目指せ!時事問題マスター

1からわかる!新型コロナウイルス【改訂版】(3)終わりはいつ、どうやってくるの?

2020年12月29日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)

あれから1年たってしまったけど・・・。新型コロナウイルスって、この先、終わりはいつ、どうやってくるの?知りたいギモンを医療や科学が専門の中村幸司解説委員に1から聞きました。(12月29日改訂版)

冬って流行するの?

学生
勝島

冬は、やっぱり流行しやすいんですか?

そうですね。寒くなると感染しやすい環境になっちゃうというのはあります。

中村
解説委員

どういうことですか?

例えば、よく言われていることですが寒くなると換気が徹底できなくなることがあるでしょ。寒いからどうしても知らず知らずのうちに…。

学生
田嶋

たしかに・・・。

そういえば、寒くなってから北海道で感染が急激に広がりましたよね。

ただ、寒さだけが原因だとすると、東北であまり増えていないことを説明できませんよね。

夏の7月~8月も感染が広がりましたし。

北海道での急増は、札幌の夜の繁華街でクラスター感染が起きて、それを抑えられなかったことが大きな原因だとされています。

札幌市の繁華街・ススキノ

北海道は広いですが、札幌を中心に道内の都市が放射状に広がっていて交流も盛んなので、札幌で増えるとおのずと北海道内の感染者が増えるんです。

それと、人口密度の高さも感染の拡大には大きく影響します。人口密度の高いところから拡大する傾向があります。

なるほど。

第2波の時も東京の夜の繁華街周辺から感染が始まって、それが全国に広がってしまったんですけど、それに似ているところがありますね。

それと、冬は空気が乾燥しがちですよね。

湿気があると飛沫が落ちやすいんですが、乾燥していると水分が少ない分、軽いので空気中を漂っている時間が長くなってしまうんですね。

風船とボールの違いのようなことでしょうか?

そうそう。重いボールはすっと落ちるけど、風船だとふわっと長く浮いていますよね。

新型コロナウイルスは接触感染か飛まつによると言われていますが、飛まつの中でも普通の飛沫とすごく小さな「マイクロ飛まつ」があります。

違いがあるんですか?

普通の飛沫はアクリル板などで防げるんですけど、「マイクロ飛沫」はしばらくの間、漂うので普通の飛沫ほどは防げず対策が難しい。

こうしたこともあって、冬は感染を防ぐことが難しい傾向にあると考えられています。

寒い中でも効果的な換気方法はありますか?

まずは、冬は換気がしにくいことを前提にして、1つのところにみんな集まるのを避けることが必要です。

そのうえで、やっぱり寒いけど空気の入れ替えをすることですね。

電車内も感染防止のため窓を開けるようになった

例えばサーキュレーターとかで循環させるだけでも違いますか?

部屋の中の空気を循環させるだけだとあまり意味がないですね。

部屋で言うと、窓や出入り口など2か所を開けて風が通るようにして空気を入れ替えるようにしないとなかなか効率的な換気はできないと思います。

寒くても我慢するようにします(笑)

寒くてもできるだけ換気する意識をもちましょう

感染経路は多様化 でもやっぱり飲み会に注意

第1波、第2波の時と比べて、感染者の感染経路に何か変化はあるんですか?

第3波の傾向ですと、20代は多いですよ、若い人たちに広がっているといえます。

年代別で分けてみると20代~50代が多いですね

20代多いんですね・・・。

職場などの仲間と外で飲み会をしたり、大学生がクラブやサークル活動で集まったりしたときに、対策が緩んでしまう場合があるようで。

若い人たちは“感染しているかどうか”がわかりづらいので、(自分で気づかないうちに)他人に感染させている可能性があります。

いろいろな場面で、若者から高齢者に感染しているのではないかともいわれています。

なるほど。

第3波では、日本にいる外国人の人たちの感染も多いとされていました。

どうしても言葉が通じにくいし、日本人ほど病院へ行きやすくないので。だから、多言語で情報発信をしたり、外国人とつながりのある機関と協力して対策を行っています。

そうした対策もやっているんですね。

あと、第2波の時には、夜の街の接待を伴う飲食店から広がったけれど、ターゲットが絞られていたので対策がしやすかった部分もあるんです。

でも、冬になって増えてきたのは、9月~10月に1日数百人単位で感染者が出続けていた状態からスタートしているので、以前と比べてどこから感染が広がったのか把握しづらいんですよ。

第2波はターゲットが絞られていたけれど…

確かにそうですね。

当然、感染経路も多様化しています。

家族の誰かが外で感染して家の中にウイルスを持ち込んだら、家の中で別々の行動をすることは現実的には難しいので、家族内でも感染が広がってしまいます。

どこから手をつければいいのでしょうか?

