目指せ!時事問題マスター

【改訂版】1からわかる!新型コロナウイルス(4)ワクチンの効果はあるの?

2021年01月28日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)

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新型コロナウイルス対策の切り札と期待されるワクチン。いつから打てるの?効果はあるの?副反応は大丈夫なの?気になるギモンを医療や科学が専門の中村幸司解説委員に1から聞きました。(1月28日改訂版)

ワクチンはいつから打てるの?

学生
田嶋

海外ではワクチンの接種が始まりましたね。

学生
勝島

私たちはいつから打つことができるんですか?

皆さんは…早ければ5月頃かな

中村
解説委員

そうなんですね。

ただ、状況によってはもう少し遅くなるかもしれません。

新型コロナウイルスのワクチン接種を受ける人 イスラエルのテルアビブで

日本国内での接種開始を目指しているのは2月下旬です。

海外で承認されたワクチンを日本で使えるようにするためには、日本で申請して承認を得ることが必要です。

安全性や有効性に問題ないか日本で改めてチェックをして「大丈夫ですね」となったら接種がはじまるという流れです。

海外でOKなら、日本でもOKというわけじゃないんですね。

なぜかというと、海外では、安全だとされたワクチンでも、人種による差が出ることもあるので注意が必要です。

日本人への悪影響がないか確かめなきゃいけないんです。

それから、接種が始まったとしても、接種には優先順位があって、健康な若い人たちは優先されないので、早ければ5月くらい、あるいは、もう少しあとになると思います。

感染防止対策を踏まえ1月にオンラインで追加取材しました

優先順位はどのように決まっているんですか?

まず最初は医療従事者です。厚生労働省は、できる限り2月下旬から接種を始めたいとしています。

日々、感染リスクがある中で患者さんを見ているので、その人たちの安全を守るためですね。

その次が65歳以上の高齢者です。

「医療従事者の数や、ワクチンを供給するファイザー社とのやり取りの状況に鑑みて、高齢者への接種は、最短でも4月1日からとなる」(河野規制改革担当大臣 1月27日)

そのあと、基礎疾患がある人高齢者施設で働いている人が順次優先されるということになっています。供給量によっては、60歳~64歳の人も優先されます。

要するに、リスクの高い人たちから優先して打とうということですね。

日程は変更される可能性があります

ここに当てはまる人たちが優先されるので、みなさんが接種できるのは一番最後の段階になります。

そもそも日本では、全員にワクチンを打つのですか?

全員ではなく、大半の人に打てるように、です。

臨床試験は16歳以上とか18歳以上とかが対象で、海外で実際に接種できるのは16歳以上にしている国が多いんです。

臨床試験で対象になっていない年齢は、有効性とか安全性がはっきりしないので、すぐには打てないんですね。

厚生労働省も(ワクチンを接種するのは)16歳以上という方針です。

赤ちゃんとかだけじゃなくて、小学生や中学生は打たないんですね。

赤ちゃんや子どもたちについては、ワクチンの安全性や効果をみる研究が海外で進められています。

ワクチンの接種に優先順位をつける理由は、数が足りないからですか?医療機関が追い付かないからですか?

政府は、対象となる国民みんなに打てるだけのワクチンを用意しようとしています。

ただ、全員分をすぐに用意できるわけではありません。

そこで、医療従事者が優先順位の最初になるんだけど、理由としては(職務上感染の)リスクが高いこともあるよね。

それと、医療従事者も、ワクチンを打つのは医療機関で打つわけですから、そういう点でもやりやすいとかね。

あるいは副反応が起きたときにも、医療従事者だと医学的知識があるのですぐ対応できるという点からも、医療従事者を最優先にするのは合理的だと思います。

あと、優先順位を決めないと、みんなが殺到して大混乱になっちゃうおそれがありますし、最初は想定していないことも起こるかもしれないですし。

優先順位を作って、いろいろなことが慣れてきたら、みなさん来て下さいっていうやり方は多くの人に納得してもらえる方法だと思います。

「早く接種して欲しい」と希望する人もいそうですが・・・

気持ちはわかります。ただ、医療従事者が400万人ぐらいいます。

65歳以上の高齢者となると3600万人くらいいるんですよね。

この人たちに接種するのでも、結構、時間はかかると思いますね。

効果はどのくらいあるの?

ワクチンの効果っていつごろから出てくるんですか?

打ったらすぐに効果が出るわけではありません。

効果は海外の事例だとどのくらい立証されているんですか?

ファイザーのワクチンについて言うと、海外の臨床試験では、95%の効果があると報告されています。

ワクチンを打たない人の中で発症した人の割合を100とすると、ワクチンを打った人の中で発症した人の割合は5、つまり発症したのは打たない人の5%だったということです。

ワクチンの効果で発症が95%抑えられたというのが「95%の効果」の意味です。

95%というのは、どのくらい高い数字なんですか?

