就活ニュース

「採用勝ち組の企業は何が違うの?」 専門家に聞いてみた!

2021年04月19日

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就活系サービスを展開する4社の専門家に、ざっくばらんに就活を語っていただいた“楽屋”フリートーク”。

新卒一括採用って、このまま続くの?いやいや変わるの?
採用がうまくいっている企業に共通点はあるの?

今のみなさんのギモンからは少し離れてしまうかもしれませんが、とっても大事な話なので掲載します。ミライの働く姿を想像しながら読んで頂きたいです。

 

【就活は、コロナで変わる?変わらない?】

松枝:コロナで働き方が大きく変わったと思うんですけど、5年後、20年後、新卒採用の未来はどう変わっていくのでしょうか。増本さんからお願いします。

増本:企業によって全然違うなと思っています。グローバル市場で競争に向き合っている会社は、「即戦力ジョブ型採用」の方向にいくと思います。一方で新卒一括採用はなくならないと個人的には思います。

松枝:新卒一括採用は残ると?

増本:新卒一括採用は、働き手にとっても企業にとってもかなりよい仕組みではあるなと思うんですよ。ジョブローテーションしながら社員を育てていく仕組み自体は、フィットする会社がたくさんあると思います。

ただ、前提として、「会社と個人の関係はこれまで以上にフラット化」してくると思っています。長期の安定を見越して1社に入るという考え方は薄れていきながら、社員が得られるスキルやメリットに柔軟に対応できる会社が選ばれやすくなっていくのではないでしょうか。

松枝: 会社と個人との関係って、寺口さんよく言及してきた分野ですね。

寺口: そうですね。 会社と個人の関係も、コロナによる変化の大きな要因の1つになるなと思っています。

2020年12月2日 渋谷プラスクロスでの「就活のギモン」出演後、4人の専門家と就活ゼミ編集長の松枝が「楽屋トーク」した内容です。3時間以上に及んだ収録後ということもあり、ぶっちゃけていろいろ話しましたよ。

 

寺口:就活も「変わらなきゃいけなかったけど、これまで諸事情あって変わらなかったもの」がコロナで相当変わりましたよね。例えば合同説明会。同じ話を何度もいろんなところに行っていたのが、動画になったりとか。

松枝:就活は、新型コロナウイルスによる変化が大きいですよね。

寺口:その変化の中でも、コロナ後にも「元に戻ること」と「戻らないこと」があると思います。それは、就活が「早期化×長期化で通年化」になっていくのと、 「動画の台頭による透明化」という面ですね。

透明化には、「多様化と分散化と民主化」があり、特に透明化による民主化は、やっぱり大きいなと思っています。

寺口:たとえば、ツイッターでも、就活の情報をいろいろ拾えるし、うち(ワンキャリア)みたいな口コミサイトに体験価値がストックされています。

個人の声によって情報が広まっていくサイクルが、この1年で過去5年、10年分くらい一気に進んだと思っていて、しかも、それは、不可逆なことだと僕は思っています。

【面接のブラックボックスも透明化?】

松枝:中野さんはこの業界に約20年携わって長く採用業界をみていらっしゃいますよね。コロナが起きてからの変化は、過去と比べてどれくらいの出来事だったのですか?

中野:コロナは、就活にもっとも影響を与えた出来事ですね。

松枝:過去にも、リーマンショックとかいろいろあったと思うのですが、一番ですか・・・。コロナで変わったのはなんでしょう?

中野:やはり、オンライン選考ですよね。これは、「コロナ後も元には戻せない」と思っています。

ある調査によると、1年間の就活コストが1人平均約4万円下がったそうです。

 

ディスコ「2021年卒 10月 1日時点の就職活動調査 」より


中野
:大卒者は約44万人にいるので、約175億円もコスト削減されていると考えることもできる。これ、相当な額ですよ。

もう1つは地方からの就職活動の壁が相当改善しました。東京など大都市に来なくても面接を受けられますからね。

さらにもう1つあって オンライン選考になったことで、選考に本当のテクノロジーを入れられるようになる。

これがまさにDXです。

松枝:選考にテクノロジーが入るというのは、具体的にはどういうことですか?

