目指せ!時事問題マスター

1からわかる!新型コロナウイルス(3)終わりはいつ、どうやってくるの?

2020年09月02日
(聞き手:勝島杏奈 田嶋あいか)

日本の感染者や死者は世界よりは少ないけれど、これまでの封じ込め策は成功したの?そもそも、ウイルスって撲滅できるの?この先、終わりはいつ、どうやってくるの?気になるギモンを医療や科学が専門の中村幸司解説委員に聞きました!

ステイホームって良かったの?

学生
勝島

ステイホームっていう政策は成功だったんでしょうか。

正直言うと、まだ、わからないです…。ステイホームっていうのは、日本だけじゃなくて、全世界的に言われていたんですけど。

中村解説委員

緊急事態宣言のあと感染者がぐっと減ったのは、ステイホームが成功したからなのか、ほかに大きい要因があったのか…。

2020年4月 外出自粛要請を受けて閑散とした東京 銀座の街

ただ、国民に対して、この感染症とは相当心して向き合わないと抑えられないということが、わかりやすい形で伝わったことはよかったと思うんですよね。

みんなマスクしたり、テレワークに変えたり、買い物も3日に1度にしたりとかいろいろされましたよね。

どれがどれぐらい効いたかわからないけれども、3密を避けることが必要だとわかりやすく普及したのはよかったのかな。

学生
田嶋

こんなに長期間、学校が休みになるのは経験したことがなかったので、大変なことなんだなと覚悟した記憶があります。

そうそう。学校を全国一斉に休校にした時は、必要ないんじゃないかっていう見解の専門家も少なからずいたんですよね。あのときは、子どもの集団感染はなかったし。

だけど、「学校まで休みにしなきゃいけないんだ」って思った、そういう意味はあったと思います。

全国の小中高校に一斉休校の要請が行われた

新型コロナが重大な問題だと示せたのはよかったとして、この対応はよくなかったとか悪かったなと思う点はありますか。

情報伝達かな。一律ではなく、例外があるようなことの伝え方でそう感じることがありました。

どういうことですか?

例えば、相談の目安。当初は、「風邪のような症状が出ても4日間は自宅で様子を見て、それでも治らなかったら病院に行きなさい」と言っていましたよね。

ただ、お年寄りですと4日も我慢していたら悪くなっちゃう人たちもいるんです。

実は、最初からお年寄りや持病のある人は、風邪のような症状が2日程度続く場合は相談を、って呼びかけられていたんですが、その点が十分伝わっていなかったと思います。

実際にはお年寄りが、4日間我慢してしまって、症状が悪くなってから病院に行ったため、治療するのが大変だったというケースもありました。

厚生労働省は5月8日、相談の目安について「37度5分以上の発熱が4日以上」としていた表記を取りやめた

こういう経験のない感染症では、政府なり自治体がちゃんと国民に伝えなきゃいけないんですよね。

だけど、大切なことを国民の腹に落ちるような形で情報が発信できたかというと、うまくいかなかった面があったと思いますね。

感染症の撲滅は本当に難しい

これからもずっとコロナウイルスと向き合っていかないといけないんですか?

たぶん、そうなんじゃないかなと思います。

かつて、天然痘という、致死率の高い感染症がありました。天然痘はワクチンを使って撲滅したんですが、感染症の撲滅は本当に難しいのです。

※天然痘・・・感染力が非常に強い感染症。急激な高熱、顔や手足などに発疹が出る。致死率は、およそ30%ともされる。ジェンナーにより初めてのワクチンが開発されたことでも知られる。WHOは1980年に世界根絶宣言を行った。

 

1974年 天然痘の予防接種を受ける人たち

新型コロナウイルスは、撲滅ではなく、多分どこかに感染者がいる状態が続くので、元の生活に戻すと、どんどん広がってしまいます。ずっとつきあっていく覚悟はしなければいけないでしょうね。

天然痘以外にも人間が撲滅できた感染症ってあるんですか。

SARSについては流行を終息させることができました。2002年11月に中国で確認され、2003年7月にはWHOが流行の「終息」を宣言しました。

SARS…「重症急性呼吸器症候群」と呼ばれる。2002年に中国で報告され、翌年までの間に8000人以上が感染し、800人近くが死亡した。

一方で、感染症の難しさを示すのに、例えばはしか(麻しん)があります。日本は2015年に、WHOの西太平洋地域事務局から「日本ははしかを排除した国ですよ」って認定されたんです。

そうなんですね。

2015年8月 WHOの西太平洋地域事務局長(左)からはしか排除の認定通知書を受け取る塩崎厚労相(当時)

だけど、実は国内ではしかに感染する人の報告がここ数年で増えています。日本の過去の予防接種の制度などの影響で、30~40代くらいの世代は、はしかに免疫を持っていない人が比較的多いとされ、こうした年代の人が感染したんです。

1回排除したとしても海外から入ってくるとまた問題になってしまうんです。だから、感染症を完全に抑えるのはかなり難しいです。

なるほど・・・。

最近の感染症だと、アフリカで問題になっているエボラ出血熱の致死率が高いのですが、症状がすぐに出るのでSARSと同じように感染した人を隔離できるということで感染拡大が抑えていられるんです。ただ、アフリカで感染が続いています。

また、エイズやマラリアは、ワクチン開発が続けられている段階です。長い年月がかかっています。私たち人類にとっては、克服できていない感染症が非常に多いんです。

「集団免疫」って日本ではどうなの?

