目指せ!時事問題マスター

1からわかる!新型コロナウイルス(1)ウイルスの正体はわかったの?

2020年08月06日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)

いまや私たちの生活と切り離せなくなってしまった新型コロナウイルス。どんなウイルスなの?この先どうなるの?ネットでは色々言われているけど、何がどこまでわかっているの?気になることを医療や科学が専門の中村幸司解説委員に1から聞きました。

やっかいな新型コロナウイルス

学生
勝島

よろしくお願いします。さっそくですが、どうしてここまで世界各国に広がっていったんですか?

まず1つは感染力が強いんです。

中村
解説委員

例えば私が感染したら、私が治るまでの間に平均で何人の人にうつすかということで、ウイルスの感染させやすさが評価されるんだけど、新型コロナウイルスの場合は、大体2.5人と言われています。

これが例えば、1人が感染させるのが0.5人なら、感染力が弱くてあまり広まらないということになる。

感染力があるのがひとつの要因と。

感染防止対策を踏まえオンラインで取材しました

感染を防ぐワクチンはない、もしあったとしてもワクチンを打っていなければという条件付きの話ですが。

さっき、1人が平均2.5人に感染させるという話をしましたけど、専門家会議では、感染者が10人いたら、10人がそれぞれ2.5人に感染させているわけではないとみています。

全員が感染させているんじゃないんですか?

10人のうちの8人は、ほとんど誰にも感染させなくて、残りの2人が10人ずつぐらいに感染させているんじゃないかと言われています。

外出するときはマスクが必須アイテムになった

もう1つは、これが一番やっかいなところですけども、誰が感染者なのかがわかりづらいということ。

そうですよね。

例えば(同じコロナウイルスの)SARSは、感染するとすぐに症状が悪化して、感染者かどうかがすぐわかるんですよね。

2003年5月 北京郊外に建設された専門病院で、SARS感染者の移送を見守る関係者

だから、感染した人を隔離することで、感染を断ち切ることができるようになる。

※SARS…Severe Acute Respiratory Syndrome の略。「重症急性呼吸器症候群」と呼ばれる。2002年に中国で報告され、8000人以上が感染した。コウモリが持つウイルスが広がったと言われている。

でも、今回の新型コロナウイルスは、もしかすると僕も感染していたかもしれないし、っていうぐらいわからないですよね。

症状の出ていない人も感染を広げる可能性があるので、なかなか食い止めるのが難しいんです。

インフルエンザと新型コロナウイルスの違いで一番難しいのは、無症状ということでしょうか。

インフルエンザは必ずしも全員を治せるわけではないんだけども、どういう病気なのかが長年の経験でわかっていて、治療薬もある。

そう考えると新型コロナウイルスの方が治すのが難しいという点で、危険だと考える人は多いかもしれないですね。

インフルエンザは症状はつらいけど…

それから無症状の話でいうと、新型コロナウイルスを「見えにくい感染症」と専門家が表現しています。

見えにくい?

風邪かなと思っていたり、症状もなくて普通に生活していたりするんだけど、実際は感染している人がいるから。

でも「全員家で寝ていてください」と言うわけにもいかないので、感染拡大を抑えるのが難しいところですよね。

そうですよね。

その意味で、こう言えると思います。

「決定的な対策を取りにくい感染症」

見えにくいということ、SARSみたいに囲い込みができない、インフルエンザみたいに今の医療水準にお任せして治療を進めるということもできない。

これまで人類がウイルスと戦ってきた手法が、どれもうまく当てはまらないんですよね。

コロナウイルスは50種類以上ある!

そもそもコロナウイルスって、いつ、どこで発生したんですか?

コロナウイルスは見つかっているもので50種類以上あるんですよ。

え、1種類じゃないんですか?

いろんなコロナウイルスが50種類以上見つかっていて、そのうち人に感染するコロナウイルスが、これまでに6種類見つかっていたんですよね。

コロナウイルスにも種類がたくさんあります

6種類のうち4種類のどれかに感染すると、たいてい風邪と診断されているんです。

おそらく、小さいころにこの4種類のうちいくつかにはお2人とも、かかったことがあると思いますよ。

そうなんですね。

残りの2種類が「SARS」と「MERS」。ほかの4種類に比べて症状が重くなるので、厄介なコロナウイルスが出てきたなと当時言われていたんです。

「MERS」…Middle East Respiratory Syndromeの略。「中東呼吸器症候群」と呼ばれ、2012年に確認された。中東地域を中心に感染が報告されていて、ヒトコブラクダが感染源の1つと言われている。

「SARS」・・・最初のほうに解説があります。

2015年6月 MERSコロナウイルスの感染拡大が続く韓国ソウル市内の病院の隔離病室で、業務にあたる医療関係者

そうした中、去年の12月、中国当局が武漢で肺炎になる人を調べたら、ヒトに感染する7種類目のコロナウイルスが見つかった。

これが新型コロナウイルスなんですよ。

みんな警戒していなかった

コロナウイルス自体は、ずっと昔からあったんですか?

