Q.接種を迷っているけど、接種はしたほうがいい?

A.
新型コロナウイルスのワクチンをめぐっては多くの情報が飛び交っていて、接種すべきかどうか迷う人もいます。

ワクチンや感染症に詳しい専門家は、新型コロナウイルス感染による重症化などのリスクを考えると、副反応が出ることはあるもののワクチン接種で発症を防ぐメリットの方が大きいと指摘しています。

ワクチン研究の第一人者で、アメリカのFDA=食品医薬品局でワクチンの臨床試験の審査業務に関わった経験もある東京大学医科学研究所の石井健教授は、日本で接種が行われる予定のワクチンについて「いずれも透明性のあるデータで有効性と安全性が裏付けられていて、おそらく問題のない水準だ。あまりにも開発スピードが速いため心配していた面もあるが、臨床試験では参加した人数や精度もまったく問題ない」と説明しました。

そして「長期にわたる副作用がないとは言い切れず、数年たって出てくる影響はまだ分かっていないが、時間がたってからしか分からないもの以外はすべて明らかになっている。新型コロナウイルスに感染したり、重症化したりするリスクを考えると、ワクチンを接種してそのリスクを下げる方が大切だ」と述べました。

その上で石井教授は「いまは、ワクチンを前にして『あなたはどうしますか』と個人や社会に突きつけられている。科学的に申し上げると、リスクが高い人、具体的には65歳以上の人はワクチンを打ってほしい。また、高齢者や基礎疾患のある人などの家族も接種してリスクの高い人を守れるようにしてほしい。ワクチンを接種しなければ、感染のリスクはそのままだ。自分だけでなく、家族や周囲への影響も考えて自分自身で判断してほしい」と話しています。

また、政府の分科会のメンバーで川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は、「各国のワクチンの治験のデータやすでに接種が始まっている国々からの情報を見る限り、少なくとも非常に心配しなければならないような副反応というのは見られないと思う。インフルエンザのワクチンなどに比べて、接種時に痛みがあったり、腫れが引きにくかったりすることはあるかもしれないが、ほとんどの場合は時間の経過とともに消えてしまうと言うのが、いままでのデータから見えている。ただ、接種に際して、心配になった場合に相談できたり、診療を受けられたりする体制を整えることは、必要だと考えている」と話しています。

その上で岡部所長は「私が接種を受けるかどうか聞かれれば、やはり『受ける』と答える。感染してしまうと軽症で済む場合もあるが中には重症になってしまう人もいる。その割合とワクチンで重い副反応が出るリスクを比べると、ワクチンを受けて病気を防ぐメリットの方が大きいと思う。ただ、体質によっては、受けたくても受けられない人もいるし、どうしても受けたくないという人もいるはずだ。個人の判断は当然、尊重されるべきだと思う」と話しています。

(2021年2月15日時点)