2021年12月03日
学生が気にしていることって、実は、企業側からみれば、本当にささいなことだったりすることがあります。シリーズ「人事の目線」は、そんな就活生の考えと企業側が求めていることの「ズレ」を、企業の採用担当者の話を通じて明らかにしていきます。
今回は、前回に引き続きESにまつわるホンネを語ってもらいました。よくウワサにのぼる“学歴フィルター”についても、学生リポーターが単刀直入にギモンをぶつけてみましたよ。
(聞き手:梶原龍 白賀エチエンヌ)
前回は“良いエントリーシート(以下ES)の条件”をお聞きしました。今回は“通らないES”についてお話をお伺いします。
パッと見て「これはちょっと通せないな」とか「これは不十分だな」って思うようなESに共通するポイントってありますか?
サイバーエージェントでは会社説明動画をご視聴いただき、感想をお伺いする質問を設けています。
そこで、明らかに弊社のことを調べていないような回答だったり、テンプレートのような回答があったりした場合は、申し訳ないですが見送りをさせていただくケースがあります。
そういうESって、パッと見て分かるものなんですか。
しっかりと隅々まで拝見しているのでわかります。
なかには「他の業界のことかな?もしくは同じIT業界でも他社のことを書いているのかな?」などと感じられるようなESもあったりしますね。
誤字や脱字はどのくらい見ていらっしゃいますか?
多少の誤字脱字は許容している部分があります。「きっとこう書きたかったんだろうな」っていうのをくみ取らせてもらうケースが多いです。
ただ、文章が読みづらく内容がまとまっていないものなどに関しましては、やはり見送りの対象にしています。
そうなんですね。1文字でも間違ったら駄目なのかなって思い込んでいたので意外です。
これ、学生の皆さん目線で考えると、志望度が高い企業であれば、多分何回もESをチェックすると思うんですよ。
そうかもしれません。
落とすかどうかを判断するわけではないんですけど、相対的に見て誤字脱字が非常に多い場合、当社の志望度はあまり高くないのかなと思ってしまうことは、現実問題としてあります。
今、伊藤忠商事の島村さんがおっしゃっていたことがまさにそうかなと思っています。
三井住友銀行でも、漢字が少し間違っていたことだけで×をつけることはありません。
ただ、本気で行きたい会社だったらよくチェックしてから送るよねって思うことはありますよね。
なるほど、そうですよね。
面接官にもESを読んでもらっていますが、面接官が全員、誤字や脱字を気にしないかというと、やっぱり気にする方もいると思います。
服装を整えて面接行くのと同じで、「自分を見せるもの」だと思ってきれいな形で出していただくのが一番いいのかなと思います。
はい、わかりました。
では、次の質問です。エントリーの時点で、学歴フィルターは存在しているのかということについてお伺いしたいです。
まことしやかにずっとうわさされているので、どうしても気になってしまいます。
皆さん、〇×をお願いします。
では、お一人ずつ理由をお聞かせください。伊藤忠商事の島村さん、×である理由を教えてください。
大前提として、人物本位で評価をしたいということがあります。だから入り口のところで、どこの大学だからという判断はしません。
一方、書類選考のタイミングで受けていただく適性検査に関しては、一定の合格ラインがあります。
ラインをクリアしていない人が書類選考を通過することは、基本的にはありません。
「学歴」のフィルターはないけど「学力」のフィルターはある、というのが正確な回答になるのかなと思います。
キリンホールディングスの選考でも学歴フィルターはありません。
オンラインで面接ができる時代になりましたので、地方の学生にとっても以前よりエントリーしやすい環境になっていると思います。
学校名では判断していないんですね。
逆にいろんな大学から来ていただきたいなと思っています。
サイバーエージェントでも学歴フィルターは一切していないです。学年も学科・専攻もすべて問わないという条件で採用しています。
学年も!?
