共和党
ドナルド・トランプ
Donald Trump

第45代アメリカ大統領
1946年6月14日生まれ ニューヨーク出身

忘れられないある出来事

トランプ大統領には、ある、忘れられない出来事があるらしい。

1964年、18歳だったトランプ氏は、ニューヨークのブルックリン地区とスタテン島を結ぶ、当時、世界一といわれた橋の開通式に、父親とともに出席した。その式典には、橋のデザインを担当した土木技師も参加したが、彼の名前が呼ばれることも、拍手が送られることもなかったという。

そして、当時のことをトランプ氏は、「ニューヨーク・タイムズ」紙の記者にこう語っている。
「人の言いなりになると、あとでバカをみる。この先、誰にもバカにされたくないということが、このとき、私の中に刻まれた」

トランプ氏の負けん気の強さは、このときに生まれたのかもしれない。

「不動産王」と呼ばれるまで

1971年、トランプ氏は父親・フレッド氏の不動産業を引き継ぎ、実業家のキャリアをスタートさせた。
トランプ氏を紹介する当時の記事には「金髪、高身長、白い歯を見せる姿はまさに映画俳優のようだ。銀のキャデラックを乗り回し、モデルとデートする」とあり、「みんなの憧れの的だった」。

記者から不動産業の魅力について聞かれたトランプ氏は、「建築物が生み出す創造性、金繰りが好きだ。そして、何よりギャンブルみたいなおもしろさがある」と答えるなど、すでに勝負師の姿を見せている。

そんなトランプ氏の原点は父親にある。

不動産業などですでに成功を収めていた“父親を超えたい”という強い思いから、父親が手を伸ばせなかったマンハッタン中心部の高級ホテルの改修事業に着手。カジノやゴルフ場など次々と事業を拡大させ、「不動産王」とも呼ばれるまでになった。

その後、実業家としての経験を生かして全米2000万人以上が見たといわれる人気番組の司会を務め、「ユー・アー・ファイアード!(君はクビだ!)」という決めぜりふで一躍お茶の間の人気者となった。

私生活 意外?な一面も

プライベートでは2回の離婚歴があり、現在のメラニア夫人は3人目の妻。子どもは5人、孫は10人いる。
中でも、長女のイバンカ氏やその夫のクシュナー氏は、政権の重要なポストに起用されるなど大きな話題を集めた。

トランプ大統領は、兄をアルコール依存症で亡くしたことから、酒は一切飲まない。たばこも吸わない。
ただ、ファストフードには目がなく、ハンバーガーやステーキが大好物。ダイエットコーラは1日12本飲んでいるともいわれる。
予算が成立せず、政府機関の一部が閉鎖されていたときには、ホワイトハウスに招いた客を大量のファストフードでもてなした。

「偉大なアメリカ」へのこだわり

政治や軍事経験のない人が、アメリカの大統領になるのはトランプ氏が初めてだ。

当選直後から、その過激な言動で世界の注目を集めていて、政策をはじめ、解任や任命といった人事を、ツイッターで発表するのはトランプ流。
前回の大統領選挙で掲げた「Make America Great Again=アメリカを再び偉大に」のスローガンのもと、アメリカ第一主義や移民の排斥、保護主義的な貿易の政策を進めている。
トランプ大統領は、減税政策や規制緩和などによって、アメリカはかつてないほどの好景気が続いているなどと、みずからの成果を強調した。
再選に向けて、「Keep America Great=アメリカをこれからも偉大に」という新たなスローガンを掲げ、これまでの方針を継続していくと訴えている。

また、新型コロナウイルスへの対応をめぐっては「戦時の大統領」を自称して指導力をアピールしている。
しかし、これまで最大の実績としていた就任以来、右肩上がりだった株価が暴落。
感染者、死者ともに世界で最も多くなる中、感染者への治療方法をめぐり、「紫外線か強い光を体内に当ててみてはどうか」「消毒液は1分でウイルスを殺すらしい。注射で体内に入れればいいんじゃないか」などと科学的根拠に欠けるような発言で物議を醸すとともに、初動対応の遅さなども批判された。

仲良しの「シンゾー」

ゴルフ好きとして知られるトランプ大統領。 安倍総理大臣とも、たびたびゴルフを通じて親交を深めていて、ことし新型コロナウイルスの影響などで延期されたG7サミットでも、ゴルフをしようと要請していたというほど。

トランプタワーではサプライズで安倍総理の誕生日を祝い、互いに「ドナルド」「シンゾー」とファーストネームで呼び合うほどの蜜月ぶりだ。

(国際部記者 紙野武広・岡野杏有子)