2021年07月16日
志望業界が決まっていない状態でとにかく、ひととおりいろいろな業界を見てみようと思っている人も多いと思います。
どこから手を付けていいのか分からない情報を前に「お手上げ…」とならないよう、どんなふうに情報収集を始めればよいのか、マイナビの高橋誠人編集長とOfferBoxの中野智哉代表にヒントを聞きました。
(聞き手:田端瑞貴 本間遥)
学生
田嶋
まだ志望業界が絞れていない場合、どんなふうに情報収集を行えばいいでしょうか。またいつまでに志望業界を絞ればいいでしょうか。高橋さん、お願いします。
無理に絞る必要はないと思います。今は視野を広げるフェーズかなと思います。
高橋さん
視野を広げる…。
さまざまな業界・企業の方々と会って情報収集しながら、自分の中で一番ピンときたのはこの業界の人だった、とか。
書店に行けば、就活向けの業界研究本があるので、それをパラパラとめくってみるだけでも、やっぱり興味がある業界に目が止まると思うんですよ。
(目に留まった業界の)歴史や、今後の展望はどうなのかをネットなどでさらに調べて、自分の中で文章化しておく。
なるほど。
今後の業界の展望を自分で文章化することが出来たら、初期面接を通過できる可能性が高いと思いますよ。
情報収集って、本をもとにするのか、インターネットをもとにするのか、どちらが良いですか。
田嶋さんがもし面接官だったら、どちらを評価しますか。
そうですね…。今だとインターネットかもしれないですね。
そうなんですね。それならインターネットで最新の情報を収集しながら、その業界の過去については図書館で調べるっていうのも1つですよね。
最新の情報はインターネットの方が手に入れやすいですね。
ただ、その情報が正しいのかどうか、複数の情報から確認する必要があります。インターネットで調べて、さらに書籍で確認したり、自分の大学の先生に聞きに行ったりというところまでできたらいいですね。
そこまでやっている就活生ってなかなかいないので、僕だったらかなり評価します。
学生
本間
インターネット上にはいろんな情報があふれてると思うんですけれども、情報を収集する上で信じていいものと、逆に信じたら危険なものってあるんですか。
一般的にはやはり、ソーシャルメディアのようなソースが明確ではない情報というのは、二次情報、三次情報として信ぴょう性は下がっていくと思いますね。
国などが出している情報であれば、信用しても問題ないと思うんですが、ニックネームを使っている人がつぶやいたような情報には注意した方がいいかもしれないですね。
それこそ就活情報には、企業に対する口コミなどもよくあると思うんですけど、そういう口コミ情報に対してはどう気をつけて読んでいけばいいですか。
難しい表現になりますけど、私個人としては、口コミは“話半分”かなと思いますね。
半分…。
真実の場合もあれば、真実じゃない場合もあるっていうふうに聞いています(笑)。
鵜呑みにしすぎない方がいいということですね。
そうですね。SNSはすごく便利で、簡単ですけれども、簡単にアクセスできる情報の信ぴょう性について考えてみるのも大切だと思います。
中野さんはどうですか。
まず「いつまでに」というのはないと思いますね。
中野さん
この業界に行きたいからこの会社にするっていう人もいれば、そうではない人もいるんです。この人たちと働きたいからこの会社に行きますとか、この職種の仕事をしたいからこの会社に行きたいという人もいるので。
志望業界を絶対決めなきゃいけないわけではないということが大前提です。
そうなんですね。
業界研究の方法で僕が個人的に好きなのは、街を歩いていると、街なかって全部ビジネスだらけなんですよね。そこから妄想するのが好きで。
妄想!?(笑)
例えば、このペンね。ペンを作っているメーカー以外にもいろんな業界が関わっているんですよね。
ここ(ラベル)を印刷する業界とか、このプラスチックの素材メーカーとか、マーカー自体を売っている小売業界とか、これを運んでいる運送業界とか。
その運送業界でも車で運んでるパターンと船で運んでいるパターンがあるので、車を製造する業界もあるし、船の業界もあるでしょ。こうやってビジネスって色々絡んでいるんですね。
確かにそうですね。
街なかとか、家の中でもいいですけど、「これ何で出来てるんだろう」という発想を持って見てみたら、業界ってたくさんあるんですよね。
はぁ〜、なるほど。
何気なく生活していました。
それだけでもちょっとイメージが湧いたりするし、そういう観点から見ていくと、この業界は気になるとか、そういうのが僕は出てくるかなと思います。
業界研究は身近なところから始めても、全然かまわないんじゃないかなと思いますね。
面白いです。
田嶋さんの趣味は何ですか?
趣味というか、私はスポーツクライミングの競技をやっています。
クライミングにも相当いろんな業界が関わっているでしょ?
確かに…考えてみれば、本当にいろんな要素がありますね。そこまで考えた事なかったです。
自分の周囲からスタートして考えると、時間はかかるんだけど、多分興味はすごく湧くので、業界は絞りやすいと思いますね。
ありがとうございます。確かにそういう視点で生活してみれば、いろんな興味が湧くのかなって思ったんですけど、得意なことと自分が興味があることが違う場合、どちらを優先すべきなんですか。
結論からいうと、どちらを優先してもOKです。
どっちも?
「好きなこと」と「得意なこと」。それに「稼げること」と「求められること」が重なったら生きがいになるという考え方があるんです。
ローマ字で「IKIGAI」って検索していただければ出てきますが、すごく分かりやすい。
どこから始めても、その仕事に生きがいを感じるには、やっぱり4つの要素が全部がそろわないといけないんですよ。
好きだから、得意にならなくてもいいです、ではないと思うんですよね。
得意か好きか、どちらかを取るというわけじゃないんですね。
成長していく過程で、どこから入ってもその領域が他の領域へ広がっていくということだと思います。
例えば、僕は「とにかく仕事に就く」という目的で、人材業界に入りました。まず、お金を稼げるようになりました。全然できなかった営業ですが、入社して10年くらいかけて一人で売れるようになって、得意なことになりました。
その間にそれが好きなことにもなっていたんですよ。知らず知らずに。
それをもとに今度、自分で会社を作って、今たくさんの企業さん、学生さんに求めていただいているような需要のある状況なので、今仕事がめっちゃ楽しいです。
やっていくうちにだんだんと広がる、っていう感じなんですね。
20年かかってますからね。でも「好き」になってからは、何か起こったとしてもさほど辛くはないですね。
だけど、好きなことで、それが得意じゃなかったら辛いと思います。
「めっちゃ好きやけど、全然できない」から、どこかでやっぱり成長して、できるようになっていく、という考え方が必要かなと思います。
学生たち
ありがとうございます。
次回は、膨大な企業情報から自分の欲しい情報を差別化する、”本当に役立つナビサイトの使い方”を聞きます。近日公開予定。
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