民主党
ジョー・バイデン
Joe Biden

前副大統領
1942年11月20日生まれ 東部ペンシルベニア州出身

「将来は大統領に」

東部ペンシルベニア州スクラントンで生まれたバイデン氏。
10歳のときに、父親の仕事の都合で東部デラウェア州に移り住んだ。
子どものころから、バイデン氏はきつ音に悩み、鏡を見て話し方の練習をしたことなどを明らかにしていて、集会でも、どのように克服しようとしたかについても語っている。

バイデン氏は、大学時代に知り合った女性と24歳のときに結婚。
当時、法律の勉強をしていたバイデン氏は、女性の母親から将来、就きたい職業について聞かれ「大統領」と答えたとか。

悲劇を乗り越えて議員へ

バイデン氏は弁護士を経て、地元の郡議会議員を2年務めた後、1972年、当時29歳の若さで上院議員に初当選した。

しかし、当選から僅か1か月後、クリスマスツリーを買いに出かけた当時の妻と1歳の娘を交通事故で亡くした。その際、同乗していた息子2人もけがをした。

バイデン氏は、「絶望で自殺を選択する人の気持ちが分かったが、息子たちのことを考えて、生きるために戦うことにした」と、後に当時の心境について語っている。
そのため、バイデン氏は当初、息子たちのために議員になることを辞めようかとも考えたが、周りのサポートもあり議員になることを決め、就任の際には、息子2人が入院していた病室で宣誓を行っている。

オバマ前大統領を支えた長年の経験

2009年まで、36年にわたってデラウェア州の上院議員を務めたバイデン氏は、民主党中道派の重鎮として知られる。
長年、司法委員会に在籍したほか、外交委員会にも所属して委員長も務め、外交・安全保障のエキスパートでもある。

2009年に副大統領に就任してからは、外交経験が浅いオバマ前大統領を支えた。
副大統領在任中、2011年と2013年に日本を訪れていて、東日本大震災の被災地、仙台を訪れて復興の現状を視察している。

再び襲った悲劇

2015年、大統領選挙に立候補するかどうか検討している中、バイデン氏の長男が脳腫瘍で46歳の若さで亡くなった。
息子はバイデン氏が大統領選挙に立候補することを望んでいたが、バイデン氏は立候補しないことを表明。
当時の心境を振り返り、「息子の期待に応えようと勇気を出したかったが、家族を失った悲しみを経験しているだけに、大統領選挙を戦う気力があるかどうか分からなかった」と語っている。

3度目の正直?! 満を持して立候補

息子の死から4年後、亡くなった息子の思いなどが決断を後押しし、2019年4月に大統領選挙に立候補した。集会でも家族を失った経験などを話し、医療保険の大切さを訴えて、同じ悲しみを抱える有権者との絆を築いてきた。

実は今回の立候補は3回目。
1987年に立候補したときは、演説の盗用を指摘され撤退。
2008年のときには、予備選挙の序盤戦で支持を伸ばせず撤退している。

今回の大統領選挙では、予備選挙が始まる前から、抜群の知名度と豊富な政治経験に加え、黒人層や労働組合からの支持も厚いことなどから、優位な選挙活動を進め支持率はトップを走っていた。
しかし、77歳という年齢がネックになったほか、ほかの候補の勢いに押され、予備選挙の序盤戦のアイオワ州での党員集会では、4位と低迷し苦戦を強いられた。

もしバイデン氏が、大統領選挙で勝利し、大統領に就任した場合、就任時の年齢は78歳。
2017年1月に、当時アメリカ史上最高齢の70歳で就任したトランプ大統領の年齢を上回ることになる。

失言、そして、セクハラ疑惑

バイデン氏は、失言が多いことでも知られていて、外国を批判する内容から、大統領選挙への立候補を表明する前から「選挙戦を戦っている」とうっかり述べたものまで、さまざま。

バイデン氏は黒人層からの支持が厚いことでも知られているが、5月に、黒人の若者たちを中心に人気があるラジオ番組のインタビューで、「私とトランプのどちらを支持するか迷うようでは黒人ではない」と発言し、人種差別的だと批判された。
2019年8月には、アジア系とヒスパニック系の有権者が主催したアイオワ州での集会で、「貧しい家の子どもたちも白人の子どもたちのように輝いているし、才能を持っている」と発言し、差別的な発言だと批判を受けた。

2019年4月には、複数の女性から過去に体を触られて不快な思いをしたなどとセクハラ被害を訴えられ、釈明に追い込まれた。
2020年4月には、事務所の元スタッフの女性から過去に性的暴行を受けたと訴えられ、「事実ではない」と全面的に否定している。

そんなバイデン氏は、トランプ大統領からは、「スリーピー・ジョー=寝ぼけたジョー」とあだ名を付けられ、ツイッターなどで繰り返し使われている。

大好物はアイスクリーム

バイデン氏は、アイスクリームには目がないとも言われていて、民主党の候補者選びの選挙運動中にもアイスクリーム屋に立ち寄る姿が…

2017年1月に、文民としては最高位となる自由勲章を受章した。

(国際部記者 近藤由香利)

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