2022年02月09日
就活って、ついつい志望する企業から内定を得ることにゴールを置いてしまいがちです。
でも、もっと大切なのは、幅広い視野をもって、就職活動の本質は何かということについて考えることだといいます。
キリンホールディングスの火ノ川さんと三井住友銀行の持田さん。2人の人事担当者から就活生へのメッセージです。
(聞き手:梶原龍 白賀エチエンヌ)
「就活を通して学生たちに大切してほしいこと」についてお伺いします。では、キリンホールディングスの火ノ川さんお願いします。
「自分の価値観を知る」ですね。
一貫してお伝えしているように、就職活動ってマッチングなんです。
そういう意味では、みなさんにもいろんな企業を見極めていただきたい。
そのためには、自分なりの価値観がないと、判断軸がありませんので、まずは、しっかりと自分を知ってほしいと思います。
自分を、知る…。
どんな会社に入っても、つらいこと、大変なこと、きついことが必ずあると思います。
その時「自分は何のためにこの会社入ったんだけ?」とか、「何がやりがいなんだっけ?」っていう問いに対する答えを持っていれば、なんとか乗り越えられるものです。
火ノ川さんも、そうでしたか?
僕自身、そう思いながら、働いています。
まずこの大事な時期に、しっかりと時間を使って「自分の価値観を知る」ということをやっていただきたいと思います。
自己分析をしていると永遠に終わりそうにないんですけど、いいやり方があれば教えていただきたいです。
まずは、自分の過去を思い返していただくことがすごく大切です。
でも、ただ1人で机に向かって自己分析をしていればいいかというとそうではないと思います。
どうするのがいいのでしょうか。
人と会って、その会社での働き方や、やりがいなんかを聞きながら「ここは自分に合っていそうだな」とか「少し違うかもな」というふうに見つけていくのも、自分の価値観を知るための1つの有効な手段だと思います。
就職活動中にいろんな業界のいろんな会社を見てたくさん勉強しておくことって、入社してから結構役に立ちます。
弊社のキャリア採用で、新卒の時に実はキリンホールディングスを受けたんですっていう人もたくさん面接に来ていて、意外なところでつながったりします。
自分の価値観を知ったうえで、その価値観により近い企業を受ける方がいいということでしょうか。
そうであれば一番いいんですけど、私自身はそんなことはなくて、こういう働き方、こういう会社がいいなと、なんとなく思いながら、漠然と面接を受けていました。
そうした中で、キリンの社員が一緒に働く仲間や商品にすごく誇りを持っているなと感じた時に自分自身の価値観と合っていることに気が付き、この会社で働きたいなと思うようになりました。
就活生の中には自分がどういう人間かわからなくなったり、やりたいことが見つからず、将来に活路を見いだせなかったりする人も多いと思います。
そういう就活生に対してアドバイスがあればお願い致します。
シンプルで申し訳ないんですけど、「質は量から生まれる」と思っていまして、まずは行動してみることが大切だと思います。
人間、そんなに最初からうまくはいきませんので、まずは行動してみる。
インターネットで調べてみる。企業の説明会に行ってみる。そこから始まるのかなと思います。
ありがとうございます。
では、三井住友銀行の持田さんお願いします。
私からは「本質を大切に」という言葉を送りたいと思います。
就職活動っていろんな情報が入り乱れていて、みなさんの不安も大きいんだろうなと感じています。
そうですね。やっぱり不安に感じる人が多いと思います。
でも、結局は、自分がどんな人間で、どんなことがしたいのか、そのためにはどういう会社がいいのかというのを、選ぶプロセスだと思うんです。
そう考えると、就職活動って意外とシンプルなのかなと思っています。
もう少し詳しく聞かせてください。
もちろんちょっとしたテクニックなんかはあるんでしょうけれども、そういう情報に踊らされて不安になったりせず、自分の価値観という本質的なことを大事に選んでほしいです。
付け加えると、自分の就職先を決める時って、悩むと思うんです。
でも、自分で選んだ選択肢を正解にしていくっていうことがすごく大事だと思っています。
そのためには、しっかりと覚悟を持つということも大切になってきます。
選択肢を正解にしていく…。
誰かが言っていたから決めるとか、世の中からこう見られているからこっちにしようというんじゃなくて、自分の責任において、覚悟を持って決めるっていうことです。
こうして“腹をくくった”ところがあれば、入社した後に、くじけそうなことがあっても踏ん張れると思うんです。
ぜひ、自分が選んだ道を正解に導いてほしいと思います。
とはいえ、選んだ後に「あっちの方がよかったんじゃないかな」って思ってしまう瞬間もあると思います。
自分の選択に胸を張れるようになるためには、どういうことをしていけばいいんでしょうか。
「人と会う」というのに近いかもしれませんけど、自分が納得いくまで情報は集めた方がいいでしょう。
ただ最後は、どれだけ情報を集めたって「絶対こっちがいい」というような正解はありません。
ビジネスでも同様なんですけど、限られた情報のなかで、どっちを選択するかの連続なんですよね。
最後は思い切りの良さなのかなと思いますね。
「正解がない」って、印象的な言葉だなと思いました。
これまでは大学受験など正解があるものに対して答えていくというプロセスでしたが、就活をしていると一気にそれがなくなってしまうとすごく感じています。
そういう正解がないものに対しては、どう向き合っていけばいいのでしょうか?
私もいまだに模索中っていう感じですけどね。
仕事をしていくと、正解がないことばっかりなんです。
AかBかどちらか選ばなきゃいけない時にも、Aが絶対正しいとか、Bは絶対間違ってる、というようなファクトがない中で決断をしなきゃいけないんですよ。
その選択に対して、何で自分はそっちを選んだのかということを自分で腹に落とせるかが大事だと思って、日々仕事をしています。
就職活動も、これに通ずるものがあるんじゃないかと思いますね。
言葉がずっしりきます。
「本質的なところを見極める力」をどうやって身につければいいと思いますか。
今回、ご質問いただいたことに対する企業側の回答って結構共通していることが多かったんじゃないでしょうか。
そういう中で「本当に大事なのってこういうところだよね」みたいなことを、多少なりとも感じていただいたと思います。
確かにそうですね。
今日のようなやり取りの中に、何か少しでも就活生のみなさんへのヒントがあればいいなって思います。
あと、これまでこのシリーズで回答してきた質問の半分ぐらいは「そんなこと気にしなくていいよ」って思うんです。
日々生活をしてく中で、本当に大事なものって何なのかということは、少し意識を変えるだけで気が付くことがいっぱいあると思っています。
ふだんの生活から意識を変えていくことが大切ということですか?
そうですね。本当に大事なことを意識すると、今、自分が就職活動において何をするべきなのか、見えてくるものがあるんじゃないかと思います。
大変、参考になりました。どうもありがとうございました。
シリーズ「人事の目線」は今回が最終回です。これまでのシリーズは下記よりご覧ください。
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