目指せ!時事問題マスター

【再改訂版】1からわかる!新型コロナウイルス(3)終わりはいつ、どうやってくるの?

2021年02月02日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)

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あれから1年たってしまったけど・・・。新型コロナウイルスって、この先、終わりはいつ、どうやってくるの?知りたいギモンを医療や科学が専門の中村幸司解説委員に1から聞きました。(2月2日改訂版)

再び緊急事態宣言

学生
勝島

2度目の緊急事態宣言になりました。なぜ、年明けのタイミングだったのでしょうか。

専門家などからは、去年の11月の初め頃には、危機感がすでにありました。

中村
解説委員

そもそも、※夏の第2波の感染者数があまり下がっていなかったんですよね。

※第2波の感染者数が下がらなかった状況など、感染拡大の背景の詳しい説明はこちらの記事をごらんください。1からわかる!新型コロナウイルス(2)感染拡大を防ぐには?【改訂版】

危機感は、かなり前からあったんですね。

ただでさえ、感染症は冬に流行するおそれがあるので、医療関係者をはじめ専門家が感染状況が悪くなるシナリオとして危惧していた展開でした。

そうなんですね。

2021年1月7日 1都3県の緊急事態宣言について会見する菅首相と分科会の尾身会長

12月に入ってから、特に東京都や周辺で感染者数が減りませんでしたよね。

いろいろな場面を通じて若い人たちに広がって、さらに家族や職場で広がるということが起きたと分析されています。

若者の感染が多いですよね。

職場などの仲間と外で飲み会をしたり、大学生がクラブやサークル活動で集まったりしたときに、対策が緩んでしまう場合があるようで。

若い人たちは“感染しているかどうか”がわかりづらいので、(自分で気づかないうちに)他人に感染させている可能性があります。

若者から高齢者に感染しているのではないかともいわれていますよね。

学生
田嶋

自分の周りは自粛している人ばかりなんですが…。

多くの人たちは気をつけて行動していると思うんですけど、全体でみると、やはり緩んでしまった部分はあったと思います。

2020年12月 買い物客でにぎわう東京 原宿

もう1つ、感染が広がるのは食事の場が中心です。

食事をするときにはマスクを外しますし、特にお酒を飲むと気も緩んでしまう。

お酒を飲みながらの食事は、15分とか短時間で終わることはないですよね。

一緒に(感染している人や場所に)いる時間が長くなると、どうしても感染リスクが高まります。

口に物を運ぶ時はマスクを外して、喋る時はマスクをしてくださいって国は呼びかけていますけど・・・。いずれにしても、飲食のときには注意が必要です。

国や東京都や神奈川県などが飲食店の人たちに、申し訳ないけれども営業時間を短くしてくれませんかとお願いしていたんですが、やっぱりお願いベースでは徹底できなかった。

そうしている間に医療機関が「ひっ迫」どころか「医療崩壊寸前」とか、日本医師会の会長は「医療崩壊している」と言うような状態になってしまったと。

2020年11月25日 日本医師会の中川会長は「医療の提供体制が崩壊の危機に直面している」と述べた

他の病気の患者さんにも影響がでるということですか。

医療崩壊になってしまうと、救える患者さんが救えない、新型コロナウイルスの患者以外の患者も受け入れづらくなります。で、この間、実際に起き始めてしまった。

“より強いメッセージを出さないと感染拡大が止まらない”ということで「緊急事態宣言」になったと。

お願いベースじゃ限界があるから、半強制的に人の動きを抑えるということでしょうか。

緊急事態宣言も実は、強制ではないですけれど、出すのと出さないのではメッセージの伝わり方やみなさんからの協力が変わるんじゃないかという期待があるんです。

2021年1月12日 東京 品川駅の通勤風景

ただ、2度目の宣言で、たとえば都内の人出は、緊急事態宣言を出す前より減っているんですが、前回の緊急事態宣言とはほど遠い状態ですよね。

冬って流行するの?

先ほど、冬に流行のおそれがあると指摘されていたというお話がありましたが、やっぱり冬は流行しやすいんですか?

そうですね。寒くなると感染しやすい環境になっちゃうというのはあります。

どういうことですか?

よく言われていることですが寒くなると換気が徹底できなくなることがあるでしょ。寒いからどうしても知らず知らずのうちに…。

たしかに・・・。

それと、冬は空気が乾燥しがちですよね。

湿気があると飛沫が落ちやすいんですが、乾燥していると水分が少ない分、軽いので空気中を漂っている時間が長くなってしまうんですね。

風船とボールの違いのようなことでしょうか?

