新型コロナウイルスの感染拡大は例年の就活ピーク時を直撃。企業の採用活動のあり方も大きな変更を迫られました。就活生も大変ですが、企業の採用担当者も悩んでいるようです。就職情報サイト「マイナビ」が実施した企業へのアンケートをもとに、高橋誠人編集長に企業の状況、就活への影響を聞きました。
(アンケート:4月9日～13日実施、1926社回答)

【人事も在宅ワーク】
Q.
今回のアンケートでは、採用担当者が在宅勤務をしているか聞いていましたね。このアンケート結果からはどんなことが分かりますか。

高橋さん
特に東京では採用担当者の在宅勤務率が高くなっていて、大手企業では在宅勤務が進んでいます。在宅勤務で、自宅からWEB面接を行うのは難しいこともあるので、そういった影響は出そうです。ただ、就活への影響はどうなのか、はっきりと読み取るのは難しいです。

Q.
企業の規模によって働く環境に差が出ているということは言えそうですよね。

高橋さん
そうだと思います。

【企業も悩んでいる】

Q.
採用担当者の懸念も聞き取っていますが、さまざまな悩みが寄せられていますね。

高橋さん
そうですね。特に中小企業は通信インフラを含めた環境が整っていないところも多くあります。学生に発信する手段がなく、選考したくても進めることができません。地方とか従業員規模が少ない企業はその度合いが強いです。

高橋さん
合同企業説明会がなくなると、学生との接点がなくなるという悩みを中小企業から聞きます。今まではそういった説明会で偶然の出会いがあり、興味がなかったところに声をかけられて、それがうれしい結果につながることがあったんです。

Q.
地方の企業、中小企業にとっては採用環境の変化は影響が大きいということですか。

高橋さん
説明会がWEBになると、どうしても知っている企業のWEBセミナーからクリックするようになります。WEBでの限界というか、実際の企業説明会の会場では、たまたま見かけた企業を知ったり、その企業の良さを見つけたりってこともあるんですけど、WEBですとそうした偶然の出会いは起きづらいですね。WEBセミナーの担当者とも、大手以外にも目を向けてもらう仕組みを作らないといけないと話しています。

Q.
「内定辞退につながるのでは」という懸念が気になったのですが、どういうことですか。

高橋さん
中小企業が先に採用活動を始める事態になった場合に、大手があとから内定出したらそっちにいくんじゃないかということですね。ただ、大手よりも中小が先に採用することは多分ないのではと思います。

それよりも、入社後も含めたミスマッチですよね。顔を見て面接できないと内定辞退につながるんじゃないかという懸念があります。これまであったOBOG訪問、社内懇親会がなくなっています。企業側が学生と接点がないだけでなく、学生側も実際の社員との接点が薄くなっている。この状態のまま来年の4月に入社式をやって、「こんなはずじゃなかったのに…」とか「こんな社員ばかりで合うのか…」とか、学生が思ってしまわないのか懸念しているようです。

【企業は「採用したい!」】
Q.
企業から学生へのメッセージもたくさん寄せられていましたね。

高橋さん
こういう状況は学生も企業も初めてだと思うのですが、新卒採用の担当の方々って学生思いだなと感じました。(調査結果を見てみると)社会に出る学生の気持ちに寄り添っているような気がしました。

Q.
企業側は就活生にどう受け取ってほしいのでしょうか。

高橋さん
「君たち(就活生)に会いたいたんだよ」という気持ちが伝わってきました。先行きが不透明だからといって採用をシャットアウトしているんじゃないと。

新卒は採用したいし、ぜひ入ってほしい。けど自粛しないといけないので、今は我慢してまた会いましょうねって優しい雰囲気がありました。だから、それが伝わって学生がポジティブになってくれたらうれしいです。

マイナビも在宅ワーク。高橋編集長にはWEBでお話を伺いました。

Q.
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、これからの就活はどう変化すると思いますか。

高橋さん
採用は効率化していくと思います。WEBの利用は絶対に増えていきますし、録画でいいような内容は録画で見てもらうとか。新卒一括採用の仕組みや、雇用全体の問題もあると思いますが、これまで通りということはなくて、変化していくと思います。

こちらもご覧ください。
新型コロナ直撃の就活(1)「採用は継続?止まってる?」
新型コロナ直撃の就活(2)「就活生はどうすれば?」

取材・構成
加藤陽平