就活ニュース

「今では就活の専門家の私たちも、シゴト探しには苦労しました」

2021年04月08日

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「就活のギモン」今回は番外編。
さまざまなギモンに即答してくれる専門家のみなさんも、シゴト探しには苦労したそうです。
就活応援ニュースゼミ編集長(松枝)も参戦した本編以上に深い“楽屋フリートーク”を、就活の合間に読んで明日の活力にしていただければ幸いです。

 

【リクルートスーツなんて着たくない!】

松枝:みなさんの就活時代って、どうだったんですか?

今、ご自身の就活を思い出して、満足していたら「〇」満足していなかったら「×」であげていただけますか?

増本さん、「〇」ですね。

増本:はい「〇」(満足している)です。

最初はすごくイヤでしたけど、(やってみると)学びが非常に多かったし、自分自身の考え方がすごく変わった時間でした。

それこそ最初は働きたいと思えなかった。

リクルートスーツ絶対着たくないし、大学時代をもっとおう歌したいし、皆が一斉に就職活動を始めようとする空気には怖さすらありました(笑)

 

増本全・リクルートキャリア就職みらい研究所所長プロフィール
2004年入社、転職なし。
学生時代は予備校でのアルバイトに熱中。就活当初、働くことに希望を抱けなかったが、多数の社会人との出会いをきっかけに前向きに。友人に勧められて応募したリクルートに入社。以来一貫してHR領域の業務に従事。営業・事業スタッフ・商品企画・大学支援等を経て、現職。またプライベートで内定時代より母校の就職支援にも参加。

学生時代をおう歌していた大学生の増本さん

松枝:当時は、就職活動が怖かったんですね。

増本:就活も、(採用が)厳しい時代の最後の方でした。

自分自身に「誇れる経験もないな」と。

それで、すごく打算的に、採用内定数が多い企業順に受けたんですよ、確率だと思って。

ただ、運良く最終面接に残っても「なんでうちなの」って聞かれると、さすがに「採用内定数多いですよね」とは言えないじゃないですか(苦笑)

でも他に理由が何もないから、そこで確実に落とされちゃって。

そもそもサラリーマンに良いイメージを持てておらず、わくわくしていない自分に幻滅しました。

であれば、実際働く社会人にインタビューして話しを聞いてみようと思って、町の八百屋さんとか含めて60人くらいにやりました。

そしたら「社会人にもカッコいい人もいて、大きな夢や目標を無理に持たなくても輝いてる人がいる」と気づけて、そこから、楽しくなりましたね。

松枝:以前、学生リポーターが増本さんに取材したときも、社会人へのインタビューが転機だっておっしゃっていましたよね。

増本:八百屋さんのお話にリアリティがあって面白かったんですよ。

「夢?そんなもんないわ!」と言われたんですが、僕にはそれがすごく良くて。

それから「夢で食えるか?俺は夢なんて大そうなものはないけど、この町の人が喜んでくれる。だから超、楽しい!」とおっしゃっていて。

その後も「目の前のことに必死になることで、結果的にできることが増えたり、喜んでもらえたりするのが仕事の楽しさ」という方にも出会って。

就活のために無理やり「夢ややりたいこと」を持たなくてもいいし、「やりたいことがなくてもいいんだ」って思えたことが大きかったです。

 

2020年12月2日 渋谷プラスクロスでの「就活のギモン」の出演後、4人の専門家と就活ゼミ編集長の松枝が「楽屋トーク」した内容です。3時間以上に及んだ収録の後ということもあり、“ぶっちゃけて”いろいろ話しましたよ。

【オタク=好きなことに打ち込んでいた学生時代】

松枝:就活生のよくある悩みに「やりたいことが見つかりません・・・」とか、「やりたいことを決めなきゃいけないんでしょうか?」というのが、ありますよね。皆さんは、就活の時に「やりたいこと」はあったんですか?

