来年春(2022年)卒業予定の就活生の中には、すでに内定を得ている学生も出始めています。就活が本格的に始まるのは3月からですが、2月1日時点ですでに内定を得ている学生の割合は、去年の同じ時期を上回りました。

なぜ、コロナ禍でも増えているのでしょうか。

[以下「リクルートキャリアの就職プロセス調査」より　　　　　　　　　　　　　　　　　　対象:来年春(2022年)卒定の大学生　期間:2021年2月1日～4日　有効回答:1289人]

【コロナ禍だけど…】

リクルートキャリアの調査によると、2月1日時点での内定率は9.9%で去年と比べると0.9ポイント増えました。おととしとの比較でも4.1ポイント増えていて、2月の調査を始めた2015年以降(2016年卒)で最も高い水準となっています。

インターンシップを通しての早期選考の傾向が強まっているとはいえ、まだコロナ禍にある今、なぜこのような結果になったのでしょうか。

理由のひとつとして、インターンシップや面接のWEB化が定着してきたことがあげられます。

リクルートキャリアの調査を基に作成

22年卒の学生たちがことし1月末までにおこなった就職活動のうち、去年と比較しても最も差が大きかった上位5つの項目です。

最も差が大きかったのは「企業説明会・セミナーのWEB開催のものに参加した」で51.4%(前年比32.5ポイント増加)、次が「WEBでの面接を受けた」で42.3%(27.7ポイント増加)でした。

去年は、WEBの活用があまり広まっていない中で緊急事態宣言が発令され、企業の採用選考スケジュールが大幅に後ろ倒しになりました。

ことしは、WEBを使った選考の準備を企業があらかじめ進めていたため、すでにWEBを使った面接が始まっています。

急速に進んだ就活のWEB化で、学生はインターンシップの段階からWEBでの参加が当たり前となり、移動や時間に制約があっても積極的に活動しやすい状況になっているようです。

【内定を出している業種はどこ?】

新型コロナウイルスの影響がさまざまな業界に広がる中、内定を出しているのはどんな業種が多いのでしょうか。

学生が内定を得た業種で最も多いのは「情報通信業」で32.3%と大きな割合を占めています。次いで「医療・福祉業」の14.3%、小売業の13.5%と続きます。

テレワークの導入など業績が好調な「情報通信業」や、コロナ対応に追われる「医療・福祉業」は、人手が不足している企業が多いため、できるだけ早めに学生を採用したいという思いがあるようです。

特に「情報通信業」では、WEBを使った選考に対応しやすいことも早期に内定を出せた一因と考えられます。

飲食業や観光業などは、新型コロナで経営状況が著しく悪化しましたが、採用意欲の高い業種も多く、今後もしばらくは内定率は例年並みで推移するとみられています。

編集　永野亜希