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1からわかる!新型コロナ(4)ワクチン接種の効果は?副反応は?【2021年夏 改訂版】

2021年08月24日
(聞き手:白賀エチエンヌ・堤啓太)

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国内でも徐々に進んできたワクチンの接種。どれぐらい効果は持つの?副反応は大丈夫なの?なぜ国産ワクチンはないの?気になることを医療や科学が専門の中村幸司解説委員に1から聞きました。(8月24日再改訂版)

副反応は大丈夫?

学生

2回目の接種を終えた人の中には、39度の熱が出たと言っている人もいました。そういうのを聞くと怖いなとも思います。

まず、ワクチンは体に異物を入れるわけだから何らかのリスクはあります。

中村
解説委員

何も起こらない人もいるかもしれないけど、何らかの症状が一定程度の人に起こるのがワクチンです。

オンラインで取材しました。

これを怖いと考えるかどうかは、人によるかもしれません。

国は効果に比べたら副反応は小さいとして、ファイザーやモデルナなどのワクチンを承認しました。

重い副反応はないということですか?

重い症状が出るのは極めてまれとされています。ただ、注意が必要な副反応もあります。

ひとつは「アナフィラキシー」というアレルギー反応です。

アナフィラキシーの多くは、接種後15分~30分以内に起きています。

ワクチン接種後の経過観察

もう少し時間が経って起きた人もゼロではないので、注意は必要です。

接種前の問診で過去にワクチン接種でアレルギー反応が起きたことがないかどうかを聞くのは、副反応が起きやすい人は長めに健康観察の時間をとるためです。

中には接種を見送ることになる人もいます。

なるほど。

日本では今、2週間に1回くらいの頻度で厚生労働省の専門家会議が開かれていて、そこに副反応の疑いがある症例が報告されます。

この「疑い」は広く解釈されていて、ワクチン接種と関係ないとみられるケースも報告されます。

接種後の副反応について開かれた専門部会(2021年3月)

学生
白賀

どんな報告があるんですか?

報告が多いのは、接種後の頭痛や発熱、腕の痛みなどです。なかには、ワクチンを接種した後に死亡したという例も報告されています。

注意したいのは、「接種後に死亡したこと」と「接種が原因で死亡したこと」は別だということです。

専門家の会議で接種との因果関係の有無を評価していて、これまでに接種が原因で死亡したと認められた人はいません。

今後も評価をしっかり進めていくことが求められています。

ただ、これだけ世界中で接種されていて、重大な副反応が多いなどのおかしなことがあったら、そうそうわからないはずはないと思います。

若者も打った方が良いの?

副反応については若い人の方が出やすいと聞きますが…。

その理由としては、免疫を身につける能力が高いことが考えられます。

大学でのワクチン接種

よく、2回目の方が腕が痛くなるとか言われていますが、これはワクチンが効いていることの現れでもあるのです。

1回目のワクチンを打って“疑似感染”した状態になると免疫ができて「次、来たら攻撃してやろうと」となります。

そこに2回目を接種すると、体がウイルスに感染したと思って、攻撃する反応を始めているということなのです。

ちゃんとワクチンが効いている証拠ということなんですね。

そうは言っても、副反応はワクチンを打つ上でのリスクだと思いますが、やはり若者も打った方がいいのですか?

日本ではこのワクチンの接種は「義務」ではなく、「努力義務」となっています。

「努力義務」がどういう意味なのかというと「接種するかどうかをちゃんと考えること」が義務だということなのです。

ワクチンを接種するかどうかを考える際、副反応などのリスクと発症や重症化を予防する効果のメリットを天秤に見立てて説明されることがあります。

高齢者は感染したときに重症化するケースが多いので、リスクよりもメリットの方が大きいと考えることができると思います。

こうしたことで多くの高齢者が接種しているのだと思います。

若い人はどうなんでしょうか。

若い人たちは「感染したとしても症状が軽かったり、無症状だったりすることが多いので、打つメリットがあまりない」と感じる人もいると思います。

要は、天秤のメリットとリスクのお皿に何を載せるかなんだと思います。

“モデルナ”のワクチン

高齢者と一緒に住んでいる人は、打つメリットを大きく感じるかもしれません。

若い人でも重症化リスクのある持病がある人はいますし、最近のデルタ株の感染拡大で若い人でも重症化するケースが徐々に増えてきています

また、ワクチン接種が進むことで、飲食店の時短営業などの感染対策の緩和が早くおとずれる可能性があります。

経済が回るようになって社会が元に近づくことも、メリットに入れて考えれば、若い人でも「メリットの方が大きい」と考えるかもしれません。

4回目の緊急事態宣言の初日を迎えた東京・新橋(2021年7月12日)

若い人に限らず、それぞれがメリットとリスクは何なのか、どれくらいの大きさなのか、ちゃんと考えてほしいです。

まさに、自分の天秤を考えることが「努力義務」なんですね。

感染症は社会みんなで対策を進めないと抑えることが難しいというのが、他の病気と大きく異なります。

かつてのように、国内でも人の行き来が盛んでない状況なら大きな問題にはならないのかもしれないけど、いまは全くそういう状況ではありません。

国内・海外いろんな行き来があるからこそ社会や経済が成り立っています。

「よくわからないので接種しない」というのではなく、1人1人がしっかりと、メリットとリスクを自ら判断して、打つかどうかを決めてほしいと思います。

効果は?

