就活ニュース

「本心を忘れないで」ワンキャリア・寺口浩大さんに聞く

2022年03月16日

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ずっとやりたかった仕事だけど、手が届きそうもない…。こんな時、心にふたをして別の道を探した方がいいの? もし今そんなふうに思い詰めている人がいたら、少し考え方を変えてみませんか。

就活が上手くいかなくても、いつかやりたい仕事にたどりつくために必要なことを、ワンキャリアのEvangelist(エバンジェリスト)・寺口浩大さんに聞きました。

(聞き手:小野口愛梨 梶原龍)

 

夢は持っていていい

学生
小野口

ずっとやりたい仕事を目指して就活してきたけどうまくいかず、別の道を探さなければいけないことってあると思います。

こういう時、ほかにやりたいことが見つけられなかったらどうすればいいですか?

何か目指す夢があるっていう時点ですごく幸運なことですよね。

寺口さん

ただ、それがもしうまくいかなかった場合には、「他の領域の仕事でも同じようなことができないか」を考えてほしいです。

例えば、アナウンサーという職業を例に考えてみます。

夢を諦めた方がいい?という問いに答えるワンキャリア・Evangelistの寺口浩大さん

アナウンサーってたくさんの人たちに、世の中で起こっていることを伝える仕事ですよね。

この伝えることって、例えば今の僕の仕事(PR)でもできるんですよ。

「今の世の中の仕事選びの現状はこうなっています」と、自分の興味のある領域のニュースを毎日発信していくのが僕の仕事です。

世の中の知られていない所に光を当てて伝えていくという意味では、アナウンサーと同じようなことをしているのかもしれない、と考えることができます。

とらえ方次第ですね。

そんな気がしますね。世の中にはやりたいことを実現するためのジョブって思っている以上にたくさんあるんだということを知っておいてほしいです。

あと、今はキャリアパスも多様化していて、アナウンサーという専門性の高い職業でも、別業種に転職したり、別の仕事からアナウンサーに転身したりというケースもあります。

だから、最初の就職の時点で諦めてしまわなくても、夢を持ち続けていていいんじゃないかなって思います。きっと実現する方法はいろいろある。

はい。

向いていない?と思ったら

学生
梶原

同じ職業を目指すまわりの就活生が、自分とはタイプが真逆で「自分は向いてないんじゃないか」とか「この業界違うんじゃないかな」って思えてきたりします。

そういう時って、自分のやりたい仕事や行きたい業界に突き進んでいっていいのかどうか迷います。

タイプが真逆というのは?

自分にないものを持ってるというか…。例えば、すごく好奇心が強かったり、社交的だったり。

なるほど。

そうすると、今まで見てきた業界が自分に合わない気がしてきて、じゃあほかに会う仕事ってなんだろうな…って考えはじめるんですけど。

確かに(業界によっては)こういう人が多いというような特性はあるかもしれないですね。

でも、組織って同じタイプの人だけだと、その企業も業界も変化に対応できず苦労します。

多くの企業が、今ダイバーシティー&インクルージョンを掲げて頑張ってるじゃないですか。

あれは世の中の流れがそうだからという理由もありますけど、それ以上に同じようなタイプの人たちだけでやってきた結果、新しいものが生まれないことに困っているということもあるんですよ。

今は自社にいろんなタイプの人たちを集めておかなければいけないし、その人たちがお互いの違いを尊重しながら気持ちよく働ける環境をつくっていかなきゃいけないよねっていうのが大きな流れであり、テーマでもあります。

そうなんですね。

あと世の中って、「AなのにB」みたいなものに対して興味を持ちやすいんですよね。

僕もそうかもしれないですけど、元々は銀行員だったのに、見た目がこんなふうとか(笑)。

だから、仮に自分とは違うタイプの人が多い業界に転がり込めたとしたら、それはそれで貴重な経験ができて楽しいと思いますよ。

もしかすると「自分、浮いてるな」と感じることもあるかもしれませんが、レアになるのと孤独はある程度セットかもしれません。

人生ごと楽しむ感じですね(笑)

自分の目指している職業に自信がなくなっても、ほかの業界、ほかの仕事を探さなくてもいいということですかね。

いや、「探してもいい」と思いますよ。

自分のやりたい仕事の要素を分解して、その仕事の何が好きなのか考えてみましょう。

同じことが他の仕事でもできるかもしれない。ほかにもいっぱい可能性があるなと思ったら、気持ちに余裕も出てくるじゃないですか。

業界なんて誰かが後から決めたものなので。

「この業界全部落ちたら人生終わり」ってならずに、余裕をもって就活をするためにも、自分が当初、目指してたところとは違う業界や仕事を見てみてもいいとは思いますね。

なるほど。気持ちを楽にするためにも、やってみた方がよさそうですね。

仕事選びはジョギングで

1つの仕事を目指して就活の準備をしてきて、今さら違う業界に目を向けるとなると、なんだかこれまでの時間を無駄にしてきたみたいな気持ちでとらえてしまいそうです。

仕事選びの前提が苦行になっちゃってますね。

仕事選びって、一生終わらないんですよ。

え?