インフルエンザのワクチンは、20%~60%ぐらいだとされているので、非常に高い数字といわれています

遺伝情報を使ったワクチンを大勢の人に打つのは世界でも初めてだったのですが、95%という数字には専門家も驚いているんです。

症状が出るのは95%抑えられたのですが、感染をどのくらい防いだのかは、まだはっきりしていません。

でも、ワクチン接種が進めば症状が出る人が相当数減ることが期待されているんです。

副反応はどうなの?

2021年1月 アメリカ ロサンゼルスでワクチン接種を受ける看護師

各国でワクチンの接種が続々と始まっている中で、実際に重篤な副反応があった例はあるんですか?

ワクチンというのは、副反応は一定程度起きるんですね。

臨床試験では重い副反応は報告されませんでしたが、実際に海外で接種を始めたところ、急性アレルギー反応(アナフィラキシー)が起こった例はあります。

アメリカではおよそ200万人が接種した時点で、10万人に1回程度の頻度で起きたと報告されています。追跡できた人は全員回復したか退院しています。

どう考えたらいいのでしょうか。

ワクチンを打つことの効果と打ったことによる副反応を天秤にかけて、どっちが大きいかを考えないといけない。

ワクチンは健康な人に打つので、副反応で死に至ってしまったら、打たなきゃよかったということになります。

ですが、発熱程度の副反応が時々起きる程度であれば、新型コロナウイルスに感染することを考えれば許容できると考えることもできます。

その辺を天秤にかけて打つか打たないかを決めることになります。

そういうことなんですね。

アレルギー症状もすごい高い頻度で起きるようだったら「打つのをやめましょう」って話になる可能性はあるんですけども、いまのところ、そこまで高い頻度では起きていないです。

副反応が出てしまったら何かしら国として対応することもあるんですか?

症状や状況によると思います。

ワクチンを1万人に打ったところで1人重篤な副反応が出たケースがあったとして、それが1万分の1なのか。

それとも、何百万人を打った時に1人出る副反応がたまたま早い段階に出たのかと見るかで、リスクは全然違うわけですよね。

同じ1人でも相当違いますね。

副反応が報告された時、ワクチンの接種を止めるのかどうかについては、冷静な目で見る必要があると私は思っています。

ワクチンによる副反応がでた場合に備えて国の救済制度があり、医療費などの給付が受けられます。

若者も打った方がいいの?

ただ、やっぱり、自分の番になると、ちょっと怖いな、様子を見ようかなという気持ちもあります。

打つか打たないか心配な人はいると思います。

国は接種の「努力義務」があるとしています。

これは“絶対に接種しなければいけません”ではなく、“国としては接種してほしいけど、最後はご自分で決めて下さい”という意味なんですね。

うーん、難しい。

打つか打たないかって結局個人の判断に委ねられている、っていう話でしたけど・・・

中村さんのお考えで結構なので、感染リスクが低いといわれている若者でも打つべきなのか、っていうのを教えて欲しいです。

かかる可能性低いなら打たないほうが安全なんじゃないかって思ってしまうんですが…。

どっちがいいって断言するのは正直難しいですよ。

ただ、もう一度整理すると、皆さんは(新型コロナに)かかるリスクが低いのではなくて、重症化するリスクが低いんですね。

そうでした・・・

コロナに感染する人は若者が多いけど、感染しても重症になる人は少ないし、体調が変だな、で終わっちゃう人が多いのも事実です。

ご自身だけのことを考えれば、ワクチンを打とうというモチベーションがあまり上がらないのはわかります。

ただ、今回の事態は、自分だけじゃなくて、お年寄りが亡くなったり、医療崩壊してやるべき手術が後回しになったりということが起こっています。

そういう状況も踏まえて、打つか打たないかを判断するという考え方もあると思うんですね。

自分のことだけじゃなくて、考えてみて欲しいということですよね。

若い人たちは行動範囲が広いので、ある程度打ってくれないと、新型コロナウイルス収束のシナリオに乗らないんですよね。

だからと言って、リスクはあるし、人それぞれ考え方があるので“絶対打たなきゃいけませんよ”とまでは国としては言わないですけど。

ワクチンについて国民が知りたい情報を提供しているか、国の情報発信の仕方が一層大切になると思います。

効果があるワクチンが作られても、多数の人がワクチンを打ってくれないと、日本で感染拡大が収まって、元の生活に戻れるという方向にはいかないと思います。

一定数の人がワクチンを打つと感染が抑えられる一方で、「もう打ったから自由に行動していいか」と気が緩んで、また感染拡大しちゃうんじゃないかと思うのですが、そのあたりはどうですか?