高橋:私はありました。転職して2002年にマイナビに入ったんですけど、その前の1社目がコンピューターのソフトウェアの会社だったんです。

私、小学生の時に友人の兄が持っていたパソコンに衝撃を受け、中学の時に初めてパソコンを買ってもらい、そこからオタクまっしぐらでした。Windowsが出る前の時代ですね。

 

高橋誠人・マイナビ編集長プロフィール
1999年大学卒業。パソコン好きが高じてソフトウエア会社に就職。2002年に現在の就職情報会社に転職。自社アセスメントを受検してみると、「楽観的or心配性」の項目で楽観的に値が振り切っていたほどのポジティブ思考。好きな言葉は「人生万事塞翁が馬」。

”最先端”のオタクだったという20歳ごろの高橋さん

高橋:中・高・大と典型的なオタクで、「じゃあ就活どうする?」って考えた時に、コンピューターの仕事に就いたら、ずっとパソコンを触っていられるな」と。

それで毎月、給料ももらえて、なおかつ社内研修とかを受けて、新しい知識、技術も習得できる!

「給料をもらいながらコンピューターの仕事をするって、こんなに楽しいことはない」と思って、ワクワクしながら企業まわりをしていました。

大学卒業は、20年以上前の1999年で当時、就職氷河期だったんですけど2社目に訪問した企業からすぐに内定をもらったんです。

パソコン好きというキャラクターと、コンピューターで実現できる夢を語っていたら決まったんで、めちゃくちゃ嬉しかったのを覚えています。

松枝:そこから、なぜマイナビに転職?

高橋:それ、よく聞かれるんですけど、最初に入った会社で、中堅社員になった以降のキャリアがイメージできなくて・・・。

コンピューターを使うのって人間じゃないですか。

で、人間に対して興味が出てきて、入社3年目の2002年の後半に転職しました。

当時も、まだ就職氷河期でしたので、コンピューター技術を使って、学生に求人情報を届けたり就職支援したりできないかなって。

そう思って、情報収集していた時に、マイナビの求人を見つけたって流れです。

今回のイベントでの質問を聞いていても、学生のみなさんのギモンが本当に深刻な感じがするので、あまり肩肘張らずに就活してもらって大丈夫だと思っています。

「仕事って楽しいもんだよ」っていうのを伝えたいっていうのが、私のちょっとした目標です。

【就職できず、ニートを経験しました】

松枝:中野さんは「×」ですか?

中野:そもそも就活、やってないんですよ。

中野:本当は、「〇」も「×」もない(笑)
当時、説明会を2社行っただけ、しかも冷やかしで。

 

中野智哉・OfferBox(株式会社i-plug)代表取締役CEOプロフィール
1978年兵庫県生まれ。2001年中京大学経営学部経営学科卒業。卒業後のニート期間に趣味のテニスで負けたことをきっかけに一念発起。株式会社インテリジェンス(現パーソルグループ)にて10年間、求人広告市場で法人営業を経験。2012年4月に株式会社i-plugを設立し、代表取締役CEOに就任。

中野:僕、やばい学生だったんですよ。 テニスと麻雀しかやってなかったんで。

恐ろしいくらい単位が残っていて、4年生の段階で60%くらい単位を残してました。

就活できないでしょ?成績証明書出した瞬間アウトですよ。

松枝:なかなかですねえ。私、留年しているんでその状況よくわかります(笑)

「学生時代が終わって欲しくない派」だった松枝編集長
留年した5年生で英語と第2外国語と体育の講義を1年生に交じって受けてなんとか卒業した過去が・・・

中野:奇跡的に卒業はできたんですけど、就職してないんで兵庫の実家に帰りました。

免許も持ってなかったから親にお金を借りて免許を取って。

当時、そういう若者でも採用してもらえる仕事って相当限られていたんですよ。

で、新聞の折り込みの求人広告で営業の仕事を見つけて、電話したら「明日面接来て」って言われて。

面接に行ったら、「明日から働いて」って言われたんですよ。中途入社なんです。

松枝:どんな会社だったんですか?