ワクチンの効果はどのぐらいあるのですか?

例えば、ファイザーのワクチンについて言うと、海外で数万人を対象に行われた臨床試験では、95%の効果があると報告されています。

ワクチンを打たない人の中で発症した人の割合を「100」とします。

すると、ワクチンを打った人の中で発症した人の割合は「5」、つまり発症したのは打たない人の5%だったということです。

ワクチンの効果で発症が95%抑えられたというのが「95%の効果」の意味です。

それってほかのワクチンと比べて高い数字なんですか?

インフルエンザのワクチンは20%~60%だとされているので非常に高い数字と言われています。

ワクチンができる前に専門家に話を聞いたときには、60%ぐらいのワクチンが開発できればすごいよねって言う人もいたんです。

それが蓋を開けてみたら95%も効いたから専門家もびっくりしていました。

やっぱり2回打たなければ効果はないんですか?

1回接種した段階で効果は「ゼロ」ではありませんが、十分な効果を得るには2回接種が必要とされています。

デルタ株

これははっきりしないところもありますが、イギリスではとにかくみんなに早く1回打ってもらおうと1回目の接種を優先してきたところ、変異ウイルスのデルタ株に感染する人が多くなりました。

2回打ってないことが理由のひとつだと言われていて、2回打つことの重要性が再認識されているんです。

デルタ株に対して十分な効果を得るためにも、2回の接種が必要とされています。

現在のところ、ファイザーのワクチンもモデルナのワクチンも、2回接種したあとには発症や重症化などの予防には高い効果があるとされています。

効果はいつまで続くの?

ワクチンを打つと半年は免疫は維持されることがわかっていますが、その後どれぐらい続くのかは現段階で不透明です。

評価はまだ進行形です。

海外では3回目の接種という話も出てきていますが、3回目を打つ必要が出てくるのでしょうか?

効果があまり長く続かないとわかってきたり、効き目が良くない人が出てきたりしたときに、もう1回打つということは、方法としてあり得ます。

実際にアメリカでは2回目の接種を終えてから8か月たった人に対し、9月20日以降、3回目の接種を行う方針を明らかにしています。

(WHOは、現時点では追加の接種が必要だというデータは示されていないなどとしています)

ただ、3回目を打ったとき効果がどのくらい増強されるのか、リスクはどうなのか評価が続けられていて、その結果を見て方針が示されると思います。

ワクチンってなに?

学生
白賀

そもそも、ワクチンってどういうものなんですか?

ワクチンは基本的に「疑似感染」をさせることで体の中に抗体を作り出し、感染や発症、重症化を防ぐものです。

体は1度感染したウイルスを覚えていて、次の攻撃の準備をする能力があります。

2度目以降に感染したときはウイルスをすぐに攻撃して増殖が進む前に退治します。

だから、2度目の感染はしなかったり、感染しにくくなったり、あるいは、感染しても軽症で済んだりするんです。

だったら、1度感染したことにすればいいじゃないかというのがワクチンの考え方です。

でも、本当に感染させてしまうと、その感染症が重症化してしまうリスクもあるので「擬似的に感染」をさせるのがワクチンなんです。

どうやって作るんですか?

1つはウイルスそのものを使う方法です。

ウイルスを弱くして体に入れて、増えないうちに体に抗体、つまり攻撃部隊をたくさん作らせます。

これが生ワクチンです。天然痘のワクチンなどがこれにあたります。

ほかにもやり方があるんですか?

ウイルスを「殺して」感染する力を完全になくし、殻のような部分を体に入れるやり方もあります。

ただ、一般的にウイルスは「生物ではないと」考えられているので、そういう意味では「殺す」という表現は正確ではないのもしれませんけどね。

殻を入れることで、体は感染したと思って攻撃部隊をつくっておくことができます。

すると、本物のウイルスが入ってきたときに「同じものがきた」と思って攻撃してくれます。

これを不活化ワクチンといいます。インフルエンザのワクチンがこれです。

インフルエンザウイルス

国内で接種が始まっているファイザーやモデルナのワクチンはどれにあたりますか?