感染症を撲滅できないなら、みんな感染して集団免疫を獲得すればいいんじゃないかという話も出てきていますが、それを日本でする可能性ってあるんですか?

集団免疫…集団の中で多くの人が新型コロナウイルスに対する免疫を獲得することで、感染が広がるのを防ぐという考え方のこと。当初、イギリスのジョンソン首相が演説でこの方針を表明したほか、スウェーデンはロックダウンを行わず、この戦略を取っていた。

2020年4月 スウェーデン首都ストックホルム郊外のショッピングセンターで買い物を楽しむ人たち

私、個人の意見としては、そうしないと思います。

集団免疫、つまり多くの人が免疫を持って感染の拡大を抑えられるようになるために、どれくらいの割合の人が感染して免疫を持っていなければいけないかって想像できますか?

半分とか・・・、ぜんぜんわからないです。

新型コロナウイルスの場合、6割~8割と言われているんですよね。最近は、2割~3割でもいい、4割でもいいという別の説もあるんですが。

いずれにしても、人口の2割から6割は免疫を持たなきゃいけないということになると、日本でも数千万人が感染することになります。

致死率の計算をそのまま当てはめていいのかは微妙ですが、そうすると数十万人の人たちが亡くなるところまで感染が広がることを容認しなきゃいけなくなっちゃうんですよね。日本でそんなことはできないと思うんです。

ワクチンや治療薬の開発が何年もできなくて、結果的に集団免疫を持つことになってしまうことはあるかもしれないけども、積極的に目指すことはしないと思います。

たしかに、多くの人が亡くなるのは・・・

それと、集団免疫を獲得すればいいのではないかということには大前提があって、「1回かかった人は2回目以降はかからない」とか「かかりにくくなる」といった事実があることが必要です。

感染症にかかると免疫ができると考えて、新型コロナウイルスもそうなんじゃないかって思ってしまうかもしれません。

でも新型コロナウイルスの場合、1回かかった人が2回目、3回目はかからないのか、あるいはかかりにくくなるのかは、まだよくわかっていないんですよ。

ただ、最近、香港で、1回感染して治った後、4か月あまり経って再び感染が確認された人がいたと報告されています。

そうなんですね。

だから集団免疫を目指して、多くの人が亡くなった上でみんな感染して免疫を獲得しても、また多くの人が2回目や3回目、感染したとなると、一体何をやっていたんだという話ですよね。

しっかり向き合って徐々に減らしていくっていう方が現実的なんでしょうか。

そうでしょうね。集団免疫の考え方は、達成できたら普通の生活に戻れることは大きなメリットなんですよね。

ですが、そこまで行くのが大変なのと、狙いどおりのものになるのかがわからない。リスクと失うものが大きすぎて、日本にしても、多くの海外の国々にしても集団免疫という方法については考えていないと思います。

まだわからないことが多い新型コロナウイルス

ワクチン・治療薬ができれば

今後は新型コロナウイルスもインフルエンザのような立ち位置になっていくんでしょうか?

ワクチンや治療薬ができれば、そうなる可能性が高いと思います。

今はすごくやっかいなウイルスですけど、治療薬やワクチンができればもう「普通の感染症」、あるいは「ちょっとやっかいだけども、なんとかならないわけではない感染症」になると思うんです。

そこまで行ければ、3密の徹底もここまでやらなくてもいいのかもしれないし、マスクも外せるかもしれないですね。

この先、何をもって収束と言えるんですか?

ウイルスの見えづらさからすると、世界の一部の地域で感染を抑え込んで、一部の地域では感染が続いているという状況にはならないと思うんです。

結局のところ、地球規模で収束させることができないと収束って言えないんじゃないかな。

WHOが収束を宣言する日は、いつ来るのか

シュウソクって言っても日本語で言うと、「収束」と「終息」があるんですけども、世界中から感染者がいなくなる「終息」はおそらく難しくて、「収束」を目指すということですね。

収束はどういう状態かというと、感染する人はいるけど、ワクチンや治療薬で重症化したり死亡したりする人を減らして、ある程度、普通の病気と言えるくらいまでこの感染症による健康被害を抑えられるようになることだと思います。

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