2020年06月12日
新型コロナウイルスの影響で長期化している大学生の就活。異例の出来事が相次ぎ、内定が出る時期もバラバラで想定外の疑問も出てきました。この状況下ならではの悩みも含め“内定にまつわるギモン”を、学生リポーターがマイナビ副編集長の大塚祐宜さんに聞いてきました。
(聞き手:田嶋あいか、堤啓太)
※6月9日にオンラインで取材
※タイトル、文中の「内定」は、内々定の意味です。
学生
田嶋
よろしくお願いします。6月になって内定が出始めたこの時期だからこその疑問がたくさんあります。内定を頂いてから承諾後まで幅広く教えて頂きたいです。
わかりました。一つ前提として、みなさんがこの時期「内定をもらった」という場合の“内定”は、実は“内々定”のことなんです。
大塚さん
どう違うんですか?
政府は、「正式な内定日は、卒業・修了年度の10月1日以降」とすることを経済団体や業界団体に要請をしています。ですから、それ以前の通知は厳密には内々定と表現されています。
そうだったんですね。知りませんでした。
ですから、僕はここでは内々定という言葉を使いますね。
はい、わかりました。
学生
堤
では、さっそくひとつ目の質問ですが、最終選考を受けて、1週間たっても連絡がなかった場合、その会社は諦めた方がいいのでしょうか?
正直、(答えは)両方ですかね。
一概に1週間たったからといって「無理かな・・・」と自分で諦めてしまう必要はないかなと思います。特に6月のタイミングは、各企業が一斉に選考を行っている忙しい時期。
たくさんの学生を判断しなければいけないので、必然的に判断するまでの時間がかかるケースがあります。もうちょっと待ってもいいかなと思います。
なるほど。
ただ、7月、8月、9月になると、受ける学生も減ってきて選考のサイクルが速くなる可能性が高いですよね。そのときには1週間ぐらいを目安にしてもよいって感じですね。
この時期に最終選考をしている企業が内定を出すのって、最終面接を受けてから大体どれぐらいかかりますか?
正直言って、本当にまちまちです。すぐに結果が出せるケースもあります。
是非来てもらいたい学生に会えば、その場で「是非来てほしい」という可能性もありますし、悩むケースも当然あると思います。一概に、どれぐらいって事が言いづらいです・・・。
たとえば、「数日以内に連絡します」と言われ、それを過ぎても連絡が来ないこともあり得ますか?
当初言っていた結果通達期間より明らかに遅い場合は、対応が抜けてしまっている可能性があるので、問い合わせるのが良いと思います。
今年は内定を出す時期は遅れていますか?
これも企業によっても異なってきます。採用選考自体をやっていたか、どのような形でやっていたかにもよるので、例年に比べると同じ進捗でない可能性は十分あると思います。
ただ、大手企業ですとウェブ等で対応してできる限りのことをやっていて、大幅に遅らせているところはそんなにないとみています。
わかりました。
(第1希望以外の)内定先の承諾期限が迫っているにも関わらず、第1志望の内定連絡がまだ来ていない場合ですが、こちらから内定承諾期限を延ばすようにお願いできるんですか?
内々定の返答を待ってもらえるかということですね。それでいうと、〇です
自分の事情に関しては内々定をもらっている企業に説明をして、お互いどうしたらいいかという判断を合意していくことは良いことだと思います。その方がお互いにとっていい場合が多いですね。
その場合は人事の方に連絡すればいいんですか?
そうですね。基本は人事採用担当者の方にご連絡していただくのがいいと思います。
逆に、第1志望の内定先から内定連絡がきていない状況で、「私は内定ですか?」と聞いてもいいんですか?
それは×ですね。
企業側の心情を考えてもらうと、わかりますよね。ほかの学生も見ながら適宜判断して内々定を出している状況ですから、学生からリクエストされても答えられないですし、当然理由があって結果を伝えていないので。
やっぱりそうですよね。
企業側も「質問してくる意図ってなんだろう」って推察するじゃないですか。その時に「当然ほかの企業があるからだろうな」と思いますよね。
「だったら、ほかの企業に内々定もらってる学生だし、もしかしたら他で活躍できるからいいかもしれない」って思われるかもしれないですよね。
確かに、そうですね。
内定連絡がきた時に、労働条件とかを確認してもいいんですか?
堤さんは、労働条件ってどういうイメージを持っていますか?
時間外労働が実は存在する、とか。
働く実態の部分かな?それは当然〇です。
聞いてしまっていいんですね。
できるだけ皆さんに安心して入社してもらいたいというのが企業側の心情です。
皆さんも安心して「4月から頑張れるぞ」って気持ちで就職する方が望ましいと思うので、労働条件や働く環境は内々定後も相談してもらってOKです。
じゃあ遠慮せずに、気になるところは解消していって大丈夫という事ですかね。
もちろんですね。遠慮しなくて大丈夫です。
これは選考中もそうですし、選考前でも同様です。分からない事や気になることは積極的に企業の方に聞いた方がいいです。
できるだけ内々定をもらう前の段階で情報が聞けると志望動機もより高いレベルで書けると思うので、気になったタイミングで是非聞いてみてください。
はい、わかりました!
メールで内定の連絡がきても、内定通知書が届かないという話をよく聞きます。
通知書が来ないと、本当に内定しているのかなと不安に感じてしまうと思うんですが、内定通知書がずっとこないこともあるんですか?
来ないこともあると思います。
あと、最初に申し上げたように、今は「内々定」の状態で、10月1日から「内定」が通知できるとなっているので、正式にいうとまだ内定通知書を出してはいけないタイミングなんですよ。
え、そうだったんですか。
調査によると8割の企業が「内定式で内定通知書の授与をする※」という結果がありますので、いずれかのタイミングには来るかなと思います。(※「2020年卒マイナビ企業新卒内定状況調査」より)
今の時点で内定通知書がなくても不安に思う事ではないということですか?
そのとおりですね。もちろん企業からの内々定通知メールが残っていれば証明にもなりますし、口頭で言った「これから一緒に働きましょうね」というのもやっぱり約束になります。
そうなんですね。
基本的には約束である以上、それを破ることは企業が責任を果たせていないことになります。
今はいろんな形で情報を拡散しやすい環境ですから、企業にとってもイメージが悪くなるリスクがありますよね。
はい。
ですから、通知書を取り交していないから、この学生に関しては「内々定を取り消しにしよう」とか、「内々定を出した記憶がありません」ということは、ほとんど無いと思ってもらっていいです。
今年は特に内定取り消しが出てくるんじゃないかとか、そういう噂を聞くので、ちょっと安心しました。
(“内定取り消し”は)センセーショナルな表現なのでニュースにもなりやすいんですが、ごくごく一部だと思ってもらっていいです。
経営破綻等で採用を継続できない場合など、ゼロではないかもしれませんけど、企業は、皆さんに不利益になるような取り消しをすることは基本的にはしたくないんです。内々定をもらったら安心してうれしい気持ちでいてくださって大丈夫です。
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