それはありうると思います。

発症を抑える効果が95%ってさっき言いましたけど、あくまで臨床試験の結果であって、実際にどの程度抑えられるかは、接種を始めてみないとはっきりしないんですね。

それに、ある程度の人がワクチンを打つまでにはかなりの期間かかります。

それまでの間は、徐々に行動の制限を下げられるかもしれないけど、一気に、元の生活にみんな戻ってもいいですよとはならないんですよね。

すぐにコロナ以前の生活に戻れるわけではない

ワクチンを大半の人が打ち終わるまでに何か月くらいかかりそうですか?

国は、接種が始まってから数か月はかかるって言っています。

ただ、16歳未満を除くみんなに短い期間に打つというのは、他のワクチンでもこれまでにやったことないんです。

医療従事者や高齢者を順調に打ち終えたとしても、一般の人への接種は時間がかかるんです。

一般の人は、対象としては5000万人くらいいます。しかも2回打ちますし。

これ、かなり大変です。

やったことがないことをやるので、国の想定通りのスケジュールでいくかどうかは、ちょっとわからないです。

ワクチン接種がゴールじゃなくて、感染対策を徹底し続けないといけないっていうことですけど、

ワクチン接種のあと、このウイルスはインフルエンザみたいなポジションになっていくんでしょうか?

インフルエンザのような感じになるという指摘もあります。

ただ、インフルエンザの流行期はほぼ冬に限られていますが、新型コロナは、夏に第2波がありましたよね。

新型コロナウイルスの感染拡大は冬に限らない可能性のあることは意識しなきゃいけないですね。

なるほど。

あと、新型コロナウイルスはインフルエンザにあるような治療薬が開発されていません。

高齢者や基礎疾患のある人が感染して重症化しても、そういう人たちを救えるように、広く使える治療薬の開発も急ぐ必要があると思います。

ワクチンってどういうもの?

そもそもの基本的なことになりますが、ワクチンってどういうものなのですか?

ヒトの体は、ウイルスが入ってきた時に、ウイルスから体を守る仕組みを持っています。

その1つが、感染症にかかると熱が上がるということで、インフルエンザになると38℃以上の熱が出ますよね。

あれはなぜ熱が出るかというと、インフルエンザウイルスは体温が上がると活動が下がるんですよ

インフルエンザウイルス

そういうことだったんですね!

だから体温を上げることで、インフルエンザが体の中で増えるのを防ごうとしているんです。そういうふうに人間の体は進化した。

体温の上昇以外にも、体に入ってきたウイルスなどを攻撃する能力をもっています。「免疫」と呼ばれています。

ウイルスに感染すると、そのウイルスを攻撃する、いわば攻撃部隊が体の中にたくさんできてくれます。

この攻撃部隊によって体からウイルスがいなくなって回復します。

なるほど。

治ったあとも体の中にはこのウイルス専門の攻撃部隊が残っていて、同じウイルスが入ってきたらすぐ攻撃してくれるんです。

だから、2度目の感染はしなかったり、感染しにくくなったり、感染しても軽症で済んだりするというのが免疫の仕組みです。

ワクチンはいわば「偽のウイルス」を使って、体に感染したと思わせて攻撃部隊を作らせます。

こうできれば、本物のウイルスが入った時にすぐ攻撃できます。

どうやって作るんですか?

1つは、ウイルスそのものを使うやり方です。

普通に感染させると病気になってしまうので、弱らせたウイルスを体に入れて、増えないうちに攻撃部隊をたくさん作らせる。

これが生ワクチンです。

ほかには、どんなワクチンがあるのですか?

もう1つは、簡単に言うとウイルスを「殺して」、感染する力を完全になくして、体に入れるやり方です。

ただ、一般にウイルスは「生物ではない」と考えられているので、その意味で「殺す」という表現は正確ではないかもしれませんけどね。

病原性が無いので病気にならない、だけど攻撃部隊をつくることで、本物のウイルスが入ってきた時に、「同じものが来た」と思って攻撃してくれる。

なるほど。

これは不活化ワクチンと言って、インフルエンザのワクチンはこういう作り方ですね。

ワクチンはウイルスを使って作られることが多い

ワクチンは大体この2つの方法でできていますが、最近、遺伝情報を使って作るワクチンというものもあります。

遺伝情報?

