内定を出した学生が、本当に入社してくれるのだろうか…

夢に出るほど人事担当者を悩ませる、学生の内定辞退。

背景には新型コロナやオンライン化の影響がありました。

(ディスコ「2022年卒・新卒採用に関する企業調査―中間調査」より)

【内定辞退にうなされる】

就職情報サイトを運営するディスコは、22年卒の学生の採用活動について「中間調査」として、企業を対象にアンケートを行いました。

調査では人事担当者の率直な思いをしたためた川柳も募集しました。

新型コロナウイルスの影響を受ける2年目の採用活動で大きな課題が、内定辞退のようです。

(※ここでは、「内々定」も含めて、「内定」と表記します。)

【内定辞退が増加】

22年卒の学生について、前の年と比べて内定辞退者が「増えた」という企業は34.3%。

「減った」という企業は16.1%で、「増えた」という企業が「減った」という企業の倍以上にのぼりました。

「増えた」という企業は、新型コロナの影響を受ける前の20年卒と比べても4.1ポイントの増加です。

【内定早期化が影響】

なぜ、内定辞退者が増えているのでしょうか。

要因のひとつが「内定出しの早期化」です。

年々選考の早期化が進み、22年卒の採用面接の開始時期を聞いたところ9割以上の企業が、政府のルールでは採用面接の解禁日とされている6月1日よりも前に面接を始めています。

さらに、面接の開始どころか内定出しも早まっています。

内定を出し始めた時期を聞くと、3月下旬から4月下旬にかけてが山場になっていて、4月下旬には最も多く13.7%の企業が内定を出し始めたと答えています。

この4月下旬までに内定出しを始めた企業を足し上げると59.5%に上り、半数を超えます。

新型コロナの影響がなかったおととし20年卒の採用と比べても4.8ポイント増えていて、内定出しの早期化が一段と進んでいることがわかります。

企業は面接～内定出しを早くすることで、同業他社よりも先に自社のことを認知してもらい、広く応募してもらうことがねらいだとみられます。

ただ、早期に内定が出てしまう分、過去と比べてもこの時期の内定辞退者が増えているとみられます。

【オンライン採用の加速も影響】

22年卒については8割を超える企業がウェブ面接を行うなど、採用活動のオンライン化が加速しました。

その結果、内定を出すまでに「ほとんどの内定者と対面で会ったことがない」という企業は20.4%、「対面で会ったことがない内定者の方が多い」という企業は10.5%と、一度も学生と対面することなく内定を出さざるを得なかった企業も少なくありませんでした。

一方で、一度も対面せずに内定を出すことについては、あわせて9割近くの企業が「抵抗がある」としています。(「とても抵抗がある」57.2%　「やや抵抗がある」31.5%)

企業にとっては、オンラインだけでは学生の企業や仕事への理解が深まらず、就職への決め手に欠けてしまうことが課題です。

とはいえ、オンライン化で学生との接触の機会が増えているのは事実で、オンラインでの工夫も凝らしていました。

【学生の選択肢が増加】

調査の担当者は、学生は新型コロナの影響でより多くの企業を受けるようになったのではないかと指摘しています。

背景にはコロナの影響で企業が採用数を抑えるのではないかという不安や、オンライン化が進んだことで場所にとらわれずに企業説明会などに参加できるようになったことがあるようです。

(対象:全国の主要企業　回答:1220社　調査期間:2021年6月28日～7月6日)