少子化の中、優秀な人材を獲得したいと採用意欲が高まり、国内企業の外国人留学生の採用状況は、この春、調査開始以来、過去最高となっていました。ところが、新型コロナウイルスで急ブレーキがかかっているようです。

【この春の外国人留学生の採用は“過去最高”だった・・・】

グローバル化や外国人観光客の増加の中、企業の成長を支える存在でもあった外国人留学生。
就職情報会社「マイナビ」が、企業を対象に行った外国人留学生採用状況の調査結果をみると、多くの企業が、外国人留学生の採用に積極的だったことがうかがえます。

背景にあるのは、少子化による大学生の就活の売り手市場。

「営業・コンサルタント職系」や「製造技術・生産・管理職系」の需要が高く、優秀な外国人留学生のニーズが高まっていたのです。

調査では、2020年春に卒業した外国人留学生を採用した(する予定)と答えた企業は、35.8%。

2年前(2018年)の調査より20.4ポイントも増加し、マイナビの調査開始以来、過去最高となっていました。

採用の理由を尋ねると、「国籍を問わず優秀な人材確保のため」という答えが6割近くを占め、外国人留学生は語学だけでなく、そのスキルにも企業の期待が集まっていたことがうかがえます。

ところが・・・新型コロナで状況が一変したようです。

【内定の状況は?】

マイナビでは、今回、新型コロナウイルスの感染拡大による外国人留学生の就職活動への影響を調べるため、2020年5月20日～25日にかけて、この半年以内に日本に留学していた外国人留学生を対象に、緊急でWEBアンケートを行いました。

回答者は310人(日本の大学への正規留学:275人/交換留学:9人/ 語学学校・専門学校:24人/その他:2人)

就職活動の状況を尋ねたところ「内定をもらった」と回答したのは、310人中7人で2.2%でした。

ちなみにマイナビの調査では、2021年卒業予定の大学生・大学院生の5月末時点の内々定率は48%。

単純に比較することはできませんが、外国人留学生の就職活動が厳しい状態にあることがうかがえます。

▼主な理由としては、
・「外国人留学生を対象の合同企業説明会も中止が相次ぎ、企業とのマッチングの場が少なくなった」
・「外国人観光客が来日できなくなりインバウンド需要が激減し企業側からのニーズも減少」
・「採用に力を入れてきた企業も業績が悪化した」
があげられます。

【現在の悩み】

アンケートでは、外国人留学生に就職活動の不安点や困っていることをたずねています。

グローバル化やインバウンドの増加の中、企業の成長を支える存在でもあった外国人留学生ですが、新型コロナウイルスの影響で企業の採用が縮小することを懸念する声が目立ちます。

また、ことしはWEB面接の導入が一気に進みましたが、半数近くが面接に不安を感じていて、大学の授業も休講が続き、例年以上に留学生の就活へのフォローが不足している可能性があります。

【日本に残る?帰国する?】

では、留学生たちはこの先どうするつもりなのでしょうか?

今後の日本の滞在予定についてたずねたところ、62.1%が「就職活動等の理由により、予定より長く滞在する」と回答。
「当初の予定通り、留学を終えるまで日本に滞在する」は37%。
「新型コロナウイルスの影響により、予定より早く留学を終える」は0.9%にとどまりました。

従来通りか、予定より長く滞在したいという意向が圧倒的に多いようです。

【それでも日本で働きたい】

就職意欲についてたずねたところ、

「必ず日本で働きたい」と答えた留学生は68.1%。
「できれば日本で働きたい」が28.1%。
「日本で働く意欲が以前より下がっている」は3.8%でした。

「日本の文化や生活習慣が好き」、「先端の技術を学びたい」。
新型コロナウイルスの影響により、採用が減ることへの不安はあっても、スキルを磨きたい、語学力を生かしたいと日本で働くことを希望する留学生が多いようです。