2021年05月25日
就活終盤に差し掛かりゴール目前。でも、親が突然「名前の知らない企業はNG」と言い出しました。
社会人の先輩でもある親の意見、はたしてどこまで聞くべきなの?
学生リポーター:石川将也(22年卒)勝島杏奈(21年卒) 司会:石井隆広NHKアナウンサー
石井アナ
就活生からの質問です。
「第1希望の大手企業ではなかったけど納得できる企業から内定をもらい就活を終えようと思っていました。
ところが親から“そんな知らない企業はやめときなさい”と反対されてしまいました。
社会人の先輩である親のアドバイスどおりに、他の企業を探すべきでしょうか?」という質問です。
親との関係になってきますが勝島さん、この質問いかがでしょうか。
21年卒
勝島
親には「中小企業やベンチャー企業に対する理解がなかなか得られないな」というのは去年、私自身も感じました。
でも「親の反対を押し切ってまでその企業に就職する勇気があるか」と言われたらそれもないので、なかなか悩ましいなと思いました。
石川さんは?
22年卒
石川
僕も「大手企業がいいんじゃない?」って言われます。
親だけでなく親戚からも期待されている感じで、自分だったら説得する自信がないですね、正直なところ。
なるほど。プレッシャーも感じますね。
では、専門家の皆さんにお答えをいただきたいと思います。
みなさん一緒。「親のアドバイスどおりに、他の企業を探すべきか?」については「×」という回答でした。
増本さん、理由をお願いします。
(就活生の)保護者の皆さんとお話しするケースがここ数年結構あります。
増本さん
話を聞いていくとやっぱり心配なんですよね。お子さんのことを大事にしていらっしゃいますので「安定した企業に行ってほしいし、何かあってほしくない」と。
「できることなら自慢できたり、誇らしく思ったりしたい」ということもあるかなって思います。
一方で、親御さん世代と今の世代で社会もだいぶ変わってきていますよね。働くこと自体もだいぶ変わってきている。
「知っていることが違う」ことが、ギャップを生んでいると思います。
逆に言うと理解を深める機会でもあり、もっと言うと学生自身がなぜ、その企業を選んだのか深く自覚できる機会ですよね。
心配する親御さんの気持ちもくみ取りながら、きちんと対話していくといいのではないでしょうか。
なるほど。では、中野さん。
学生さんは、就職活動中に、「仕事って誰のため、何のためにするのか」て、ずっと自分に問いかけてきたと思うんですよ。
中野さん
で、その時に「親のために」っていう発想があったのか?ってことです。
おそらく、なかったり、割合として低かったりだったと思うんですよ。
いちばん大事なのはやっぱり自分の価値観なので、ここを優先して決めるのがいいと思います。
あとですね、今の大手企業も昔はベンチャー企業だったんですよね。
親御さんが、大手企業に行ってほしいっていうのは「将来、安定して成長する企業に就職してほしい」という意味が隠されていると思うんです。
親の心配を軽減したいんだったら「自分は、この会社は今後こうなると思う」と親に説明して納得してもらうのが、いちばんいいと思います。
なので、ぜひベンチャーに来てくださいと(笑)
たしかに、アメリカの超大手のIT企業も、創立10年、20年という時代ですからね。
寺口さんはいかがでしょうか。
親御さんは、デジタルネイティブでもないし、皆さんが知ってる事を本当に知らないし、ってところがムチャクチャあるんですよね。
寺口さん
(親と)バトることが目的じゃなくて、事実がテーブルの上にないから、多分、解釈×解釈のバトルになってしまうんですよね。
僕は自分の親が新しい時代を楽しめるようにいろんな情報を提供してきました。
教えてるって事ですか。
そうです。
iPhoneの使い方から、今は年間どれぐらい転職者がいるというような話も、教えました。
最初は嫌がってましたけど、今では楽しんでますよ。ああそういう時代なんか、みたいな。
リアルな現実を皆さんが親に教えてあげるのが、変化が激しい時代のフェアな親子関係のひとつのかたちなんじゃないかなと僕は思ってます。
「若者世代のことを親に教えてあげる」のもコミュニケーションの取り方ですかね。
今の保護者世代って、当時の(短大を除く)大学進学率が25%前後なんです、4人に1人。
増本さん
今の大学進学率は50%超えていますから、2人に1人以上が大学生になるんです。これだけみても、親の世代とは全然違いますよね。
さらに、家族という単位の中で見えている景色もガラっと変わっていて、共働きの世帯が増えていますよね。それに応じて企業も働き方を非常に柔軟に変えています。
そういう事実をベースにして話すのは大事だと思いますね。
なるほど。高橋さんはどうでしょう?
ご両親が今の企業についてどれほど情報をお持ちか状況が分かりませんが「そんな知らない企業は止めなさい」と言われたのであれば、まずはコミュニケーションを取り、なぜ「そんな知らない企業」への就職がダメなのか、聞いてみてはいかがでしょうか。
高橋さん
ご両親が納得していない点や、どのような企業に入社して欲しいのかをまずは、聞く。
一方、自分は、どのようなライフプラン、キャリアプランをイメージして入社を決めたのか、その企業に興味を持った点、入社を決意した経緯、将来の展望などを共有するといいのかなと思います。
ご両親の就活をしていた時代から企業に対する情報がアップデートされていない可能性もあるので、まずは双方歩み寄り、そして共に同じ方向を向くことが大切です。
同じ方向を向くという話が出ましたが、今の若い人たちは親との距離感が近くて、仲がいい家庭も多いのかなっていう印象を受けるんですけれども、就活においてプラスになれる関係って何か考えられますか?
そうですね。(親御さんは)自分の事を小さい頃からいちばんよく見ていた存在ですよね。
就職活動って「あなたどんな人?」というのを言葉にして話すことを求められますよね?
だから「自分では意識にないことや過去の経験を保護者の目線でフィードバックしてもらうこと」は自己を認識するのにすごく手助けになると思います。
「中学2年生の時にこんな挫折があったけど、こういうことをきっかけに乗り越えたわよ」とか「通信簿で小学校~中学校まで、ずっと同じことを先生に褒めてもらってたわね」みたいなことですね。
なるほど。ありがとうございます。
まとめますと、やはり自分で決めるべきだと。
どこを向いて仕事をするのかを考えたときには、ぜひ自分の判断に従ってほしいと言うことですね。
それから「小さい時から育ててきたからこそできる親のアドバイスもある」というお話もありました。
それから、親としっかりコミュニケーションをとること。
「私、こんな就活してるよ、とかこんな企業があるんだよ」と説明するのも大切だと。
そうすると「ギャップもなくなっていくんじゃないか」という話もありましたね。
ぜひ、参考にしてみてください。
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