2019年10月28日
2020年卒の採用活動は、学生優位の売り手市場が続き「厳しい」と感じる企業が8割―。内定辞退の多さにも悩みが・・・。就職情報会社ディスコが内定解禁を機に全国の主要企業に対して行った『新卒採用に関する企業調査(2019 年 10 月調査) /2020年卒採用 内定動向調査』(調査期間:9月25日-10月4日、回答社数:1474社)で、今年も続く熾烈な新卒採用競争が浮き彫りになった。
◆採用活動は「厳しい」が82.9%
調査によると、ここまでの採用活動の感想を尋ねたところ、「とても厳しい」が33.7%、「やや厳しい」が49.2%で、あわせて82・9%の企業が“厳しい”と感じていた。
特に、製造業では37%が、サービス業などでは34・3%が「とても厳しい」と回答。
事業規模では、300人に満たない中小企業で36.4%が「とても厳しい」と答えた。
◆内定辞退率の増加に苦心する企業
原因としては、そもそも求人数に対して満足な応募数が集まらないことに始まるが、内定辞退率が高いということも大きい。
内定辞退者については、「かなり増えた」10.7%、「やや増えた」22.5%と、計33.2%の企業が増えたと答えた。一方、「かなり減った」、「やや減った」など減ったとしたのは、24.5%で、「増えた」が「減った」を8.7ポイント上回った。
内定辞退率増加の背景には内定時期の早期化がある。
同社の「2020 年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査」(7月1日から9日に実施・有効回答1376社)によると、2020年卒の採用に関して「3月採用広報解禁、6月選考解禁」という就活ルールを守っている企業は1割に過ぎなかったという。内定時期は、4月下旬が16.9%と最も多くなっており、昨年のピークが6月上旬の15.6%だったのと比べ、早期化が顕著に。
内定辞退のピークは、6月上旬で、早期に内定をもらった学生が、6月1日の選考解禁後に本命から内定を得てそれまでもらっていた内定を辞退する流れがあり、辞退率が高まってしまった。
調査に答えた企業からは、「早い時期に内定を出した学生の半数以上が辞退をする」(情報処理・ソフトウエア/大手)という声も寄せられている。
◆規模が小さい企業ほど低くなる充足率
採用活動の厳しさを示すもう一つの数字が、採用予定数に対する内定者の割合を示す「充足率」だ。平均値は前年比1.2ポイント減の76.2%。従業員規模別にみると、1000人以上の大手企業では充足率は84.1%に上るが、300人―999人で79.1%、299人以下では67.5%となった。業界別では、金融が87.8%と最も高かった。
ディスコによると、今後は全体として売り手市場の傾向は続くものの、中小企業と大手企業・準大手企業との間で少し差が出てくる可能性があるという。「売り手市場を背景に、学生はなるべく上を目指して受ける、という大手志向を強めているが、すでにメガバンクを中心に一部大手企業で採用人数を絞る傾向が出始めている。安易な大手志向には逆風もありうる」と話している。
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