新型コロナウイルスの影響で、例年とは大きく異なった今年の就職活動。
大学生や採用担当者が詠んだ川柳や短歌には、異例の就活が色濃く反映されていました。

今年の川柳や短歌で圧倒的多数を占めたのが「WEB面接」についてです。
新型コロナウイルスの影響で「オンライン就活」が一気に広まったことから就活生、採用担当者ともに8割程度がテーマに選んだそうです。

HR総研と楽天みん就が2021年卒の会員に行ったアンケート(「2021年卒業生の就職活動動向調査」)では「1社以上オンライン面接を受けたことがある」と回答した就活生は9割以上と“当たり前”の選考方法となりました。でも、急に増えたWEB面接には戸惑い、焦り・・・さまざまな経験や思いがあったようです。

では、入選した作品をみてみましょう。

就活生部門の最優秀作品はこちら。

WEB面接で就活生を悩ませる最大の問題のひとつが、通信回線のトラブル。

この川柳を詠んだ学生は「人生がかかる就活面接で回線が止まってしまうと本当にあせって、シャツがびしょびしょになるくらい冷や汗が止まりませんでした」と話していたそうです。

大事なWEB面接中に同じような体験をし、共感する就活生も多いのではないでしょうか。

このほかにも

など、おのおのユーモアを交えてオンラインでの面接を振り返っていました。

次も「よくあった」エピソードです。

WEB面接といえば、慣れないのは同居する家族も同じ。

家族が登場する作品も多くありました。

採用担当者が詠んだ、面接中のハプニング。

面接中に学生の背後のドアが開き、「あんた、なに独り言しゃべっているの?」と入ってきた母親に学生は「面接中!出てって!」と必死で怒っていたそうです。

WEB面接は、同居家族の協力なしには成立しないものですね。

緊張しながら部屋で面接を受ける学生も、息をひそめなければいけない家族も、それぞれ大変です。

そうかと思えば、さりげない気遣いを見せる親について詠んだものもありました。

就活生の優秀作品。

これを詠んだ就活生は、「『あまり聞かれたくないんでしょ?』と、そっと散歩に行ってくれる母に感謝です」と話しているそうです。

日本の住宅事情では部屋数も限られるので、自宅で面接を受けざるを得ない学生にとって、こうした工夫はありがたいですね。

採用者側からは自嘲混じりにこんな川柳も。

WEB面接を受ける学生は自宅ですが、面接側は出社して会社からという状況を詠んだもの。

エントリーシートをはじめ、個人情報が満載の面接ですし、安定した回線で・・・となると、面接官も自宅からというわけにはいかないケースもあったようです。

去年までは、就職活動にまつわる幅広いテーマから詠まれていたものの、今年はWEB面接一色となった就活川柳。

新型コロナウイルスの影響でこの傾向は続くのか、従来通りの悲喜こもごもに戻るのか、来年も注目したいと思います。

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取材・編集 永野亜希