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職場が“ゆるくて”辞める?!令和時代のキャリアとは

2023年11月22日

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今、「職場が“ゆるい”」という理由で仕事を辞める若手社員が増えているそうです。その背景にある「新しい安定志向」とは?若者のキャリアについて詳しいリクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員に聞きました。

「ゆるくてやめる」に見える「安定志向」とは?

こちらはリクルートワークス研究所が、去年、従業員1000人以上の会社の1~3年目の社員を対象に行った調査の結果です。

「現在の職場を“ゆるい”と感じるか」という質問に対して、およそ36%が「あてはまる」あるいは「どちらかと言えばあてはまる」と回答しました。

そして「現在働いている会社でどのくらい働き続けたいか」と尋ねたところ、職場が“ゆるい”と感じていると答えた人ほど、継続して働く意向が低い=離職の意向が高い結果になったとしています。

こうした若い人たちからはこんな声が聞かれているといいます。

「自分は別の会社や部署で通用しなくなるのではないかと感じる」
「学生時代の友人や知人と比べて、差をつけられているように感じる」

調査にあたったリクルートワークス研究所の古屋星斗主任研究員は、こうした動きの背景にひと昔前とは異なる「新しい安定志向」があると指摘しています。

古屋主任研究員
「10年ほど前まであった“大きな会社、有名な会社に入る”、“公務員になる”といったような安定志向が変わってきたと感じている。転職や副業、学び直しなど、職業人生の選択肢が増えたことで、「自分に経験・スキルがある」、「いろいろな知り合いがいる」など、自分に蓄えられたものがあって初めて、自分の人生が穏やかになるという、いわば『新しい安定志向』が裏打ちした成長期待だと感じている」

不安はいいこと

SNSで常にまわりの人たちとつながっている昨今、友人たちの近況が絶えず流れてきておのずと自分の状況と比べてしまう。社会人に限らず、こんな悩みを抱えている人ってたくさんいますよね…。

こうした状況で不安や焦りを感じるのは致し方ありません。

古屋さんは、そんな気持ちのベクトルを前に向けることを意識してほしいと話しています。

古屋主任研究員
「不安に思う、焦る、モヤモヤするということはとてもいいことです。その気持ちがあるだけで実はもう1歩進んでいるんです。『今うまくいっています』という社会人に話を聞くと、不安や焦りがあって、そこから何か試してみて、徐々にキャリアは広がっていったと話す人が多い。だから、モヤモヤを燃料にして、その先に楽しくて豊かなキャリアを作っていけるはずです」

上司はどう感じている?

こうした状況の中、若い社員たちとどう接するかについて悩んでいる管理職が増えているようです。

実際に20代の部下を持つ管理職1000人あまりに、育成上の悩みを聞いた調査結果を示したのが次の図です。

75%以上が「若手が十分に育っていない」と感じていて、およそ65%は「このままでは職場の若手が離職してしまうと感じる」と回答しています。

その理由を尋ねると、多くが「自分の育てられてきたやり方で、部下・若者を育てられない」という悩みを抱えているそうです。

しかし、職場環境やキャリア観が大きく変わる中で、古屋さんは「上司は若い人たちにとってロールモデルになりえない」と指摘しています。

転職することを前提として捉えて「1つの会社でバリバリ働く」ということにピンと来ない、そもそも「社内にロールモデルを求めていない」と考える人が増えているからです。

じゃあ、管理職はどう若手にふるまえばいいの!?そんな悩みを抱えている人はこちらの記事をご覧ください。対処法について、詳しく解説しています👇

あわせてごらんください

「ホンネ」で話を

若い世代にとって「上司は正解になりえない」。一方の上司は「自分のように育ってほしい」と若手を育成しようとする。

そんな状況の中、どうすれば上司とうまくコミュニケーションをとることができるのでしょうか。古屋さんは「お互いにホンネで話ができるかどうか」がポイントだとしています。

仕事の負荷が軽い=「職場がゆるい」と感じるならば、その思いをしっかりと伝えることで、より成長を実感できる仕事が割り振られるかもしれません。逆に、もし仕事の負荷が重いと感じているのであれば、サポートを手厚くするなどの対応をとってくれるかもしれません。

本来は上司からホンネを聞き出しにきてほしいけど、どうもそんな様子がない…。そんな時は、思い切って自分から仕事の悩みを切り出してみるのも1つの手かもしれません。

互いに歩み寄って、ホンネで話せる環境があることが、よりよい職場につながっていくことになりそうです。

古屋さんに20代のキャリアの作り方について詳しく聞いた記事も、合わせてご覧ください👇

あわせてごらんください

こちらの記事は11月1日のNHKラジオ第1「NHKジャーナル」で放送した内容をもとに編集しています。音声で聞くには👆の画像をタップしてください。

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