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Uターン就職を増やすには?

2020年06月19日

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東京や大阪などの都会に出た大学生が地元に戻って就職する際のネックは?大学生へのアンケートから浮かび上がったのは「お金」と「日本の地方が置かれた環境」でした。長年の課題を克服するために、就活生が考えた地元就職希望者を増やすアイデアとは?

就活生のアイデアは、就職情報会社マイナビの「2021年卒大学生Uターン・地元就職に関する調査」(調査期間:3月18日~4月6日、有効回答数:7263人)に自由記述方式で寄せられた。アイデアは主に1)知る機会、2)金銭的支援、3)環境に分けられた。

本当は地元で働きたい!就活生が考えたアイデアは?こちらからごらんください。

【金銭的支援】

このうち2)金銭的支援について見ていくと、地元就職を希望する地元外に進学した学生がぶつかる壁は、やはり「交通費」のようです。

・「Uターン先が遠い人の為にも就職活動が始まった際に、一部交通費を負担すると人が集まりやすいと感じます。少しでも負担してくれると企業に対しての好感度も上がるし、良いと思います」(熊本県出身/明治学院大学)
・「帰省するのに一定以上の時間・交通費がかかるケースの人に、経済的な支援があれば、離れた地方に住んでいてもUターン就職しやすいと思う」(奈良県出身/長崎大学)

ただ、就活の際の交通費の問題がクリアになったとしても、一生付きまとうのが“賃金”の問題です。

・結局は地方との賃金格差が問題(愛知県出身/法政大学)
・「田舎住みの人が都会へ出て就職したいと考える理由の一つとして、給料面があると思います。田舎で就職するとどうしても手取りが少ない」(滋賀県出身/大阪産業大学)
・「給料の低さや、職種が絞られてしまうから都市へ出て行く学生が多いと思います」(兵庫県出身/関西大学)

厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」で都道府県別賃金(1ヶ月分の給与額から超過労働給与額を引いた金額の平均)をみると、東京都が全国で最も高く37万9千円、次いで神奈川県が34万1100円、大阪府が33万2200円だったのに対し、青森県が23万9千円、宮崎県が24万3千円、秋田県が24万3900円と大都市と地方で賃金に大きな差がついている。

それに対して、多くの人が提案したのが、福利厚生や補助といった形で、大都市との賃金差のバランスを取るアイデアだ。

・「Uターンすることで奨学金の返済を援助してもらえたりすると嬉しいと思う」(熊本県出身/長崎国際大学)
・「引っ越し金や住宅補助など金銭的に支援があると戻りたいと思う」(福岡県出身/九州共立大学)
・「交通機関があまり発達していない場所であれば、自動車を購入するときのお金を一部負担などの制度があると嬉しい」(静岡県出身/中京大学)

その他、育児や介護に対する補助などを手厚くすることで、都会との賃金差を埋め、暮らしやすくするといった案がたくさん寄せられた。また、Uターン就職者への税制控除などの提案もあった。

【環境】
3)の環境に対するアイデア。
地方がおかれている”環境”自体を変えなくては地元就職は難しいという意見が多数を占めていた。

「私の地元はデイサービスばかりが増えていきます。完全なる後期高齢化社会のディストピア(ユートピア=理想郷の対義語)のようになっていて、私、ここで何ができるの?という気持ちになります」と書いたのは長崎県出身の愛知県立芸術大学の学生。

新潟出身で地元の新潟大学に進学した学生も「私の地元は、公共交通網が貧弱で車がないと生活できない。また、車で行ける最寄りのショッピングモールも品ぞろえが乏しい。地元には選択肢があまりにも少ない」と地方の厳しい現実を指摘する。

また、趣味のアイドルの追っかけや、音楽ライブへの参加など田舎に帰ってしまうとアクセスが不便だから帰りたくないという率直な意見もあった。

それに対しては、

・「プライベートを充実させるためのレジャー施設やショッピング施設を増やすことで、(地元就職)希望者は増えていくと思います」(長崎県出身/山口大学)
・「東京からのアクセスをよくすること」(茨城県出身/中央学院大学)
・「交通網や街を活性化させ、住みたいと思わせる。例えば、電車の本数や急行列車を増設したり、大きなコンサート会場などを作り、人を集められるようにする」(石川県出身/奈良大学)

など、プライベートを充実させるためのまちづくりを!という提案が多かった。

さらに切実なのは、希望する職種の企業が地元にないという訴え。

・「求職者の数に対して相応の給料が貰える民間企業があまりにも少なすぎる」(宮城県出身/一橋大学)
・「技術系が活躍できる企業の研究所を増やして欲しいです。地元だと選択肢が少なすぎて、就職が難しいかもしれません」(北海道出身/信州大学)
・「私のようにマスコミ志望だと東京が主要地域になりますので、Uターン就職は考えません」(京都府出身/成城大学)
・「文系大卒の人は京都に居続ける方が生活しやすいと思うが、理系大卒の自分のような人、特に生物系は企業自体が少ない気がする」(京都府出身/東海大学)

それに対しては、地元に企業を誘致するアイデアが目立った。

・「企業の本社が東京に集中しすぎているため創業者の出身地等に本拠点をおいて、日本を支えるような会社になってほしい」(大分県出身/大分大学)
・「自分の地元は広いが使われていない土地が多過ぎる。工場なり研究機関を設置すればもっと人を呼び込めると思う」(岩手県出身/新潟大学)

その他、積極的にリモートワークを取り入れることで、地元就職を可能にしてほしいという意見も。

まだ、社会に出ていない大学生の意見は理想論すぎるかもしれません。
現実を知らなすぎると一刀両断することもできますが、新型コロナウイルスの影響で、リモートワークという新たな働き方も増えています。地方人気が高まる可能性がある今だからこそ、少し耳を傾けてみませんか。

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