そうそう。重いボールはすっと落ちるけど、風船だとふわっと長く浮いていますよね。

新型コロナウイルスは接触感染か飛まつによると言われていますが、飛まつの中でも普通の飛沫とすごく小さな「マイクロ飛まつ」があります。

違いがあるんですか?

普通の飛沫はアクリル板などで防げるんですけど、「マイクロ飛沫」はしばらくの間、漂うので普通の飛沫ほどは防げず対策が難しい。

こうしたこともあって、冬は感染を防ぐことが難しい傾向にあると考えられています。

寒い中でも効果的な換気方法はありますか?

まずは、冬は換気がしにくいことを前提にして、1つのところにみんな集まるのを避けることが必要です。

そのうえで、やっぱり寒いけど空気の入れ替えをすることですね。

電車内も感染防止のため窓を開けるようになった

例えばサーキュレーターとかで循環させるだけでも違いますか?

部屋の中の空気を循環させるだけだとあまり意味がないですね。

部屋ですと、窓や出入り口など2か所を開けて風が通るようにして空気を入れ替えないとなかなか効率的な換気はできないと思います。

寒くても我慢するようにします(笑)

寒くてもできるだけ換気する意識をもちましょう

感染者が増えると・・・

感染者が増えると、やはり、重症になったり、亡くなったりする方は増えるのでしょうか。

そうですね。重症者の数は1月19日に全国で1000人を超えました。

重症者数が増えると亡くなる人も増えてしまいます。

1月19日には、1日の発表としては初めて100人を超えて104人となり、過去最多となりました。

どうして重症の患者や亡くなる人が多くなっているのですか?

第3波の感染者は若者が多いと言いましたが、高齢者が占める割合は第2波と比べると第3波の方が高くなっているんです。

そうなんですね。

感染対策をいろいろしている高齢者施設や病院でも、気づかないうちにウイルスが持ち込まれて、クラスターが数多く発生しています。

重症の患者が増えると、医療機関に負担がかかって、新型コロナウイルス患者の治療に力を注ぐために、他の病気の患者へのケアができなくなってしまうおそれもありますよね。

毎日、感染者数が発表されると「ああ、きょうは何人だ」と思うんですが、今の状況を判断するときに、どこを見て判断すればいいのでしょうか?

感染者数は曜日による影響を受けます。休みの時は検査数が減るので月曜日は少なくて、木曜日が比較的多い傾向にあります。

過去1週間の平均をみると、今、増えているのか減っているのか傾向がわかりやすいです。僕はそこを見ています。

NHKの「新型コロナ特設サイト」にも1週間平均の推移のデータが出ていますよ。

増減の幅はどうですか?200人感染者が出たとしても100から200と、180から200って同じ200でも全然違いますよね。

そうですね。それを時間で見ると感染拡大のスピードがわかります。

2倍になる時間(日数)が短くなればなるほど急増というわけです。

感染症の撲滅は本当に難しい

これからもずっと新型コロナウイルスと向き合っていかないといけないんですか?

たぶん、そうなんじゃないかなと思います。

かつて、天然痘という、致死率の高い感染症がありました。

天然痘はワクチンを使って撲滅したんですが、感染症の撲滅は本当に難しいのです。

※天然痘・・・感染力が非常に強い感染症。急激な高熱、顔や手足などに発疹が出る。致死率は、およそ30%ともされる。ジェンナーにより初めてのワクチンが開発されたことでも知られる。WHOは1980年に世界根絶宣言を行った。

 

1974年 天然痘の予防接種を受ける人たち

天然痘以外にも人間が撲滅できた感染症ってあるんですか。

SARSについては流行を終息させることができました。

2002年11月に中国で確認され、2003年7月にはWHOが流行の「終息」を宣言しました。今は感染者の報告はありません。

SARS…「重症急性呼吸器症候群」と呼ばれる。2002年に中国で報告され、翌年までの間に8000人以上が感染し、800人近くが死亡した。

一方で、感染症の難しさを示すのに、例えば「はしか(麻しん)」があります。

日本は2015年に、WHOの西太平洋地域事務局から「日本は、はしかを排除した国ですよ」って認定されたんです。

そうなんですね。

2015年8月 WHOの西太平洋地域事務局長(左)からはしか排除の認定通知書を受け取る塩崎厚労相(当時)

だけど実は国内で「はしか」に感染する人が2016年以降報告されています。

日本の過去の予防接種制度などの影響で、30~40代くらいの世代は、はしかに免疫を持っていない人が比較的多いとされ、こうした年代の人が海外から入ってきた「はしか」に感染したんです。

1回排除したとしても海外から入ってくるとまた問題になってしまうんです。だから、感染症を完全に抑えるのはかなり難しいです。

なるほど・・・。

最近の感染症だと、アフリカで感染が続くエボラ出血熱があります。

症状がすぐに出るのでSARSと同じように感染した人を隔離できるということで、世界各国の専門家が現地で対策を進めていて、感染拡大が抑えられています。

また、エイズは感染しても発症を抑える、つまり症状が出るのを大きく遅らせる薬ができました。しかし、ワクチン開発は長年の研究にもかかわらず、実現していません。

私たち人類にとっては、克服できていない感染症が非常に多いんです。

「集団免疫」って日本ではどうなの?