中野:何が変わるかというと、面接なんですよ。面接ほどブラックボックスな場所はないですよ。1対1の密室でやり取りされて何の議事録も残らない。面接は(テクノロジーで)ガラッと変わると思います。

 

これまでの面接はブラックボックスだった!?

松枝:どう変わると?

中野:面接官は、「インタビュアー」と「ジャッジメント」と「口説く」の3つの役割に分かれると思います。

学生と対話する、「インタビュアー」のプロは絶対に必要です。その人がオンラインで面接をやります。

その動画を複数の人が見て、学生の合否を「ジャッジする」。この役割が2つ目。

面接はその1回だけじゃなくて、2次3次4次面接などやると思うんですけど、口説くための面談です。

これは、オンラインだからできるんですよ。インタビュアーのインタビュー自体の改善も、動画が残るからできるし。

中野:動画データを音声解析と映像解析して、(学生側の)喜怒哀楽を見ることもできますし、テキスト変換もできるので、今後、機械学習させていくこともできる。

ジャッジの時間も分散できるので、かなり選考の本質が変わると思っています。この大きな変化は近年に起こると思います。

面接のブラックボックス化を解消するには、プロダクトが一つ開発されれば一気に変わるんで、相当早く来ると思います。

松枝:相当な変化がありうると。

中野:ただ、すぐに変化しづらいところもあると思うんですよね。

例えば、新卒の一括採用。これを変えちゃうと、若年者の失業率が悪化することにもつながるから。

松枝:たしかに。

中野:要するに、大学卒業後の学生の採用を、すべて、ジョブ型の通年採用に振り切っちゃうとします。そうなったときに、どれだけの大学生が就職できるか?っていう問題が起きるわけです。

中野:海外のように20代前半の失業率が10%以上ということも起きかねない。それって、日本で受け入れられるかというと・・・。

理想的な将来の方向性は、キャリア教育、職業教育をしてから、インターンシップを通じて、就業先を探していくことだと思います。

ただこれ、めちゃくちゃ時間がかかるんで。変わるとしても5年10年のスパンだろうなと思っています。

【人材を採れる企業 採れない企業】

松枝:企業側はどうでしょうか?これからの変革の中で選ばれる企業と選ばれない企業が分かれていくようなこともありますか?そこになにか共通のキーワードはあるのでしょうか?

寺口:すでに変化の対応において、分かれ始めていると思っています。

 

松枝:うまく変化に対応している企業はどう動いているんですか?

寺口:仕事を、“人”から“コンテンツ”に移しています。例えば、これまで企業説明会を各大学に足を運んで同じ内容を毎回やっていた企業さんも多かったんですよ。

それが、コロナで現実的に足を運べなくなったので、説明会の動画を1本つくって、各大学に渡して、自社のHPでも公開する。実は動画を1本作るだけで、これまでと同じ効果があるのではないかと。

結局、「人にしかできないことを人がやって、コンテンツができることはコンテンツに任せる」ってことに気づいた企業はうまくいっていると思います。

松枝:なるほど。増本さんもいろんな企業との付き合いが多いと思うんですけど。この会社は採用うまくいってるなという企業と、ちょっと苦労してるなという企業で、ポイントはありますか?

増本:採用のスピード感とか、オンライン化の取り組みとかあるんですけど、もうちょっと引いて考えてみると、「人事だけで採用をしている会社は結構きついな」と思っています。

「現場ぐるみで採用に取り組んでいる企業」はすごくいい採用をしているんですよね。

新卒で採用しても、就職後3年で3割の離職って起きていますよね。

離職理由は、「仕事内容と人間関係」がトップ2なんですよ。

そのミスマッチを、「採用の段階から気を配れる企業」(学生に対して)仕事の現場の情報を出して、社員と会わせて、経営層も含めて自分たちの会社の目的をちゃんと伝達できてる会社は、いい採用をしているって感じますね。

入った後の納得感、定着で見ても強いなと思います。

松枝:学生からみると、最初の配属先、どんな環境でどんな仕事をどんな仲間とするかわからないという面がありますよね。

増本:制度や雇用システムの影響があるものの、海外と比較した時に、賃金を含めて、どこの職場に希望を出すかという交渉をしている割合は日本が低い傾向にあります。

今後は組織と個人の関係は、よりフラット化していくと思います。

松枝:これまでの新卒一括採用からジョブ型に置き換わるんじゃないかという話もありますが、何割くらいになると思いますか?

