文化

「世界に一つだけの花」「居酒屋」…平成 音楽 著作権料で分析

「世界に一つだけの花」「居酒屋」…平成 音楽 著作権料で分析

2019.04.16

平成の30年を通じて音楽の聴かれ方はどのように変わってきたのか。JASRAC=日本音楽著作権協会が著作権料をもとに分析したところ、インターネットによる配信が急速に伸びてCDを上回るようになった一方で、カラオケで長く歌われている曲が上位に入るなど、多様化がうかがえる結果となりました。

JASRACは、平成元年度から昨年度(30年度)までの30年を通じて、CDやカラオケといったジャンルごとの割合と、作曲家などに分配した著作権料が上位の作品を調べ、音楽の聴かれ方や歌われ方の変化を分析しました。

それによりますと、CDやレコードなどの売り上げによる「CDなど」は、最も多い平成10年度には420億円に達しましたが、昨年度は105億円と4分の1に落ち込み、全体に占める割合も昨年度は9.4%にとどまっています。

これに対して、インターネットによる「配信」は平成13年度に初めて登場したあと、平成29年度には「CDなど」を上回り、昨年度は全体の14.3%を占めています。

一方、「カラオケ」は全体の割合がおおむね10%台と30年を通じた大きな変動は見られず、デュエット曲の「居酒屋」や、美空ひばりさんの「川の流れのように」など、カラオケで長く歌われている曲が作品別の上位に入っています。

著作権料の分配額の合計が最も多かった作品は、平成15年に発売されたSMAPの「世界に一つだけの花」でした。

JASRAC広報部の谷夏葉さんは「CDの販売枚数が平成の中期にピークとなり、その後、多様化の時代を迎えた。ここ10年は動画配信サイトが浸透したことで、音楽は聴くだけのものではなくアニメやドラマなどとともに楽しむ時代になった。生活の中に音楽があるという点ではこれからの時代も変わらず、楽しみ方の幅は今後も広がり続けると思います」と話しています。

曲ごとに聴かれ方の違いが

平成の30年を通じた上位の楽曲の著作権料の構成比を見てみますと、CDやカラオケといったジャンルごとの割合の特徴が曲ごとに異なり、聴かれ方の違いがうかがえます。

1位となったSMAPの「世界に一つだけの花」は「カラオケ」が最も多かったものの26%にとどまり、CDやネット配信、放送などさまざまな形で多くの人に親しまれてきました。

2位は五木ひろしさんと木の実ナナさんのデュエットで知られる「居酒屋」です。カラオケによる収入が65%におよび、平成に入ってからも定番のカラオケソングとして歌われ続けたことが分かります。

3位は平成7年に放送が始まった人気アニメの音楽「エヴァンゲリオンBGM」で、DVDの販売やパチンコの音楽などによる「ビデオなど」が8割近くを占めています。

4位は平成元年に発売された美空ひばりさんの「川の流れのように」で「カラオケ」と「CDなど」がともに2割を超えています。

5位は「新世紀エヴァンゲリオン」の主題歌「残酷な天使のテーゼ」で、「ビデオなど」が半分近くを占めています。

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