なので、本当にいろんな方に挑戦していただけるとうれしいなと思っております。
ESとウェブテストの結果を一緒に出してもらっていますので、そのテストの点数で、ある程度は線引きします。
結果的に、学力での足切りになっているということはありますが、この大学だから駄目とかということは全くやっていないです。
みなさん、ウェブテストに一定程度の信頼を置いているという印象を受けました。なぜウェブテストを選考で使うんでしょうか。
入社後は難しい仕事をしていくこととなり、学生時代には想像がつかないほど勉強することが大切になります。そのため、基本的な学力は重要と考えます。
それに加えて、ありがたいことに本当にたくさんの学生さんに応募いただいていて、ESのみでは判断しきれないぐらいの分量になっています。
それで、ウェブテストも設けながら総合的に判断したいという、会社側の事情も正直にいうとあります。
全員にお会いできれば理想なのかもしれませんが、やはりうちもエントリーをしていただく数が非常に多くて、全員と面接するキャパシティがないんですね。
定量的な指標を使ってある程度絞らないと、選考が難しいという実態はあります。
学力を試す理由というのが、ビジネス上で必要だからということなんですね。
銀行の仕事をやるうえで、最低限とってもらわないといけない資格がありますし、お客さんの経営の根幹にかかわるような提案をする仕事も非常に多いので、入行してからいろいろな勉強してもらうことになります。
だから、もし勉強することに抵抗があると、仕事をしていくのが厳しい部分があるかもしれません。
弊社でも適性検査も受けていただき、総合的な判断をしながらという形になります。
ただ、本当に最低限の学力があるかを判断するのに使っているというかたちで、どちらかというと、ESから読み取れる人物評価を重視しています。
大学名である程度、判断されてしまうんじゃないかという不安は、自分の周りでもすごくよく聞きます。
これまでの学力の結果が学歴であるとも思うんですが、適性検査でみる学力と学歴ってどう違うんでしょう?
実際問題、大学も学力で合否を判断しているわけですから、結果として、上位校と言われている学生が増えてくるのは、正直、事実なのかなと思います。
自然と高学歴の学生が多くなってしまっているということですか?
結果的に、ということですね。
大学を見て判断するわけでは全くなく、自然な母集団のでき上がりが、そういった傾向にあるということですね。
大学への入学方法も今はいろんな入り方があるので、一概にどこの大学に所属してるかというところが、正直そんなに大事ではないのかなと思っています。
どちらかというとその大学に入ったあとに、どういう活動をしていらっしゃったのか、何を学んできたのかみたいなところが、やはり面接でも伝えていける点かなと思っています。
自分が所属している大学に、良くも悪くも縛られることなく、ご自身のことをしっかり伝えていただけるように、就活に挑んでいただければいいんじゃないかなと思います。
ありがとうございます。
次回はいよいよ面接に関するギモンをうかがっていきます。
あわせてごらんください
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線」⑻ 人事担当者からのメッセージ <キリンホールディングス・三井住友銀行>
2022年02月09日
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線」 ⑺ 人事担当者からのメッセージ<伊藤忠商事・サイバーエージェント>
2022年02月08日
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線」⑹ インターンシップに落ちたら本選考は諦めた方がいいですか?
2022年01月25日
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線 」(5) 面接で「第1志望です」って言わなくてもいいですか?
2022年01月19日
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線 」⑷ 面接で印象に残る優秀な学生ってどんな人?
2021年12月24日
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線」⑶ 逆質問って何のため?面接の気になるギモン
2021年12月17日
就活ニュース
就活のギモン「人事の目線」⑴ ESは読む人の目線に立って書こう
2021年11月29日
若手社会人に聞く“働くことのリアル”(3) 入社後のギャップはあった?
2024年06月25日
若手社会人に聞く“働くことのリアル”(2) 仕事は怖いと思っていたけど…
2024年06月14日
就活の採用面接 政府ルールでは6月1日から 人材不足で前倒しも
2024年06月03日
若手社会人に聞く“働くことのリアル”(1) 「就活の軸」どう決めた?働いて変わった?
2024年05月30日
26年卒・就活スタートガイダンス(2)「就活の軸」ってどうやって見つけるの?
2024年05月29日
26年卒・就活スタートガイダンス(1)まず何から始めればいいの?
2024年05月21日
25卒の求人倍率は1.75倍 3年連続で上昇 コロナ禍前の水準に回復
2024年05月08日
25年卒が選ぶ「就職企業人気ランキング」ことしの注目企業は?
2024年05月01日
就活のギモン(番外編)「地方で働く魅力」ってなに?若手社会人に聞いてみた!
2024年04月18日
就活生のギモンを専門家に聞く(6)面接で想定外の質問や緊張が!?こんな時どうする?
2024年04月12日
就活生のギモンを専門家に聞く(5)就活の志望企業ってどう絞り込めばいいの?
2024年04月05日
変わる入社式 “服装は自由に” “先輩も親も見守る” その背景は?
2024年04月02日