いずれも遺伝情報を使ってつくる新しいタイプのワクチンで、「mRNAワクチン」と呼ばれています。

新型コロナウイルスの表面には、細胞に感染する時の足掛かりとなるトゲトゲのような突起があります。

mRNAワクチンには、この突起部分のいわば設計図が含まれています。

それを体の中に入れると、細胞のなかで設計図をもとにウイルスの突起部分が作られるんです。

突起部分の作り方のレシピを入れるようなイメージですか?すごいですね。

突起が体の中でつくられると、あたかも、その突起をもった新型コロナウイルスに感染したときと同じように、「変なものが入ってきた」となって、体内に攻撃部隊、つまり「抗体」ができます。

抗体が1回できると、次に入ったウイルスが体内に入ってきたときにはすぐに攻撃します。

それで、重症化を防いだり、感染を防いでくれたりするという訳です。

この方法でワクチンを作るのは初めてだったんですが、効果が抜群に良かったんです。

国産ワクチンはできないの?

ところで、なぜ、国産のワクチンはないのですか?

開発状況はいま、どうなっていると思いますか?

なんとなく国産の方が安心感があるって人が多いと思うので需要は高いかなと思うので、開発はしているとは思いますが…。

現状、国産ワクチンの開発はファイザーやモデルナの何歩も手前の段階です。

日本で開発中の主なワクチンとして厚生労働省が挙げているのは5つです。

そのいずれもが数百人レベルの臨床試験の段階です。

実は、何万人という大規模臨床試験が事実上できなくなっています。

どうしてですか?

いまや、有効性が90%以上のワクチンがあって、それを打てば感染リスクをかなり抑えることができるようになっています。

この状況の中で、新たなワクチンの臨床試験に何万人もの人に協力してもらってもいいのかという問題を抱えているんです。

なるほど。

大規模臨床試験では参加者の半数にはワクチンを打ちますが、もう半数には、何の効果もない注射を打ちます。

何の効果もない注射を打たれた人は、健康状態の観察が行われる数か月の間、感染のリスクにさらされます。

このため、道義的問題があるとされているのです。

さらに、日本では1からワクチンをつくることに関して、ここ20年ぐらい実績がありません。

このため、基礎研究を開発につなげるノウハウなどのベースが不足しているとういうことが指摘されています。

日本でワクチン開発を進めることはなかなか大変なことなんです。

なぜ長い間、日本ではワクチンが開発されてこなかったのですか?

1つには日本ではこれまでいくつかのワクチンで副反応が問題になったことがあり、ワクチン開発のハードルが高い国になっているということがあります。

1990年代にMMRワクチン、つまり「おたふくかぜ」「はしか」「風疹」の予防接種を混合したワクチンを作ったんです。

このとき、副反応の被害を訴える人が相次いだということがありました。

最近の例では、子宮頸がんワクチンがあります。

子宮頸がんのワクチン

2013年4月に定期接種に指定されましたが、接種後に体の不調を訴える人が相次ぎました。

その結果、わずか2か月後には「積極的な呼びかけはしない」という方針になりました。

(厚生労働省によりますと、ワクチン接種後に出た広い範囲の痛みやしびれ、手足が動かしにくくなるなど、多様な症状について調査研究が行われていますが「ワクチン接種との因果関係がある」という証明はされていません)

そうだったんですね。

もちろん、ワクチンのメリットとリスクを考えるうえで副反応は大きな要素で、慎重な判断が必要です。

ただ、日本では新たなワクチンを開発する土台が失われてきたことは問題だと思います。

今後、また、未知のウイルスがまん延したら、と想像すると国内でワクチンが開発できないという状況は少し怖い気がします。

実はこの課題は以前から指摘されていました。

2009年に新型インフルエンザのパンデミックがありました。この時もワクチンは最初、海外から輸入していました。

この教訓として当時の専門家が、安全保障の観点からワクチン開発の推進や生産体制の強化を提言していたんです。

2009年新型インフルエンザの国産ワクチン

それがずっと生かされてこなかったということですか?

そうです。

実はコロナウイルスをターゲットとしたmRNAワクチンは2016年から日本でも研究が進められていました。前年に韓国で「MERS」が広がったのがきっかけです。

しかし、日本には入らず、世界的な感染拡大とならなかったことなどから、研究費が抑えられ、研究は凍結してしまいました。

この研究が続けられていれば、国産のmRNAのワクチン開発が早期に実現できたかもしれません。

この先は、しっかり取り組んでほしいと思いますね。

新型コロナのワクチンも今後、繰り返し打たないといけなくなるかもしれません。

そうした時、再び海外からワクチンを買うのではなく、自分の国は国産でまかない、さらに言えば途上国などに日本から供給できるようになってほしいと思います。

このような点からも、国産ワクチンの開発は重要だと思います。

このあと、何年後か、何十年後かわかりませんが、再び世界中に新たな感染症が広がるパンデミックが起こることは想定しておく必要があります。

これまでの苦い経験をいかして、今度こそ国産ワクチンの開発・生産体制をつくっておかなければならないと思います。

編集:小浜一哲 カメラ:梶原龍 徳山夏音

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