2020年08月20日
新型コロナウイルスの影響がはっきりと表れる結果となった。就職情報会社が企業を対象にした調査で、来春卒業(21年卒)の新卒採用について尋ねたところ、「売り手市場だ」と考える企業は全体の4割と、昨年の9割から激減した。採用見込みも、前年比で「減少」と答えた企業が、「増加」と答えた企業を上回り、近年続いてきた売り手市場に陰りが見えている。
採用市場の変化が色濃くあらわれたのは、就職情報会社ディスコが7月上旬に行った「2021年卒・新卒採用に関する企業調査-中間調査」(調査期間:7月1日〜9日、有効回答社数1263社)。※文中の図表はいずれも同調査より作成
【採用は抑制へ】
同調査によると、21年3月卒業予定者の採用見込みについて、採用が「増加」と回答した企業は15%。これに対し、「減少」と答えた企業は27.6%に上った。
前年に対し、採用見込みの「減少」が「増加」を上回ったのは、リーマンショックの影響が続いていた2011年卒(増加13.0% 減少19.6%)以来となる。
同じ調査を今年2月に行った際は、「増加」が22.2%、「減少」が10.7%と、増加が減少を上回っていたことから、新型コロナウイルスが企業の採用意欲に色濃く影響を与えたことがわかる。
さらに従業員の規模で比較してみると…
いずれの規模においても、「減少」>「増加」になった。
特に従業員規模別1000人以上の大手企業においては、「減少」と答えた割合が35.2%に上った。
業界別でみても、「減少」が「増加」を上回る傾向は共通していて、「減少」の割合は、
製造業で29.5%、サービス業で27.8%、流通・商社で26.9% などとなっている。
【採用は売り手市場に陰り】
採用について企業に考えを尋ねたアンケートにも大きな変化がみられる。
17年卒〜20年卒まで9割が「売り手市場だと思う」と答えていた。
ところが、今回は一気に約4割にまで減少。
特に、「完全に売り手市場だと思う」は、
20年卒:63.5% → 21年卒:7.7%に激減した。
全体では、売り手市場と考える企業が、買い手市場と考える企業をまだ上回っているが、アンケートには「2020年2月までは売り手市場だと思っていましたが、コロナの影響で一気に逆転したと感じています」<建設・住宅・不動産/中小>といったコメントも寄せられている。
近年続いてきた売り手市場が変化する潮目の年になるのかもしれない。
【学生の行動にあらわれた危機感】
こうした傾向に対して、学生側には、前年の学生に比べてエントリー数を増やすという反応がみられ、
エントリーが、前年比で「増えた」と答えた企業が38.2%。「減った」と答えた企業(34.9%)を3.3ポイント上回った。
20年卒まではエントリー数の減少傾向が続いていたことから、ディスコは「新型コロナで一時期選考が中断し時間が空いた学生たちが、選考が進まないことに不安を感じ、より多くエントリーした結果」と見ている。
【22年卒の採用計画4割が未定】
この先は、どうなるのか?今年の採用見込みを受けた、22年卒(現3年生中心)の採用計画について尋ねたアンケートでは、「2021年卒並み」が過半数を占めた。
増える見込みも減る見込みもそれぞれ1割以下となっている半面、「未定」としている企業が4割前後に上った。
採用計画に関する企業の動向が注目される。
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