじゃん!」って答えがすぐに返ってくるかもしれないですよ。
自分でやってきた、続けてきたって思うことがあれば、サークルやアルバイト以外でも書いても大丈夫なんですね。
大丈夫です。
あとは、やってきたことがひと言で言うと、現在自分が持っているどういう力につながるのか。
たとえばそれが「継続力」なのか、それとも「忍耐力」なのかっていうところまで言えると良いですね。
やってきたことを客観視して、そこから自分の特性が抽出できれば十分ガクチカとして使えると思います。
部活やサークルのことを書きたいけど、特に何の役職にも就いていなかった場合は他の人とどう違いを出していけばいいのでしょうか。
正直に言うと、あまり企業は役職は気にしていないと思います。
そうなんですか!
就活生の中には部長や副部長をやっていた人はたくさんいますからね。
役職に就いていたから魅力的に映る、ということはないと思います。
では、どこを見ているんですか。
どの役職が良いとかではなくて、どういうことをやってきたかです。
企業は役職よりも、その学生が「どのように学生生活を過ごしてきたか」が気になるんですよね。
なるほど。
役職の話をしてはいけない、ということではありませんが、なぜその役職になったのかというところが気になります。
例えば、会計係をしていたとして、じゃんけんで負けたからという人もいれば、会計の勉強をしていて実践で試したいという動機がある人もいますよね。
役職にこだわる必要はなくて、役職があってもなくても自分が何をやってきたのかをきちんと整理して伝えることができればいいと思います。
どういうことを意識して書けばいいですか。
例えば、部活の大会で全国三位になったという経験があったとしても、その結果だけ書いていたのでは不十分です。
結果ではなく、そこに至るプロセスや自分がどういう理由でそれに取り組んだのかが大事なんですね。
取り組む前と後でどう変わったのか、どう成長したのかというのが分かれば、それはガクチカとして使えます。
ガクチカは、自分がどう成長したのかや今後の成長のイメージを伝えるためのエピソードなんです。
それを伝えるために、どんなプロセスでその経験をやり遂げたのか、それでどう成長したのかを書く。
そういうことです。
結果がどうこうじゃなくて、自分がその経験を通してどう変わったのかを客観的に説明できればいいと思います。
例えば、それが料理だったとします。
料理を本格的にやってみようと思って1年半取り組んだ結果、段取りが一番大事だと思ったし、物事はなんでも準備とプロセスが大事だと思った。
それを仕事でも生かしたいと言う人がいたら、この人は絶対に仕事ができるなって気がしませんか?
計画的に仕事をしてくれそうです。
本当にどんなことでもいいんです。
自分が取り組んできたことを客観的に振り返って、できれば他の人の評価も聞いてみる。そうすればガクチカは書けると思いますよ。
はい!
企業に合わせて本来の自分とは違うガクチカを作る人もいると聞いたことがあるのですが、これはいいのでしょうか。
実はよく聞かれる質問なのですが、絶対にばれます。
企業の担当者は毎年何百人、何千人と学生を見ているので、ガクチカの人物像と学生本人がかけ離れていたら、違うなっていうのは分かります。
仮に演じた自分で内定をもらっても、就職したあとが長いじゃないですか。
例えば、本来おっとりした人が「私にはリーダーシップがあります」って言って、選考の時だけめちゃくちゃ元気に話して内定をもらって、そういう力が必要な部署に配属されたらしんどくないですか。
しんどいです。
就職後のことを考えてもその人本来の長所が発揮できる仕事に就いた方が良いと思いますし、企業も変化の激しい時代に柔軟に対応していくために、多様な人材を必要としています。
自分に合う会社は必ず見つかるので、企業に合わせて自分を作ったりはしない方がいいです。
自分のためにも、偽ることなく。
本来の自分に合った企業や仕事に就いた方が、その後の社会人生活を考えると良いと思いますよ。
ありがとうございます。
就活本番対策シリーズ、次回は「適性検査」についてお伝えします。近日公開予定です。
撮影:正木魅優・藤川弥央 編集:谷口碧
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