2022年01月19日
採用面接ではやっぱり「御社が第1志望です」って言った方がいいのでしょうか…。
毎年、多くの就活生が葛藤するこの問題。今回、話を聞いた人事のみなさんによると、約8割の学生が「第1志望」と答えるそう。
この状況、面接する側のみなさんはどう捉えているのでしょうか。
(聞き手:梶原龍 白賀エチエンヌ)
面接で志望度を聞かれたら、別の企業が本命だったとしても「第1志望」ですって答えた方がいいんでしょうか?
この質問、周りに話を聞いても「第1志望です」と答えるのが当たり前だと思っている就活生が多いように思います。
では、〇×で回答をお願いします。
みなさん、×ですね。
では、まず、サイバーエージェントの松村がお答えします。
無理に「第1志望です」とお答えいただかなくても大丈夫ですよ。
そうなんですか?
弊社には「素直で良い人を採用する」という採用方針があります。
この“素直さ”がちょうど答えとマッチする部分だと思うんですが、うそ偽りなく本音で語り合えるような関係性になった上で、入社してほしいと考えています。
正直に「この企業とこういう理由で悩んでいます」とお話いただければ、社会人の先輩として相談に乗ることもできると思います。
そうなんですね。ありがとうございます。
キリンホールディングスの火ノ川です。
「第1志望です」と言わなかったら採用にならないかといったら、全くそんなことはありません。
ですので「第1志望じゃない」と正直に言っていただいた方が面接に合格することもあります。
それは意外です。
正直に話していただき、どういったポイントで迷っているのかをお伝えいただいた方が、他社と比較して弊社はこうだよ、というような効果的な回答ができると思います。
なるほど…。
伊藤忠商事の島村からもお答えさせていただきます。
(うそでも「第1志望」だと言うことは)就職することや面接を突破することを目的としているから起きることですよね。
多くの学生がそうだと思います。
でも、仮面を被って入社したとしても、いつか化けの皮がはがれるわけですよ。
双方によくないミスマッチが起きることを考えると、うそをつく必要はないと思います。
「第1志望です」と言わないと採用しないということはないので「どこどこの会社と迷っています」と正直に言っていただければと思います。
入社の意思を固めるための惹きつけは、我々側に責任がありますので。
持田さんは、いかがでしょうか。
三井住友銀行も皆さんと同じです。
正直に言うのは難しいっていう気持ちも非常によく分かります。
でも、教えて頂いた方が、より深いコミュニケーションがとれるかなと思いますね。
どういうことですか?
うちより優先順位が高い企業があっても、それがおかしいことだとはまったく思っていません。
理由を聞く中で、こちらからもっとお伝えすべきことがないのかを考えますし、そうすることで、皆さんの方に新しい気づきがあれば、お互いプラスになるかと思います。
正直に答えることが大事だっていうことはわかった気がします。
とはいえ、実際は「第1志望です」と答える就活生がほとんどじゃないかと思っているのですが、皆さんは、この言葉をどのぐらい正直に受け取っているんでしょうか。
「信じるしかないかな」っていうのが正直なところですね。
信じられなかったらオファーは出さないし、信じたからこそオファーを出している、というのが大前提です。
とはいいつつも、「第1志望です」と言っていた学生に、その翌日「すみません。他社へ行きます」と言われると、ちょっと人間不信に陥ることもあります(苦笑)。
あとから「実は第1志望じゃなかったんです」って言われると、私も結構ショックを受けてしまいますね。
そもそも「第1志望」って答える学生は、肌感覚でいうと何割くらいですか?
だいたい8割ぐらいですかね。
「本当に?」と聞き返すと、「実は…」と正直に話していただけるケースもあります。
弊社も8割ぐらいかなって思いますね。
みなさん、だいたい8割ぐらいとのお答えですね。
少なくとも半分以上の方から「第1志望です」と言っていただいていると思いますが、うちも同じようなものですかね。
あと最近は「第1志望群です」という言葉が流行ってきました。
「第1志望群」ですか?
そうです。「3社ぐらいと迷っていて、第1志望群です」って。
すると「あ、うちは第1志望“群”に入っているんだな」と認識するんですけど。
なるほど。
逆に言うと、1割から2割の学生は「第1志望じゃありません」って答えているということですよね。
こういう学生がみなさんに、どう伝えているのか、またみなさんがどう感じているのか、とても気になります。
弊社の場合でお話ししますと、最終面接前に、学生の皆さんと人事が1対1の面談をして会社に入るうえでの不安などを解決する場を設けています。
その中で「志望度どう?」と聞いたとき、さっき話に出ていた「第1志望群です」っておっしゃる学生さんがいますね。
そういう学生さんには寄り添いながら「どこの企業と、どういったポイントで、比較していますか」ということをストレートに聞いています。
その方がこちらも情報を出しやすいし、その方のためになると思いますので。
なるほど。島村さんはこのように言われたらどう思いますか?
マイナスには捉えないですね。
こういうケースって理由を聞くと「確かにそういう軸を持っていたらうちは2番目、3番目になるよね」という風に納得できることがほとんどなんですよね。
それでも我々自身が一緒に働きたいと思ったら、オファーを出させてもらっています。
持田さんはいかがですか?
島村さんがおっしゃったことと全く一緒ですね。
第1志望でない理由に納得感があって、かつ、うちの会社に来ていただければ活躍できるなって思った人には、当然オファーを出します。
三井住友銀行のことを理解していただけていない部分があった場合には、その辺を一生懸命説明して、志望順位を上げてもらうための努力をします。
そういう学生のみなさんは、具体的にどんな理由で「第1志望ではない」と伝えているんでしょうか?
ケースバイケースではありますが、その人の好奇心の在り処や、世の中にどういうふうに貢献していきたいのかという理由を挙げる場合が多いです。
「それだったら銀行よりも、こういう企業に行ったほうができそうだよね」ということがあるんですね。
ただ「もし銀行に入ったとしたら、こういう事もやってみたい」ということもあると思うんです。
確かに…。
だから、そこは丁寧にいろいろ聞いて、こちらから情報を提供するために、行員に会ってもらうケースもあります。
同業他社と迷っているのか、それとも異なる業界の企業と迷っているのかでも対応が変わってきそうですね。
業界が明確に違うと、銀行でできることの幅広さをお伝えすることになると思います。
ライバル銀行の中で迷っているとすると、違いが分かりづらいところもあるので、そっちの方が難しいですね。
ライバル企業の方が自分の雰囲気が合ってそう、などと言われてしまうと、「本人がそう思うなら仕方がないな」と諦めるケースもあります。
サイバーエージェントでも、第1志望じゃないって打ち明けた人に対してでも、同じようにオファーをしますか。
もちろんです。
なぜその方に対してオファーを出したいと思ったかという理由や背景、期待していることをしっかりとお伝えした上で、最終的には本人の意思決定に委ねることになりますね。
正直に話したほうが、自分たちのためになるということもあるんですね。
ありがとうございました。
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