ただ、やっぱり飲食の時に感染を広げているケースが多いんです。

飲み食いするときにはマスクを外しますし、特にお酒を飲むと気も緩んでしまう。

お酒を飲みながらの食事は、15分とか短時間で終わることはないですよね。

一緒に(感染している人や場所に)いる時間が長くなると、どうしても感染リスクが高まります。

神奈川県のYouTubeより マスク会食を呼びかけている

口に物を運ぶ時はマスクを外して、喋る時はマスクをしてくださいって国は呼びかけていますけど・・・。いずれにしても、飲食のときには注意が必要です。

マスク会食できる?できない?とかも話題になりましたよね。

第1波、第2波と比べてどうなの?

第1波、第2波と比べてどこまで悪くなっているのですか?

そうですね。重症者の数はすでに第1波や第2波のピークよりも多くなっています。

重症者数が増えると亡くなる人も増えてしまいます。12月に入って1日に50人以上亡くなる日もありました。

どうして重症の患者や亡くなる人が多くなっているのですか?

第3波の感染者は若者が多いと言いましたが、第2波と比べると高齢者が占める割合は第3波の方が高くなっているんです。

そうなんですね。

感染対策をいろいろしている高齢者施設や病院でも、気づかないうちにウイルスが持ち込まれて、クラスターが数多く発生しています。

街中に感染者が広がってしまっているので、対策が難しくなっているんですね。

こうしたことで、お年寄りや病気の人という重症化しやすい人たちに感染が広がってしまっています。

重症の患者が増えると、医療機関に負担がかかって、新型コロナウイルス患者の治療に力を注ぐために、他の病気の患者へのケアができなくなってしまうおそれもありますよね。

毎日、感染者数が発表されると、「ああ、きょうは何人だ」と思うんですが、今の状況を判断するときに、どこを見て判断すればいいのでしょうか?

感染者数は曜日による影響を受けます。休みの時は検査数が減るので月曜日は少なくて、木曜日が比較的多い傾向にあります。

過去1週間の平均をみると、今、増えているのか減っているのか傾向がわかりやすいです。僕はそこを見ています。

NHKの「新型コロナ特設サイト」にも1週間平均の推移のデータが出ていますよ。

増減の幅はどうですか?200人感染者が出たとしても100から200と、180から200って同じ200でも全然違いますよね。

そうですね。それを時間で見ると感染拡大のスピードがわかります。

2倍になる時間(日数)が短くなればなるほど急増というわけです。

感染症の撲滅は本当に難しい

これからもずっと新型コロナウイルスと向き合っていかないといけないんですか?

たぶん、そうなんじゃないかなと思います。

かつて、天然痘という、致死率の高い感染症がありました。

天然痘はワクチンを使って撲滅したんですが、感染症の撲滅は本当に難しいのです。

※天然痘・・・感染力が非常に強い感染症。急激な高熱、顔や手足などに発疹が出る。致死率は、およそ30%ともされる。ジェンナーにより初めてのワクチンが開発されたことでも知られる。WHOは1980年に世界根絶宣言を行った。

 

1974年 天然痘の予防接種を受ける人たち

天然痘以外にも人間が撲滅できた感染症ってあるんですか。

SARSについては流行を終息させることができました。

2002年11月に中国で確認され、2003年7月にはWHOが流行の「終息」を宣言しました。今は感染者の報告はありません。

SARS…「重症急性呼吸器症候群」と呼ばれる。2002年に中国で報告され、翌年までの間に8000人以上が感染し、800人近くが死亡した。

一方で、感染症の難しさを示すのに、例えばはしか(麻しん)があります。

日本は2015年に、WHOの西太平洋地域事務局から「日本ははしかを排除した国ですよ」って認定されたんです。

そうなんですね。

2015年8月 WHOの西太平洋地域事務局長(左)からはしか排除の認定通知書を受け取る塩崎厚労相(当時)

だけど、実は国内ではしかに感染する人が2016年以降、報告されています。

日本の過去の予防接種制度などの影響で、30~40代くらいの世代は、はしかに免疫を持っていない人が比較的多いとされ、こうした年代の人が海外から入ってきたはしかに感染したんです。

1回排除したとしても海外から入ってくるとまた問題になってしまうんです。だから、感染症を完全に抑えるのはかなり難しいです。

なるほど・・・。

最近の感染症だと、アフリカで感染が続くエボラ出血熱があります。

症状がすぐに出るのでSARSと同じように感染した人を隔離できるということで、世界各国の専門家が現地で対策を進めていて、感染拡大が抑えられています。

また、エイズは感染しても発症を抑える、つまり症状が出るのを大きく遅らせる薬ができました。しかし、ワクチン開発は長年の研究にもかかわらず、実現していません。

私たち人類にとっては、克服できていない感染症が非常に多いんです。

「集団免疫」って日本ではどうなの?

