日本の学生って、「ギリギリで選ぶ」っていう特徴があるんです。

大学の前期課程、2年生までに自分の専門を決めていたかっていう質問に対して、例えばアメリカでは6割近くの方が「決めていた」と答えているんです。

中国や韓国とか日本と比較的、教育体系が似ている東アジアの国でも30%くらいの方が決めていると答えている。

でも、日本だけが15％程度なんですよね。

そうなんです、要するに就職活動の時にみんなわーっと決めてますってことなんです。

だから結果としてギリギリの選択になって、自分のスタイルが分からないまま就職して、就職後に適性が判明しているということなんですね。

ただし、そこからいきなり転職しかないと思うのは早計です。

色んなやり方があって、特に最近は会社を辞めずに副業で試す手もありますよね。

もしかしたらそのほうがリスクが低くて、リターンも大きいかもしれません。

もしくは、社内で手をあげれば、異動させてもらえる可能性も今すごく高くなっています。

日本の社会人って、皆さんより上の世代はあまり会社に希望を言わなかったんですよ。

言わずに黙って辞めていっていた。

でも、今は言えばけっこう企業って対応してくれることも多いんです。

必ずしも、転職だけじゃないっていうことですね。

そのとおりです。

そうですね、副業の効果って外の世界が見られることが一番大きいです。

自分の知らなかった世界のことを知って、それを本業にも還元していくのが大きな効果だと思います。

でも、副業ができなくても、例えば「日常の越境場」っていう概念があって。

はい、越境場。

何かというと、会社の外には出てないんだけど、仕事の中に越境的な体験ができる空間ってたくさんあるよっていうことなんですよ。

例えば自分は企画系の仕事でBtoCの仕事をしたことがないんだけど、その会社の現場窓口の仕事を見たら全然違うモチベーションで働けたりするわけですよね。

実は灯台下暗しで、そういう働き方ができる場が同じビルの下の階にあるかもしれない。

副業が解禁されてない企業でも、とても有効なアプローチだと思います。

この働き方とか、この専門いいなと思ったら、そのノウハウを本業と相乗効果が出る形でどんどん使っていく。

実践の場を2つ持っていれば、試せるパターンも2倍ですよね。

実際、転職というキャリアイベントに遭遇する確率は上がってますよね。

「転職は当たり前だから、最初の就職先は勢いで決める」と言う方もいらっしゃるんですけど、私は逆だと思ってるんですよ。

転職が当たり前だからこそ、最初の就職が逆に大事になってきていると思っています。

転職のチャンスが増えるということは、自分のキャリアが切り替わるタイミングが増えているということです。

自分の職業人生、自分のキャリアにおける選択の回数が増えているんですよ。

この選択の時に何が道しるべを指し示してくれるかっていうと、選択をした経験なんです。

その1回目が就職活動じゃないですか。

もちろん本番ではありますが、就職活動の機会を生かして、自分が納得して選択する練習にもしてほしいんですね。

この時大事なのは正しいかどうかよりも、自分ならではの選択、判断ができたかだと思います。

つまり、何か考えながら走ればいいと思っていて、「こういう人はかっこいいな」とか、自分が2、3年後こういう先輩みたいになってみたいとか。

もしくは5年後、母校に呼ばれた時に先輩としてこういう話をしたいな、とかでもいいと思うんですよ。

そうですね、すると具体的にやるべきアクションが決まっていくと思います。

それはいろいろ試したうえで、転職が今の瞬間、自分にとって一番パフォーマンスが高そうだと思った時です。

その瞬間にいきなり正しい判断って絶対できないですよね。

やっぱり日々、選択の経験を積んでいって、結果として転職みたいな大きなキャリアの変化の時に満足度が高い選択ができるんだと思います。

そのとおりです。

ちなみにもうひとつ、「エンカレッジメント」、エネルギーを受け取るっていうのもすごく大事だと思っています。

背中を押してもらってパワーをもらう。

自分の応援団になってくれるような人とか、自分がすぐ相談できるような人がいるとアクションを起こしやすいです。

行動を起こすってすごくエネルギーがいるんですよ。

疲れちゃった時は自分が話しやすい人や、背中を押してくれそうな友達に話すって大事なことです。

全ての人が好きなこととか、やりたいことを見つけられるわけではないです。

けど、まず自分が直感的に楽しめることを探してみても、罰は当たらないと思うんです。

可能性のある若い人が好きなことを探さずに誰が探すんだって、私は思います。

まず、楽しんでください。