この週末、アメリカ西部オレゴン州に取材に行ってきました。
民主党の地盤ですが、今回の中間選挙では一部で共和党が巻き返しを図っています。
特に、州知事選は接戦で、今回、共和党の候補が当選すれば実に40年ぶりのことです。
私が注目したのは同じく接戦の選挙を戦う、民主党の下院議員候補、ジェイミー・マクロード・スキナー氏の集会。

経済政策について話しているのにスピーチの中で「インフレ」ということばを一度も使っていないことに気がつきました。
代わりに多用していたのが「労働者家庭の生活コストを下げる」という表現です。
共和党は「記録的なインフレはバイデン政権の失策だ」と攻撃しています。
このため、民主党の候補者は、インフレの話題を意図的に避けているようなんです。

政治広告を分析しているワシントン州立大学のトラビス・リダウト教授によると、9月の1か月間だけで、共和党側は6万7000回にわたってインフレについて触れたテレビ広告を放送。
一方、民主党側は、その3分の1以下の2万1000回にとどまっているということです。

マクロード・スキナー氏に「生活コストを下げる政策はインフレ対策とイコールか」と質問しましたが、明確な答えは得られず。
「私の支持者は食べ物に困らず、住む場所を確保できれば、その政策をなんと呼ぼうが気にしていない」
インフレということばは使いたくない、でも、経済の立て直しは公約したい。
「生活コストを下げる」というキーワードは代わりに編み出した苦肉の策のようです。