2020年01月08日
売り手市場と言われる学生の就職活動ですが、なかでも高い就職率を誇っているのが女子大学。
なぜ女子大はひときわ就職に強いのか? 取り組みを取材しました。
まずは、このデータご覧ください。
調査会社の大学通信がまとめた、2019年3月に卒業した学生を対象にした「実就職率ランキング」。
女子大の就職率は平均91.7%で、全体の就職率を上回っています。
(実就職率=就職した卒業生÷(卒業生全体-大学院進学者)×100)
女子大全体の就職率は9割超え。全体の就職率を3ポイント近く上回っています。
【社会人メンターがアドバイス】
そのランキングで、9年連続1位になっているのが昭和女子大学。(卒業生1000人以上の女子大が対象)
高い就職率を支えるのが、「社会人メンター制度」です。
メンバーには約300人の社会人が登録し、現役の学生たちの就活相談にのります。
メンターの相談会は、定期的に大学内で開かれているので、その様子をのぞいてみることに。
この日は、昼休みの時間帯に学内の一角で開かれていました。
9人のメンターがテーブルについて、学生が訪ねて質問する形式。
かわるがわる、100人を超える学生が訪れていました。
この相談会に、すでに3回参加しているという2年生に話を聞くと、「いろんな業界の先輩に話を聞く機会は貴重で、どうやって仕事を決めるか、視野が広がります」と満足度は高そう。
相談会のほか、学生は、検索システムを通して自分にあったメンターを探し、マンツーマンで相談にのってもらうこともできるそうです。
昭和女子大学キャリア支援センターの磯野彰彦センター長は「親でも先生でもない女性に話を聞くことで、働く女性のロールモデルを考える機会になっていて、意義は大きい」と話していました。
【草の根の就活支援】
東京女子大学は「有名企業400社の実就職率ランキング」(大学通信 2019年)で、女子大の中でトップに。
その要因を東京女子大学のキャリア・センターに聞くと「草の根の支援」がポイントだそうです。
キャリア・センターの6人の職員が、それぞれ200人から250人の学生を担当。1人1人の志望や状況を、直接、把握しています。
就活シーズンになれば、電話やメール、大学の公式LINEでの連絡、さらに学生がつかまらないと、必修授業の教室の外で「出待ち」することも。
内定だけでなく、最終的に進路を決めるまでフォローするそうです。
このような支援は30年以上続けていて、志望度の高い企業に就職できる学生が増えてきたといいます。
さらにVRで模擬面接を受けられるシステムも導入。
模擬面接やグループディスカッションの様子を360度の映像で体験できるので、学生に面接の雰囲気を体験してもらい「場慣れ」してもらおうという狙いです。
東京女子大学キャリア・センターの村石隆造主任は、「比較的、規模が小さい大学だからできることですが、継続してきめ細やかなフォローをすることが重要だと思います」と話しています。
【高い就職率でアピール】
取材してみると両大学とも、とにかく丁寧に、きめ細かに学生をサポートしていることが印象的です。
もちろん、学生たちが納得できる就職先を探すためですが、同時に女子大学にとって高い就職率は重要なアピールポイントにもなっています。
就活の早期化や就職先の多様化も進む中で、就活支援に力を入れる大学は増えそうです。
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