増本:需給バランスが崩れていて競争が激しいハイスキルな領域から、まず起きていく可能性はあると思いますけど、採用だけの話ではなく、人材マネジメント全体の話であり、企業によっても選択が異なるものだと思います。

高橋:日本の若年者の失業率が低いのは、総合職採用、一括採用があるからという面も大きいですよね。

60歳まで働いたら、退職金が出て、ある程度困らないというシステムを、一気に変えると、副作用として就職できない大学生がいっぱい出てきてしまうことになると考えると、徐々に変わるというのが日本らしい変化かなと思います。

かつ、(変わっていくとすると)まずは理系の大学院卒とかからかなと思いますね。

就活はやっぱり「ポジティブ」に

松枝:就活生にメッセージを!と思うのですが、どんな言葉を伝えますか?

 

期せずしてみなさん似たメッセージに。   (※増本さんは、時間の関係で退席しています)


高橋
:僕は 「ポジティブ」です。

これは一貫して僕のポリシーでもあるんですけど、 物事ってやっぱり考え方、見方、捉え方だと思うんですよ。

キャリアカウンセリングの世界では、クランボルツ博士の「計画的偶発性理論」っていうのがあって、ある程度キャリアを積んだ方にアンケートをとると、現在のキャリアを構成している機会の多くが偶発的に得られたという話なんですよ。

でも、その偶然は、日頃から前向きにポジティブに考えたことによって、チャンスと考えるから掴めるって考え方なんです。

たとえば、ファーストインプレッションでこれ苦手だなって思った仕事があったとしても、もしかしてやってみたら自分の夢の為に何か繋がる仕事かもしれないってことあるんですよね。

私生活も含めて自分の中の変化も起きていくと思うので、僕はポジティブというメッセージですね。

松枝:中野さんはいかがでしょうか。

中野:「生涯前向き」、僕の座右の銘です。

一つの事象をどうとらえるかは、自分次第で、唯一自分が決められるじゃないですか。

僕は、大学は卒業したけど、就職できなくて、ニートだった時代でも、自分は天才だと思っていました(笑)。

就職した会社が買収されて、営業の600人中、成績最下位になった時もそう思っていたし。

実際は、なんにもできなかったんですよ、当時。それでもおれは天才だって思い込んでた。

「それぐらい振り切っちゃたらいいんじゃないかな」って思います。

(それ以上の)悪いことはたいして起こらないですし、今、考えると、「うまくいかない時があってよかった」と思います。だって、のちのち、ネタになって生かされてますから(笑)

中野:さらに付け加えると、当時は、ずっと彼女もいなかった。そこまで言うと絶対滑らないネタ(笑)

松枝:なるほど。いいところを見つける力、結構大事かもしれないですね。

中野:それが生きていく力になると思うんですよね。私、自分の子どもたちに、ずっとそれしか言ってないですね。あとはもう好きに生きろって。あと俺に頼ってくるなって(笑)

松枝:ありがとうございます。

寺口さん書き終えましたか。

寺口:僕はですね、「数年後、すべらん話をためとこう」って。

僕は就職活動が面白かったんですよ。

なんでかっていいますと、酒の席で笑える自分の体験や経験ががいっぱいあったから。

不動産会社を受ける時に、方向音痴過ぎて面接会場に着かなくて、でも、これほどの方向音痴が不動産会社入ったら大変なことになると気づくことができました(苦笑)。

それだけじゃなくて、会社に通う電車で倒れた話でも、就職活動で全くうまくいかなかった話でも、20代で4社転職してるって話でも、恥ずかしい話なんですけど、みんな笑って聞いてくれるので、そういうネタを貯めるってのも悪くないなって思います。

実際、いま、コロナでみなさん大変だと思うんですね。

でも、嘆いても仕方ないというか、逆におもろいことを考えようって。

「面白くないことを面白く」っていうのが結構生きる知恵だなと思っていますね。

松枝:みなさんのメッセージが似ている(笑)

月並みなまとめになっちゃいますけど、「物事は考えよう」ってことですね。

就活のプロのみなさんも、最初からプロだったわけではなかったことが、きょう、よくわかりました!
ありがとうございました。

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