感染症を撲滅できないなら、みんな感染して集団免疫を獲得すればいいんじゃないかという話を聞いたことがありますが、それを日本でする可能性ってあるんですか?

集団免疫…集団の中で多くの人が新型コロナウイルスに対する免疫を獲得することで、感染が広がるのを防ぐという考え方のこと。当初、イギリスのジョンソン首相が演説でこの方針を表明したほか、スウェーデンはロックダウンを行わず、この戦略を取っていた。

2020年4月 スウェーデン首都ストックホルム郊外のショッピングセンターで買い物を楽しむ人たち

そうしないと思います。

集団免疫、つまり多くの人が免疫を持って感染の拡大を抑えられるようになるために、どれくらいの割合の人が感染して免疫を持っていなければいけないかって想像できますか?

半分とか・・・、ぜんぜんわからないです。

新型コロナウイルスの場合、6割~8割と言われているんですよね。2割~3割でもいい、4割でもいいという別の説もあるんですが。

いずれにしても、人口の2割から6割は免疫を持たなきゃいけないということになると、日本でも数千万人が感染することになります。

今、言われている致死率をそのまま当てはめていいのかは微妙ですが、数万人とか数十万人の人たちが亡くなるところまで感染が広がることを容認しなきゃいけなくなっちゃうんですよね。

日本でそんなことはできないと思うんです。

ワクチンや治療薬の開発が何年もできなくて、結果的に集団免疫を持つことになってしまうことはあるかもしれないけど、積極的に目指すことはしないと思います。

たしかに、多くの人が亡くなるのは・・・

それと、集団免疫を獲得すればいいのではないかという考え方には大前提があります。

どういうことですか?

「1回かかった人は2回目以降はかからない」とか「かかりにくくなる」といった事実があることが必要です。

新型コロナウイルスの場合、1回かかった人が2回目、3回目はかからないのか、あるいはかかりにくくなるのかは、まだよくわかっていないんですよ。

実際、再感染したというケースは世界各国で報告されているんです。

そうなんですね。

だから集団免疫を目指して、多くの人が亡くなった上でみんな感染していったん免疫を獲得してとするじゃないですか。

でも、しばらくしたら多くの人が2回目や3回目、感染したとなると、一体何をやっていたんだという話ですよね。

しっかり向き合って徐々に減らしていく方が現実的なんでしょうか。

そうでしょうね。集団免疫は、達成できたら普通の生活に戻れるので、そのことは大きなメリットです。

だけど、そこまで行くのが大変なのと、狙いどおりになるのかもわからない。

リスクが大きすぎて、日本にしても、多くの海外の国々にしても集団免疫という方法については考えていないと思います。

WHO(世界保健機関)も科学的にも倫理的にも問題があるとしています。

まだわからないことが多い新型コロナウイルス

ワクチンと治療薬ができれば・・・

今後は新型コロナウイルスもインフルエンザのような立ち位置になっていくんでしょうか?

ワクチンや治療薬ができれば、そうなる可能性が高いと思います。

今はすごくやっかいなウイルスですけど、治療薬やワクチンができれば、「普通の感染症」、あるいは「ちょっとやっかいだけども、なんとかならないわけではない感染症」になると思うんです。

そこまで行ければ、3密の徹底も今ほどはやらなくてもいいのかもしれないし、マスクも外せるかもしれないですね。

この先、何をもって収束と言えるんですか?

ウイルスの見えづらさからすると、世界の一部の地域で感染を抑え込んで、一部の地域では感染が続いているという状況にはならないと思うんです。

結局のところ、地球規模で収束させることができないと収束って言えないんじゃないかな。

WHOが収束を宣言する日は、いつ来るのか

シュウソクって言っても日本語で言うと、「収束」と「終息」があるんです。

世界中から感染者が1人もいなくなる「終息」はおそらく難しくて、「収束」を目指すということですね。

収束はどういう状態かというと、感染する人はいるけど、ワクチンや治療薬でその数を抑えたり、重症患者や死亡する人を減らしていくと。

そうやって、ある程度、普通の病気と言えるくらいまでこの感染症による健康被害を抑えられるようになることだと思います。

▽都道府県ごとの感染者数や最新のニュースなどをまとめた新型コロナ特設サイトはこちらからご覧ください

編集 宮脇麻樹

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