ウイルスの遺伝情報、つまりウイルスの部品を作るもとになるものを体内に入れる方法です。

するとヒトの体内で遺伝情報をもとにウイルスの一部、つまり部品ができます。

体内でウイルスの部品が作られると、他のワクチンと同様にそのウイルス専門の攻撃部隊ができてくれるという考え方です。

比較的早く開発できるので、今、海外で接種が始まっている新型コロナウイルスのワクチンは、遺伝情報を使って作るワクチンが多いです。

新しいタイプのワクチンなんですね。

アメリカ モデルナの研究室

遺伝情報を使って作るワクチンが多い理由は、他にもあるんです。

ウイルスを弱めたりウイルスを殺したりするのはウイルスを直接扱うことになるので、設備の整った限られた研究機関じゃないとできないんですよね。

そうですよね。

でも、遺伝情報を使ったワクチンは、ウイルスそのものじゃなくて単に遺伝子を扱うので、そこまでの施設を持っていない研究機関でも開発ができるという利点もあるんです。

色んな製薬会社がワクチンを作っていると思うんですが、日本人が打つワクチンは、会社が違っても同じタイプのワクチンなんですか?

日本と契約をしている製薬会社は、ファイザー、モデルナ、アストラゼネカの3社です。

ファイザーとモデルナは、遺伝情報を特殊な「袋」に入れて、体に送り込むワクチンです。

アストラゼネカは、体に害のない特殊なウイルスに遺伝情報を組み込んで、そのウイルスによって体に送り込むタイプのワクチンです。

検品されるファイザーのワクチン

ニュースで、特別な冷凍庫が必要って見たんですけど、管理が大変なんですか?

ファイザーのワクチンはマイナス75度前後、モデルナ社のワクチンはマイナス20度前後という低温で管理する必要があります。

このため、ワクチンの保管施設にはマイナス75度ないし、マイナス20度の冷凍庫が必要になります。

ここまで低温の管理はしたことがないので、輸送から保管、接種まできちんと管理できるよう準備が大切になります。

一方、アストラゼネカのワクチンは別の方法で製造されるワクチンで、保管温度は2~8度です。

通常のワクチンとほぼ同じ温度管理でよい。インフルエンザワクチンとほぼ同じで、こちらは管理面では医療機関も慣れていると思います。

また、ファイザーのワクチンは21日間隔、モデルナとアストラゼネカのワクチンは28日間隔で2回接種することになっています。

ワクチン開発 1つできたら終わりじゃない

それから、世界中で開発競争をしていますけども、1つじゃなくて、いくつものワクチンの開発が追従する形で進めていく必要があると思います。

先にできたワクチンが、安全性や有効性が高いか、大量生産できるかなど、すべての面で有能とは限らないですから。

臨床試験も始めてから数か月しか経過していません。もしかすると、免疫が1年も続かないかもしれません。

それに、1年以上経ってから体への悪影響が見つかるかもしれません。

これからも、いちばんよいワクチンは何なのかって、開発を続けなければいけませんね。

海外では大学と製薬会社が共同で開発したワクチンも

たしかに、最初にできたものが、いちばんよいワクチンとは限りませんよね。

それは国としても考えておかなければいけないことです。

日本では、まず海外のワクチンを使うことになりそうですが、やっぱり、国産ワクチンの開発をしなければいけないと思います。

いま、日本の製薬会社や大学、研究機関などでも臨床試験や開発が進められているところです。

2009年 新型インフルエンザの国産ワクチン

さっき言った理由に加えて、もう1つ、やっぱり日本人に打つワクチンは日本で作る方がいいと思うことがあります。

どんなことですか?

海外のワクチンを日本が買うと、世界のワクチンの供給が不足して、ほかの国の人が打ちにくくなるとか、日本が買うことで値段が高くなってしまうという問題が起きる可能性があります。

いろいろ関連してくるということですね。

最初は海外でできたワクチンを打つことになっても、最終的には日本人に打つものは日本で作ると。

もっと言えば、海外、特に途上国などワクチンを作ることができない国々に供給できるぐらいのものを日本で開発・製造できるといいですね。

日本などの先進国だけが良かったと言っているんじゃ全然駄目で、世界中に有効なワクチンをちゃんと配る、打てるようにしなきゃいけないと。

WHOのテドロス事務局長は、ワクチンが所得の低い国に行き渡らないことに強い懸念を示した

世界でワクチンが打てれば状況はかなり良くなって、制限を緩められて国際交流も普通にできる日も近づくと思います。

だから、今は国内のことで手いっぱいかもしれないですけども、国際協力も並行して考えていかないといけない。

そのためには日本の製薬会社などにも頑張ってもらって、日本のワクチンは日本で作って、さらに自分の国でワクチンが作れない国々に渡すところまでやって。

地球レベルで新型コロナウイルスを抑えるところまでいく必要があります。

早くそうなるといいですね。ありがとうございました。

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