Q.ファイザーなど各社のワクチン、それぞれの効果は?

A.
新型コロナウイルスのワクチンを開発している製薬会社などの多くは、ワクチンの効果について臨床試験の結果を公表しています。

ワクチンの効果は、ワクチンを接種したグループと、プラセボと呼ばれるワクチンに似せた偽の薬の投与を受けたグループを比較して評価します。

発症した人の割合が、ワクチンの接種を受けたグループでプラセボの投与を受けたグループより少なければ、発症を予防する効果があったものと判断できます。

厚生労働省が契約したワクチンのうち、アメリカの製薬大手「ファイザー」とドイツのバイオ企業「ビオンテック」が開発したワクチンと、アメリカの製薬会社「モデルナ」のワクチンでは、数万人を対象にした臨床試験で発症を予防する効果が90%を超えていたとする結果が出されています。

ワクチンではない、プラセボを投与された人のうち、一定の時間がたった段階で発症した人の割合を100とすると、ワクチンを接種した人のうち発症した人の割合は10未満で、これを比較して発症が90%以上抑えられたということを示しています。

ただ、ワクチンを接種しても感染することはあるため、ワクチンの接種が始まったとしても、マスクの着用や「3密」を避けるといった感染対策は引き続き必要です。

◎日本でも接種が行われる予定のワクチンの効果について、論文や発表に基づいてまとめました。

●ファイザー

ファイザーとビオンテックのワクチンについて、臨床試験の結果をまとめた論文によりますと、最終段階の臨床試験には4万3448人が参加し、感染歴がなかった人のうち臨床試験に参加した後で新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、▼ワクチンを接種された人では2万1720人(実際に分析したのは1万8198人)中、8人だったのに対し、▼プラセボ(偽薬)を投与された人では2万1728人(実際に分析したのは1万8325人)中、162人で、ワクチンで発症を予防する効果は95%だったということです。

●モデルナ

モデルナのワクチンについて、臨床試験の結果をまとめた論文によりますと、最終段階の臨床試験には3万420人が参加し、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、ワクチンを接種された1万5210人では11人、プラセボを投与された1万5210人では185人で、ワクチンの発症予防効果は94.1%だったということです。

●アストラゼネカ

イギリスの製薬大手、アストラゼネカの3月25日の発表によりますと、アメリカやチリ、ペルーなどで行われた3万2449人を対象にしたワクチンの臨床試験で、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは190人で、これをワクチンを接種した人とプラセボを投与された人で比較すると、発症を防ぐ効果は76%だったとしています。アストラゼネカは「古いデータが含まれ、有効性の評価が不完全な可能性がある」として、アメリカの国立アレルギー・感染症研究所から最新かつ正確なデータを示すよう求められたのを受けて、分析し直したデータを公表し、79%としていた発症を防ぐ効果について76%に修正しました。また、重症化した人が8人いましたがすべてプラセボを投与された人で、重症化を防ぐ効果は100%だとしています。

◎ほかのワクチンでも効果を示す結果が出されています。

●ジョンソン・エンド・ジョンソン

アメリカの製薬大手、ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンについて、4万3783人が参加した臨床試験の中間報告では、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは468人でした。

ワクチンは1回だけ接種する仕組みで、接種から28日後以降に中程度の症状や重症になるのを防ぐ効果は66%だったとしています。

また、重症のケースに限ると予防効果は85%だったということです。

●ノババックス

アメリカのバイオ企業、ノババックスはイギリスで行ったワクチンの臨床試験の結果を発表しています。

それによりますと、臨床試験には1万5000人以上が参加し、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、ワクチンを接種した人の中では6人、プラセボを投与された人の中では56人で、予防効果は89.3%だったとしています。

●ロシア・スプートニクV

ロシアの国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所の発表によりますと、ロシアが開発したワクチン「スプートニクV(ぶい)」の臨床試験には1万9866人が参加し、新型コロナウイルスの症状が確認されたのは、ワクチンを接種した1万4964人のうちでは16人、プラセボを投与した4902人では62人だったということです。

ワクチンの予防効果は91.6%だったとしています。

また、重症化した人は20人いましたが全員がプラセボを投与された人だったということで、「ワクチンの接種から21日目以降の重症化を防ぐ有効率は100%だった」としています。

このワクチンは、ロシアなどで接種が行われています。

●シノファーム

中国国有の製薬会社「シノファーム」はウイルスの毒性をなくしたタイプの「不活化ワクチン」を開発しています。

ウェブサイトによりますと、最終段階の臨床試験でのワクチンの有効率は、UAE=アラブ首長国連邦で86%、中国では79.34%としていて、中国などで接種が行われています。

(2021年3月25日時点)