2022年04月04日
「私的には」、「○○みたいな」、「○○のほう」・・・。ついつい使ってしまうことば。でも、面接の時にはふさわしくないと指摘される表現も。面接本番、改めて気をつけたいことばづかいを確認します。
(聞き手:小野口愛梨 梶原龍 本間遥)
注意すべきことばづかいを教えていただきたいです。
まずは「ら」抜きことば。
「食べれる」は「食べられる」。
「ら」をきちんと言いましょうということですよね。
注意します。
美土路 雅子さん
キャリア・コンサルタント。秘書経験をいかし、企業の人材育成研修や大学での講演等に携わる。著書にマイナビofficial就活BOOK『要点マスター!就活マナー』など。
よく指導させていただくことばとして、婉曲表現、ぼかしことばというものがあります。
なぜいけないかというと、婉曲表現、ぼかしことばってノイズ、雑音なので、話に集中できなくなるんです。
最近多いのが「とか」。「とか弁」って言うそうです。
例えば、OBOG訪問の前に電話をかける時に「ご都合とかよろしいでしょうか」ってつい言ってしまうんですね。
言ってしまいます。
同じような感じで、「○○みたいな」という表現もぼかしことば。
あと「私的には」。
「私的にはこちらで十分です」と言ってしまうんですけどね。
「的」というのも結局ぼかしているので、「私は」と言ったほうがいいですよね。
なるほど。
あとは、「○○のほう」というのも。
例えば「AよりもBのほうが低い」とか、「北のほうから冷たい風がふいてきた」など、比較級や方角を表す時は使うのですが。
それ以外の「のほう」はいらない「のほう」だと思うんですね。
いらない?
私が今までで一番これはすごい使いようだと思ったのは、ホテルのチェックインをしたときに・・・
「美土路様、こちらの用紙のほうに恐れ入りますがお名前のほう、できればフルネームのほうでお願いいたします。よろしければ、今後ご案内のほう、ご郵送のほうをさせていただきたいと思いますので、こちらのほうにご記入のほうをよろしくお願いいたします。こちらペンのほうでございます」
すごい(笑)
驚かれるんですけど、これはいままでで最高でした。
あと1つ、「○○になります」という表現も婉曲表現ですよね。
だめなんですね。
だめということではないですが、口癖で出てしまうんですよね。
例えば、「最寄り駅は○○駅になります」。
「○○駅です」と言えばいいと思うんですが、社会の大人たちも結構使ってますよね。
ほかに気をつけるべきことばづかいはありますか。
「~っていうか」や「てか」ということば。みなさんお友達との間で使いませんか?
使います。
本来は「というよりも」という逆接ですね。
でも、全然逆説じゃないのに「~っていうか」って言ってませんか?
言ってます…!
お友達同士だったら違和感が無いと思いますが、「~っていうか」と言われると「~といいますか」と言われているように感じる人もいるんですね。
でも続きを聞いてみると、全然反論じゃないじゃないということが多いので、そんなふうに思われるのはもったいないですよね。
その表現だけで損してしまうんですね。
まるっきり反論じゃないんだけど、自分はこう言ったんだよということを伝えたい時に使っている、曖昧さの中で自己主張しているような表現ですね。
面接でも絶対ふだんの表現が出てしまうので、「~っていうか」という表現はこれから改めていくしかないかなと思います。
ふだんから意識していかないといけないですね。
「~でよろしかったでしょうか」と言う表現も気になります。
これは、相手が今言ったことをそのまま過去形で確認するという表現ですが、相手には自分が言ったことを否定されたというような印象を与えます。
そもそも変な日本語なので、「~でよろしいでしょうか」という表現をお勧めはします。
ふだん「すごく」とか、「まじ」とか「めっちゃ」とか使ってしまっていて。
「まじ」と「めっちゃ」はさすがに面接で使わないとは思うんですけど、「すごく」は使ってしまいそうで。
使ってもよいと思うんですが、「すごく」というのは話しことばなので、「非常に」とか「大変」、「とても」という表現がいいと思います。
丁寧なことばを使おうと思うと、ことばが出てこなかったりするのはどうしたらいいですか。
ちょっと言い間違えたとか、ちょっと丁寧じゃないことばを使ってしまうことがあっても、それはいいんです。
いいんですか。
それで「失礼いたしました」と言って言い直してもいいんですが、自分らしさがなくなってしまうので。
ただ、基本のことばを知っておいたほうが自分が楽ですよね。だから基本の覚えるべきことばというものは頭の中に入れて、ふだんから使ってみる。
そうすると、ことばに敏感になって周りのことばが気になってくる。
例えばある人のことばを聞いて、この人「になります」使ってるとか、そういうことが気になるようになったなと感じるのが第一歩だと思います。
なるほど。
さじ加減が難しいかもしれませんが、きちんとした表現が自然に出るように、自分で基本のことばを覚えて使い、余分なところはカットしていくことを積み重ねるのが大事です。
あとは、もし自分が面接官だったら学生をどう見るかという視点を持てば、じゃあこうしたらいいなっていう答えにつながったりするかもしれません。
丁寧なことばづかいをしても堅い印象を持たせないように、自分らしさを出すためにはどうしたらいいですか?
表情をたくさん出すと自分らしさが出やすいと思います。
一生懸命に敬語を使おうとカチコチになっちゃうかもしれませんが、ぜひ明るい表情で、笑顔で自分をプレゼンテーションしていただくといいかなと思います。
私もひとつ気になったことがありまして。
ありのままの自分を見せることが、相手にも人柄を想像してもらえるんじゃないかなって思うのですが・・・
ありのままのことばづかいは、やっぱりよくないんですか。
ありのままっていうのは多分、自己PRや実際のエピソードで伝わると思います。
そこで自分らしさって十分出せると思うんですよね。
ですので、別に堅苦しく全部を敬語で固めようということではなくて、道具としてきちんとしたことばを使ってもらえるとよりよいかなと思います。
なるほど!話の内容で自分らしさを出して、相手に敬意を表すために丁寧なことばを使うのが大事なんですね。
編集:谷口碧 撮影:堀祐理
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