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“入社してすぐ転職サイト登録の新社会人”が急増!? その訳は…

2023年10月26日

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「すぐに転職するわけじゃないけど、転職サービスには登録しておこう」。そんな新社会人が増えているようです。中には、入社してすぐに転職サイトに登録する人も。こうした動きの背景について考えます。

10年で30倍? 転職サービス登録の新社会人

まずは、大手転職サイトを運営するパーソルキャリアが行った調査を見てみましょう。以下は、自社のサイトに4月に登録した人数の推移をまとめたグラフです。

コロナで2020年に減ったものの、その後、また増加へ

ご覧のように、全年代と比較し、ここ数年で登録者が急増。10年ほど前に比べると、その数は30倍近くに上っています。

入社したばかりの4月にいったい、どうしてなんでしょうか。

20年あまりにわたって若者の就職や転職サービスにかかわっているパーソルキャリアの桜井貴史さんは、ここ数年で若い世代の働くことに対する価値観が大きく変わってきていることが影響していると指摘しています。

どういうことなのか詳しく聞きました。

若い世代の価値観 どう変わった?

まずは「転職への考え方」についての変化です。

パーソル総合研究所が、20歳から24歳の働く人たち300人あまりを対象に行った調査では転職を“ポジティブなもの”と捉える傾向が、以前にも増して強くなってきているとしています。

年代を問わず人材の流動性が高まるなか、言い換えれば「転職するのが当たり前」の時代になってきた中で、自分の最初の就職先を「ファースト・キャリア」と位置付けて、あらかじめ転職を自分の成長のための選択肢として捉えている人が増えているそうです。

次に、キャリアそのものに対する意識の変化について見ていきます。

以下は、先ほどと同様の20歳から24歳の働く人たち300人あまりを対象に行った調査で、「仕事を選ぶうえで重視すること」を尋ねた結果のうち、4年前(2019年)の調査と比べて増えた項目です。

スキルや経験を重視し、成長を求める傾向が強くなっていることが見て取れます。

こうした回答が増えていることについてパーソルキャリアの桜井さんは、若者たちが抱く働く将来への不安の気持ちが背景にあるのではないかと分析しています。

doda副編集長 桜井貴史さん
「今の若い世代は働く将来に対する不安から、自分自身が市場価値を上げていかないといけないと自然に考えるようになった世代と言えます。自分で雇用を守るために加え、自分らしく働く、つまり、やりたい仕事を自分が望む働き方でこなすためにも、スキルや市場価値を求める傾向にあるとみています」

「VUCA時代」とも言われる先が読めない時代の中、すぐには転職を考えていなくても、市場で求められるスキルや経験について情報収集を行い、自身の成長につなげていこうと考えている若い世代が増えているということなんだそう。

このようなことが、4月の入社してすぐの時期に、転職サービスに登録する人が増えている理由だと考えられるそうです。

自分のキャリアどう作る?

こうした価値観の変化に合わせて、企業の採用活動も変わってきています。

実務を交えたインターンが採用に直結する動きや、学生の希望や適性を踏まえて担当する業務領域を確約する動きも出ています。

また、どこの部署に配属し、どんな業務を任せることになるのかだけではなく、得ることのできる具体的なキャリアパス(どんなスキルや経験が身につくか)を入社前の段階から明示していく企業も増えているということです。

最後に、自分の将来のキャリアを描いていくためのアドバイスをもらいました。

doda副編集長 桜井貴史さん
「なかなか自分にあったキャリアビジョンが見つからなくて困っているという人がたくさんいると思いますが、焦る必要はありません

自分らしく生きるということは、職種や業界ではなく、「どういう時に自分が心地よいか」「どういう瞬間に自分は一番うれしいと感じるか」というようなことにほかなりません。

ですので、実際に働いてみないと分からないこといっぱいあるんです。

キャリアは悩みながらずっとチューニングしていくものだと考えてください。

学生時代のうちから、積極的にふだんと違う集団の中に身を置いてみたり、違う経験をしてみたりするよう心がけていると、世界がより広がって自分のやりたいことが見つかりやすくなるかもしれませんよ」

自分のキャリアを考えていくためには、まずは「自分を知る」ことが大事になってきそうです。

こちらの記事は10月2日のNHKラジオ第1「NHKジャーナル」で放送したものです。音声で聞くには👆の画像をタップしてください。

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