科学と文化のいまがわかる
文化
2022.02.09
アメリカ映画界、最高の栄誉とされるアカデミー賞。
最も重要とされる作品賞をはじめ4つの部門で候補としてノミネートされたのが映画「ドライブ・マイ・カー」です。
村上春樹さんの短編小説が原作のこの映画。
実は、多くの場面が広島県内で撮影されました。
アカデミー賞への期待と、ロケ地に選ばれた背景を、広島で取材しました。
広島県呉市の大崎下島では、舞台俳優の主人公が、公演を前に宿泊する場面が撮影されました。
島の人たちからは、こんな声が聞かれました。
「ちらっと見た、西島さんをここで」
「そりゃもう、ぜひ受賞してもらえたら、うれしい」
アカデミー賞への期待は、ほかのロケ地でも高まっています。
その1つ、広島市安佐南区の安公民館では、映画のロケにちなんだ写真展が開かれています。
安公民館の駐車場などで撮影が行われたからです。
公民館の為政久雄さんたちは、訪れた人に映画の雰囲気を楽しんでもらいたいと考えています。
(為政久雄 社会教育主事)
「おととしの12月にロケがあったときの撮影風景をパネルで展示しました。駐車場を使いながら名シーンを撮っていただくことができました。ロケが行われたところを、たくさんの人が見に来てくれるんじゃないかなと思ってすごく期待をしています」
広島県内のロケ地は、およそ20か所に上りました。
当初、この映画は韓国で撮影される予定だったそうです。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中止となり、撮影場所の候補に複数の都市の名前が挙がりました。
映画の撮影に協力する団体、広島フィルム・コミッションの西﨑智子さんは、なんとかロケを誘致しようと、濱口監督を広島に案内しました。
(西﨑さん)
「まだ台本が出来ておらず、広島が選ばれるかどうかも分からない段階で、監督に『ちょっとおもしろい場所に連れて行ってほしい』って言われました。よりどころがないんですけれど、もう自分の好きなところにっていうことで、ご案内させていただきました」
西﨑さんが案内した場所の1つが、広島市の中区にあるゴミの焼却施設「中工場」です。
西﨑さんは、このゴミ焼却施設が広島市の平和公園へとつながる「平和の軸線」の上にあると紹介し、それが広島が選ばれる決め手になったといいます。
(西﨑さん)
「傷を負った男性が再生していく物語なので、傷を背負った広島が復興を遂げているっていう、そういった町はまさにぴったりだと思うと、監督はおっしゃっていました」
広島の景色がたくさん登場する「ドライブ・マイ・カー」。
西﨑さんも、アカデミー賞の受賞に期待を寄せています。
(西﨑さん)
「広島で撮っていただいたので、すべて宝物なんですけど、海外で受賞するごとに、国内外でどんどん観客の数が増えていくのがうれしい。広島の魅力が、映画を通じて多くの人たちに伝わるといいなと」
ノミネートが発表されたあと、西﨑さんのもとには広島県内のロケ地などから喜びのメッセージが寄せられたそうです。
ロケ地の人たちは、受賞の発表を心待ちにしています。
NEWS UP「ドライブ・マイ・カー」濱口監督 アカデミー賞ノミネート会見で心境語る
NEWS UP演技なのか、ドキュメントなのか 世界を魅了!「濱口メソッド」
NEWS UP岩波ホール閉館へ 映画文化への“窓”の喪失
NEWS UP園子温さん、今回の映画はどうしてこうも“ピュア”なんですか?
NEWS UP映画を止めるな!若手監督たちの挑戦
ご意見・情報 をお寄せください