
11月に行われるアメリカの中間選挙。
バイデン大統領の民主党と、トランプ前大統領が依然、強い影響力を持つ共和党の対決色が鮮明になるなか、選挙戦が激しさを増しています。一方、アメリカの大統領選挙と違って中間選挙と聞いても日本ではなじみが薄いという方も少なくないかもしれません。
ここでは、アメリカ中間選挙がいったいどんなものなのか。なぜ注目されるのかなどについて解説していきます。
(国際部記者 高須絵梨)
中間選挙とは?

中間選挙は、4年に1度行われる大統領選挙のちょうど「中間」の年に全米で一斉に行われる連邦議会の上院と下院の議員選挙や、州知事選挙などを指します。
11月第1月曜日の翌日の火曜日に行われると決まっていて、ことしは11月8日が投開票です。選挙後のアメリカ政治の方向性を占うことにもなると言われる重要な選挙です。
連邦議会では何議席が改選に?
最も注目される連邦議会の選挙では、上院の3分の1と下院のすべてが改選されます。

上院の定数は100議席。各州から2人が選ばれ、任期は6年ですが、このうちのおよそ3分の1が2年ごとに改選されます。現在は無所属を含む民主党系と、共和党がともに50議席で同数となっていますが、採決で同数の場合は議長を務めるハリス副大統領が1票を投じるため、民主党が事実上の多数派となっています。
下院の定数は435議席。各州の人口比率に応じて配分され、任期は2年。今回すべての議席が改選されます。現在は、民主党が220議席、共和党が212議席で、民主党が多数派となっています。つまり、現在は、民主党が上下両院で主導権を握っている状況です。
また、今回の中間選挙では、50の州のうち、7割以上にあたる36の州で州知事選挙も行われる予定です。
なぜ注目される?
中間選挙は、大統領選挙の任期4年の中間に行われる選挙であることから現職の大統領に対する評価の場でもあるとされています。

つまり今回の選挙では、バイデン大統領の民主党が勝てば、その後の政権運営がスムーズに進み、2年後に控える大統領選挙に向けて、民主党側に弾みがつきます。
逆に、上下両院、またはいずれかで野党・共和党が多数派となれば、与党・民主党側が提出する予算案や法案は成立しにくくなり、バイデン大統領は難しい政権運営を迫られることになります。
過去には“決められない政治”も

オバマ政権時代には、政権が発足した2009年、上下両院とも与党・民主党が多数派でした。しかし、その後の中間選挙で大敗。下院で多数派を失いました。
2期目で迎えた中間選挙では、上院でも逆転を許し、その結果、議会に提出された法案はほとんど成立しない状態が続きました。アメリカ政治は「決められない政治」と揶揄されることにもなりました。

バイデン政権への「信任投票」という側面もある中間選挙。記録的なインフレや人工妊娠中絶、移民政策、銃規制など、さまざまな争点がある中、アメリカの有権者の判断の行方に注目が集まります。