電話相談をメインに、今も朝から夕方までずっと相談を受けている状態です。

相談は、新型コロナウイルスそのものというより、コロナの影響で色々変わらざるをえなかったことに関連するものが多いですね。

私の大学は神戸ですので、阪神・淡路大震災の時にも相談に応じていました。その際も渦中にある時はまだカウンセラーにじっくり相談するというタイミングではなく、何ヶ月かして増えてきました。

新型コロナに関しても、もうしばらくして相談が出てくるのかなって予想しています。

３月にも一つ上の学年の学生さんで、就職目前に内定取消しにあって、人生が変わってしまったというニュースがありましたね。

本当に何のせいにしていいのかわからない、心理学的に言えばトラウマ体験だと思うんですね。

まずは周囲の方が「休もう」「次のことはもっとじっくり時間をかけて立て直そう」と寄り添うのが一番必要です。

人間はなかなか、ダメだったからといってチャンネルを切り替えるみたいにパッと前向きになんてなれないんです。

無理にそういうことをしてしまうと、何年も経ってから、トラウマの反応が心の病として出てきたりすることもあるんですよ。

不運に見舞われた時はまず、そこに踏みとどまるってことしか人間にはできないんじゃないかって、私は思っています。

我々の人生でももう一度あるかないかみたいなことが起きている状況だと思うんですよ。ストレスに晒されて、いろんな反応が出てくるのは自然なことだから、そこを責めないっていうのが大事かなと思います。

いつ頃になったら内定のピークが来るのかもよく分からない状況ですよね。

例年であれば、３月～５月が就職活動の山場ですよね。

早くから準備して3回生（3年生）の夏秋からインターンシップに参加していた学生さんたちもいらっしゃいますけど、最終選考を残して、「次は６月ね」なんてポーンと２ヶ月くらい先送りされてしまったり…。

通常のペースで春休みからやろうと思っていた学生は、はじめた途端に合同説明会も全部無くなって、やることを取り上げられてしまった。そういう状況でモチベーションを維持するのは一番困難ですよね。

たとえ、今までの選考に残っていたとしても、延期された最終選考でダメになる可能性もあるわけですから。じゃあ何ができる？と考え出すとどうしようもない気持ちになるってことなんですね。

私、思うんですけどね。ここが山場だ、ゴールだと思ってそこを目がけてモチベーションとテンションをぐーっと上げていったのに、そのゴールが突然消えてしまって困惑しているのは、まさにアスリートの方々の今と同じだなと。

オリンピックを目指してきた選手たちもそうですよね。この夏にむけてそこにピークを持っていくために何年間も準備をしてきて、直前でゴールがどこかへ行っちゃったという状況になってしまいました。

ですから、アスリートの方たちが発信して下さってることは参考になると思いますね。

社会貢献活動をして、いろいろ社会に発信して下さっているアスリートがたくさんいらっしゃるんですけど、人に役立つことをこの宙ぶらりんの期間にやってみるっていう発想の転換もとても意味があると思います。

「人の役に立つ」というのは、実は、無力感を克服するすごく有効な手立てなんですよ。

わかります。どうしてもこもりがちな生活で、変化が少なくなりますよね。いろいろ出かけるというのは難しいですが、リズムを整えて、オンオフの濃淡を考えていくのがいいと思いますね。

そうですね…。

オンライン飲み会とかやっても、帰らなくていいので永遠に続くというか。

あれは良くないですね。終電を気にしなくて大丈夫ですからね（笑）

学生さんがそのまま使えるか分からないですけど、うちの職場は、いま、みんな在宅勤務になっていますが、朝礼とか夕礼とか、毎日、定期的に、ちょっとだけオンラインで集まって話しているんです。

学生でも“朝活”じゃないけれど、朝にちょっとだけオンラインで集まって、「元気？」「今日も１日頑張ろうね」ってやり取りするのもいいかなと思いますね。

そうですね。人と交わることが習慣になるような。そして１日のスタートにもなることができるといいと思いますよ。