そういうふうに考える方が自然なのかなとは思いますけれど、いつからあったのかは、はっきりしないですね。

「SARS」は2002年、「MERS」は2012年に見つかったんです。

学生
田嶋

比較的最近のことなんですね。

コロナウイルスは専門家の方々の間では警戒されていたウイルスなんですか?

多くの専門家は、新型コロナウイルスは現れるかもしれないと思ったけども、こんな大変なウイルスとして現れるとは思っていなかったと思うんです。

さっき言ったように、人に感染するコロナウイルスは6種類わかっていたけれども、4種類は普通の風邪で、SARSは症状が分かりやすいので封じ込めができた。MERSも世界的な大流行にはなっていない。

だから、新しいコロナウイルスが出たとしても、押さえ込めるか、そこまで広がらないのではないかということで、あまり警戒されていなかった。

新型コロナウイルスがパンデミック(世界的大流行)を引き起こす危険性について書かれた書籍はありましたけど、現実的に考えていた専門家は、世界的にもそんなに多くはなかったと思います。

ところで、2009年の新型インフルエンザって覚えていますか?

かかった記憶があります。

次に新しいウイルスが世界中で大流行するとしたら、新型インフルエンザだと思っていたわけですよ。

国も専門家も、WHOもそう思っていたし、私も思っていたんです。新型インフルエンザの方が目の前にある危機だったんですよね。

2009年4月 新型インフルエンザ発生を宣言し、記者の質問に答える舛添厚労相(当時)

どうやって感染?

感染するときは基本的に飛まつ感染が主な原因なんですか?

飛まつと接触ですね。

接触は僕が感染者だったすると、触ったところを誰かがもう1回触って感染するということです。

人は生活してると、どうしても顔を触るんですよ、鼻とか口とか。目のところも結構感染しやすいところで、だから目をかくとそれで感染します。

目も感染しやすい場所だという

そうなんですね。

あとは「マイクロ⾶まつ感染」といって、換気の悪い空間では、もうちょっと細かい粒になっても空気中を漂って感染すると考えられていますね。

マイクロ飛まつ感染には、いわゆる「三密」の回避と換気が大切だと言われています。

通常の人の飛まつの場合は大体2メートルまでの間に下に落ちるので、2メートル以上離れていれば大丈夫と言われているんですけど。

わかっていないこともあるんですね。

そう。だから今は、飛まつ感染と接触感染を避けることを徹底的にすれば、感染のリスクが抑えられて、流行を抑えられるだろうということで対策しているんだよね。

飛まつが飛びにくくなるのでマスクをして、飛ぶと困るから2メートル以上離れましょうっていうソーシャルディスタンスを徹底すると。

そして、知らないうちに⼿で触ったウイルスが⼝や鼻、⽬から感染しないように、手洗いをして、感染リスクを国民全体で下げようということなんですよね。

スーパーでも間隔を空けた並び方が定番に

飛まつと接触がメインであれば、もし満員電車で新型コロナウイルスにかかっている人が隣にいても、その人がひと言もしゃべらなくて、触れもしなければ感染しないんですか?

まあそうなんだけど、息してますから、しゃべると決定的に飛まつは出るんですけども、しゃべらなければ出ないかっていうと微妙なんですよね。

じゃあどこまで心配するのか。だから喋らないとかね。喋るのと喋らないのとでは大違いなので、喋らない・触らない・お互いにマスクして、手は頻繁に洗って消毒することが大事だと思います。

発生源はわからない

新型コロナウイルスは、いつどこで発生したんですか?

「正確にはわかりません」と言うのが答えになるんですけど…。一番最初に中国で最初の患者が見つかったのは、武漢市の当局によると去年の12月8日です。

2020年1月 中国・武漢の病院で新型コロナウイルスの患者の手当をする医療関係者

最初は、中国では生き物が生きたまま売られているので、武漢の市場で売られている生き物の何かから人に感染して広がったと言われていました。

だけど、今となっては、市場に感染源の何かがあったのかもしれないし、すでに武漢のあたりには広まっていて、感染者が市場の関係者で、そこで広がってしまったかもしれないし…そこはわからないんです。

当初“感染源”と言われた海鮮市場は閉鎖された

わからないんですか。

はい。たぶんコウモリから人に感染したのではないかと考えられています。ただ、そのコウモリがどこにいたのかはわかりません。

人が立ち入らないような山奥に新型コロナウイルスを持っているコウモリがいて、ある日誰かが立ち入って、そこで感染した人が武漢に戻って、知らない間に広めたかもしれないし、そこはわからないんです。

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