2021年10月12日
学生時代、目標は多くの場合、誰かが与えてくれるものでした。でも、その感覚で社会人になってしまうと、ちょっと困ったことになってしまうかも…。
入社までに身につけたい「目標を立てる力」について、ワンキャリアの取締役で作家の北野唯我さんに聞きました。
(聞き手:白賀エチエンヌ 堤啓太)
学生
堤
このことばが意味するところを教えてください。
たとえば大学までの授業ってほぼ100%、学校に目標を決められているじゃないですか。
北野さん
100点満点で何点取ったら合格とか、何をしたらレポートで点数がもらえるかとか。
そうですね。
社会に出てからもそのままの感覚で、上司からおりてきた目標を受け入れる人って多いんですよね。
でも、上からの指示に従ってだけいると、誰かに言われた目標しかできなくなって、頭を使わなくなっちゃうんです。
だから、自分なりに小さくてもいいので目標を立てることが大切だというのが、ここでのポイントです。
目標を立てないと、学生時代に誰かがつくったテストを解いていたのと同じように、誰かが決めた仕事をずっとやり続けることになってしまうんですよね。
なるほど。
ちょっとミクロの話でいうと、結局、仕事での成果や、自分の仕事をうまくやれているかどうかは、目標を立てて、それをどれぐらい達成できたかでしか測れないんです。
目標を立てることで自分が進んでいる感覚も持てるし、課題もわかるようになってくるので、目標を立てる訓練はした方がいいです。
目標というのは、“やりたいこと”とか“夢”みたいなものとは、また違うんですか。
ここでいう目標は、“将来の夢”のような、たとえば“10年後の目標”などという意味とは違います。
これは人生の話ではないので、もう少し具体的に、半年とか3か月、なんなら1か月とか1週間で達成できるような目標を立てた方がいいという意味です。
「この作業を何時までに終わらせよう」とか「1週間の中でこれとこれをやろう」みたいな具体的な目標ということですか?
そうです。
普段、限られた時間の中で生活していて「これを何時までに終わらせなきゃ」なんて思うことはあると思うんです。
それを特に目標としては認識していないんですが、こういう小さなことでも目標として自分に言い聞かせることが大事ということですか?
良い質問ですね。とても大事なことです。
そうなんですか?
たとえば、お子さんが産まれて夕方5時までの時短勤務となったら、業務の生産性がすごく上がったという話を結構聞きます。
それは「5時までに帰る」という目標があったからなんですよね。
もう1つ大切なのは、普通にやっていたら達成できないような少し高い目標を設定すること。その差分をどうやったら埋められるかを考えることが、目標設定の本質的な価値なんです。
普通にやれば19時で仕事が終わるという時に、19時までに帰ろうと考えるのは目標ではなくて予測です。
それを18時半までに帰ろうとした場合には、30分間、仕事を前倒しでやらなければならない。
じゃあ、どうやったら30分間仕事を短縮できるのかとなると、タスクをむちゃくちゃ細かく分解して1分とか2分、あるいは3分でこなせるようなタスクを電車の移動時間などの隙間時間を活用して処理していくことが必要になります。
学生
白賀
なるほど!!
高い目標を設定するのはいいことだと思うんですけど、クリアしなくてもペナルティがあるわけじゃないじゃないですか。
その中で、どういうモチベーションで高さを積み上げていけばいいんでしょうか。
いい質問です。まさに、それをできない人が学生の感覚のまま、大人になってしまう人だと思うんです。
大学生からすると、60点で「可」が取れるのに、65点とか70点を取る理由はないですからね。
その差分の解消を目標に立てて、そのために頑張れるかどうかがリーダーになれるか、なれないかの差です。
たとえば部活でいうと、5時まで練習をして、素振りを何百回しましょうという与えられた目標を消化するだけの人に、周りはついていこうとはしません。
確かにそうですね。
5時までに300回という目標だったけれど、俺は350回やる、っていう人にみんなついていきたいと思う。
これはかなり大きな違いだと思います。
どんなことをモチベーションにすればいいですか?
何をモチベーションにすればいいかというのは、人それぞれだと思います。
前倒しで仕事を終わらせることで、アフターファイブを楽しめることをモチベーションにできる人もいます。
僕の場合は知的好奇心を大切にしていたので、早く帰ったら本が読めるなどの学習欲を大事なモチベーションにしていました。
早く仕事を終わらせることによって得られるものをちゃんとイメージした上で、それを動機にしていけば良いといういことですか?
そうですね。その方がみなさんにとってもいいと思います。
昔「きょうの6時から有名俳優との合コンがあるっていうふうになったら、全員が6時までに仕事終わらせられるじゃん」っていうようなツイッターの投稿が話題になったことがありました。
当時、ホントそうだなって思いました(笑)。
そういうもんだと思うんですよ、人間って。だから目標を自分で設定できるかどうかは結構重要だと思います。
ある意味、ご褒美をうまく作れるのも1つの力なんですね。
そのとおりです。
ちょっと戻りますが、目標には長期的な目標と短期的な目標があると思うんですけど、このポイントで言う目標はやはり短期的な目標ということですか?
そんなことはなくて、目標設定にも自分に合った最適な長さがあると思います。
最適な長さといいますと?
例えば僕は26、7歳の時に、32歳までに絶対にベストセラーを出すと決めたんですけど、それは5年~6年ぐらい先の目標でした。
22歳の時にも10年後には絶対に日本の中でも何かしらの領域で成果を出しておくというのは決めていたので、多分僕は10年間くらいの単位なら続けられるんですね。
これは、ほかの人と比べたら少し、長いかもしれません。自分に合った期間を設定するというのがすごく重要だと思います。
あまり長すぎても、イメージがわかなすぎて目標というよりは、ただの夢みたいになっちゃうから、そこは注意した方がいいってことですね。
ありがとうございました。
北野唯我さんに聞く「入社までに身につけたい10のポイント」。次回は、「分解の法則」についてです。
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