感染症を撲滅できないなら、みんな感染して集団免疫を獲得すればいいんじゃないかという話を聞いたことがありますが、それを日本でする可能性ってあるんですか?

集団免疫…集団の中で多くの人が新型コロナウイルスに対する免疫を獲得することで、感染が広がるのを防ぐという考え方のこと。当初、イギリスのジョンソン首相が演説でこの方針を表明したほか、スウェーデンはロックダウンを行わず、この戦略を取っていた。

2020年4月 スウェーデン首都ストックホルム郊外のショッピングセンターで買い物を楽しむ人たち

それは、しないと思います。

集団免疫、つまり多くの人が免疫を持って感染の拡大を抑えられるようになるために、どれくらいの割合の人が感染して免疫を持っていなければいけないかって想像できますか?

半分とか・・・、ぜんぜんわからないです。

新型コロナウイルスの場合、6割~8割と言われているんですよね。2割~3割でもいい、4割でもいいという別の説もあるんですが。

いずれにしても、人口の2割から6割は免疫を持たなきゃいけないということになると、日本でも数千万人が感染することになります。

今、言われている致死率をそのまま当てはめていいのかは微妙ですが、数万人とか数十万人の人たちが亡くなるところまで感染が広がることを容認しなきゃいけなくなっちゃうんですよね。

日本でそんなことはできないと思うんです。

ワクチンや治療薬の開発が何年もできなくて、結果的に集団免疫を持つことになってしまうことはあるかもしれないけど、積極的に目指すことはしないと思います。

たしかに、多くの人が亡くなるのは・・・

それと、集団免疫を獲得すればいいのではないかという考え方には大前提があります。

どういうことですか?

「1回かかった人は2回目以降はかからない」とか「かかりにくくなる」といった事実があることが必要です。

新型コロナウイルスの場合、1回かかった人が2回目、3回目はかからないのか、あるいはかかりにくくなるのかは、まだよくわかっていないんですよ。

実際、再感染したというケースは世界各国で報告されているんです。

そうなんですね。

多くの人が亡くなってしまったけど、みんな感染して免疫を獲得した、とするじゃないですか。

でも、しばらくしたら多くの人が2回目や3回目、感染したとなると、一体何をやっていたんだという話ですよね。

しっかり向き合って徐々に減らしていく方が現実的なんでしょうか。

そうでしょうね。集団免疫は、達成できたら普通の生活に戻れるので、そのことは大きなメリットです。

だけど、そこまで行くのが大変なのと、狙いどおりになるのかもわからない。

リスクが大きすぎて、日本にしても、多くの海外の国々にしても集団免疫という方法については考えていないと思います。

WHO(世界保健機関)も科学的にも倫理的にも問題があるとしています。

まだわからないことが多い新型コロナウイルス

ワクチンと治療薬ができれば・・・

今後は新型コロナウイルスもインフルエンザのような立ち位置になっていくんでしょうか?

ワクチンや治療薬ができれば、そうなる可能性が高いと思います。

今はすごくやっかいなウイルスですけど、治療薬やワクチンができれば、「普通の感染症」、あるいは「ちょっとやっかいだけども、なんとかならないわけではない感染症」になると思うんです。

そこまで行ければ、3密の徹底も今ほどはやらなくてもいいのかもしれないし、マスクも外せるかもしれないですね。

この先、何をもって収束と言えるんですか?

ウイルスの見えづらさからすると、世界の一部の地域で感染を抑え込んで、一部の地域では感染が続いているという状況にはならないと思うんです。

結局のところ、地球規模で収束させることができないと収束って言えないんじゃないかな。

WHOが収束を宣言する日は、いつ来るのか

シュウソクって言っても日本語で言うと、「収束」と「終息」があるんです。

世界中から感染者が1人もいなくなる「終息」はおそらく難しくて、「収束」を目指すということですね。

収束はどういう状態かというと、感染する人はいるけど、ワクチンや治療薬でその数を抑えたり、重症患者や死亡する人を減らしていくと。

そうやって、ある程度、普通の病気と言えるくらいまでこの感染症による健康被害を抑えられるようになることだと思います。

▽都道府県ごとの感染者数や最新のニュースなどをまとめた新型コロナ特設サイトはこちらからご覧ください

編集 宮脇麻樹

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