キャリア作りも仕事選びも一生続くので、どちらかっていうとジョギングっぽくやった方がいいですね。

ジョギング……

半年間を無駄にしたと思うような就活の仕方って、無酸素運動で全力疾走している感じに見えます。

「ゴールがあそこにあって、そこまではもう呼吸せずに走るぞ」みたいな。そこまでいったら、別の方向に全力疾走して、また疲れてしまう。

ジョギングっぽく自分のペースで走る方が気持ちいいじゃないですか。

採用に募集期間はありますけど、仕事選びは自分のペースでやればいいと思います。

焦らなくていいということですか?

就活は個人と企業が効果的にマッチングできるための世の中のシステムだと思います。仕事選びはシステムじゃありません。

就活をするか仕事選びをするかは、同じことをやっているようで実は違うんです。

就活というシステムに無理やり合わせて仕事選びをしなくてもいい。

仕事選びに「解禁」はないし、1年生からやってもいいし、4年生の最後でやってもいいし、大学を卒業してからでもいい。

就活というシステムについて一応、知っておいてもらいながら、自分のペース、自分の価値観、自分のやり方で仕事選びをしてほしいです。

みなさんにそうしてもらえることを切に願い続けています。

本心を忘れないで

新卒の段階でやりたい仕事に就けなかった場合、いつかやりたい仕事にたどりつくための心構えってありますか?

そもそも仕事選びやキャリア作りは、就職した後もジョギング的に続いていくもんだよっていう前提がちゃんとあった方がいい。

だから、一番のリスクが何かというと、選考に落ちることではなく、自分の本心を忘れることです。

自分で自分の本当の気持ちを忘れることがあるんです。僕もそういう経験があって、そのときはめちゃ辛かったです。

お聞きしていいですか?

僕は新卒で就活をしていた時、最初は面接で「社会のムードメーカーになりたい」って言ってたんですよ。

いま思えばすごく青臭く聞こえることを言っていたと思うし、面接は全然受からなかったです。

それで、バカにされたり否定されるのが嫌で、就活で「~っぽい」ことばかり言うようになったら、就職はできたんです。

でも、「それっぽいこと」を言う癖がついてしまって、今度は、自分が何を考えているのか分からなくなっちゃいました。

最初は、口で言うことと頭で思っている本音は分けたつもりでいるんですけど、脳が自分の口から出た言葉ばかり聞くじゃないですか。

はい。

頭でも表向きの回答ばかりが浮かぶようになっていったんですよ。

使い分けられていたはずなのに、知らない間に自分の純粋な感情が消えちゃったんです。

自分の本心を思い出すのに、たぶん、1年くらいかかりました。最初に就職した会社で、最後の一年間は抜け殻状態でした。

そうだったんですね。

逆にいうとこの期間に僕は「社会のムードメーカーになりたい」という本心を思い出したので、社会の空気をつくっていくような今の仕事にたどり着いていると思っています。

人気とか年収とかは1社目の方が高いかもしれないけれど、今はそれだけで十分幸せだなと思います。

なるほど。

受かるために、自分の本心を「就活っぽい」せりふに変えた人って、入ってから目が覚めて、モヤモヤして、辞める人が多いと思います。

だから自分のキャリアづくりの主導権を「就活」というシステムに渡したらダメなんです。自分自身をずっと持っておけるようにしてほしいです。

もう1つは、就活メディアなど「就活用」の情報だけ見ていると、就活のことしか考えられなくなるんで、もっとキャリア全体をとらえることを心がけてほしいです。

どういうことですか?

例えばコンサルを目指してる人って結構多いと思うんですけど。コンサルティングファームごとに次のキャリアパスって違うのかな、とか。

業界でひとくくりにされているけど、実は会社によってそれぞれスタンスや仕事のやり方が違ったりするのかなとか、そういうことですね。

今は情報がどんどんオープンになり始めているので、就活の向こう側の情報をバランスよく得て欲しいです。

「就活」に関する情報ばかり摂取すると、どんどん“就活脳”になるので、「キャリア」を意識しながら情報を見てほしいと思います。

長い目で見ていくっていうことが大事なんですね。ありがとうございました。

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