中野:人材系の会社に入ったんですが、とんでもなくわかりやすいブラック企業だったんですよ(苦笑)。

まず、給料が面接時に提示された額と違っていましたし、それにGPSが搭載された車に乗せられてたんですよ。

高橋:監視されてるんだ。

中野:もうずっと監視されてる。社員同士、携帯で電話したら、報告書を書けと。何を電話したとか 飲み会に誘われたら報告してくれみたいな。

正社員にはなったけど、さすがに無理やなと思って辞めました。

そのあと、10ヶ月かそこらニートでした。ニートはきつかったですね。

松枝:今からは想像できませんね。

中野:当時、僕の体重は99キロありました。

「お先真っ暗だった」という、ニート時代の中野さん

中野:仕事もしてないから、金もないし、お先真っ暗な感じで・・・。

そんなときに、たまたまテニスの仲間が声をかけてくれたのがきっかけで、就職活動を初めてまともにやったんですよ。

松枝:ようやく就活を。

中野:その時40社くらい受けましたね。

さっき言いました1社目の企業は、いわゆるブラック企業だったんですけど、仕事は面白かったんですよ。

なので、同じ人材業界を受けまして歩合営業の会社から内定をもらいました。

採用理由は免許を持っていて、ちょっとしゃべれて、あと麻雀できるってこれだけ。

でも2ヶ月で売上が目標を達成しなかったら、契約終了だったんですよ。

だからバンバン契約とらなきゃと思ってました。

当時は、「何がやりたいか」なんて1ミリもないですよ。

とにかく「お金がもらえるような仕事で、自分が受かるようなところ」ってことしかなかった(苦笑)

松枝:そんな経緯で選んだ人材業界ですけど、長いですよね。

中野:そうなんですよ、気づいたら20年この業界にいました。

起業するときは人材業界以外にしようと思ってビジネススクールに行ったんですけど、結果、人材業界で起業してしまいました。

「やりたいことなんてなくて、お世話になった業界なんでなんとかしたい」っていう思いと。

「目の前の課題が見過ごせない」という思いで、「やれることをやっているだけ」なんですよね。

で、結局気がついたら20年。

その間、アルバイト、転職、新卒、全部の求人関連やってきたという、なかなかいない“レアキャラ”になってしまいました(笑)

【4年間かけて我に返った】

松枝:寺口さんは、就活当時はやりたいことは、あったんですか?

寺口:なかったですね。というか今もないままかも。

松枝:寺口さんは、新卒で人気のメガバンクに入られて、親御さんもよかったねと喜んでくれたってことでしたけど、どの時点で転職しようという気持ちになったんですか?

寺口:入行して1年目、4月1日から4月30日まで、新入社員を集めた研修があったんですけど、その時点で「なんかちょっと間違えたかも…」みたいになりました。

 

寺口浩大・ワンキャリア PR Directorプロフィール
1988年兵庫県生まれ。就職活動中にリーマンショックが起こり、楽観視していた就活が突然ハードモードに。以降、28歳で4社目と転職回数が多いことに悩むも、現在は個人と企業の関係性の変化や、仕事選びの透明化について考え発信している。

松枝:じゃあ、もう最初からですね。

寺口:研修中に1週間ずっと熱が出たんですよ。体のアレルギー反応で。それでも転職しようとはならなかったんですよ、当時は他の企業のこと知らないですし。

松枝:たしかに、他の企業のことわからないですよね。

寺口:「いや、社会人って結構きついなー」って、でも「同期の友達もできたし、いいか」って思ってました。

銀行はやりたいことがあって入ったわけじゃなく、やりたいことは広告だったけど受からなかったから。

だから期待はなかったんですよ。

今は長髪にヒゲという自由なファッションで働く寺口さんにも、スーツを着ていたサラリーマン時代がありました

そういう状況で働いていたんですけど、だんだん会社に近づくだけで気持ちが沈む、みたいになってきて・・・。

でも頑張るのが大事だって言い聞かせて通勤してたんですけど、会社へ行く電車が本当に辛くなってしまって。

産業医に「このまま続けない方がいいです。休みなさい」って言われて。

休んだら、「俺何やってたんだ?」ってやっと我に返りました。就職して4年たったころでしたね。

だから僕はキャリアアップのために転職するぞって感じで転職したわけじゃなかったんです。

 

知られざるエピソードがたくさん出た専門家たちの就活時代。
次回は4人の専門家らしく!?「ミライの就活」を語ります。「採用勝ち組の企業は何が違うの? 専門家に聞いてみた」はこちらから。

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