新型コロナウイルスの感染拡大は、大学生の就職意識にも変化をもたらしているようです。

▽就職情報大手「マイナビ」が、来春卒予定の大学生、大学院生に「就職観」について尋ねたところ、「楽しく働きたい」が減少し、「人のためになる仕事がしたい」との回答が増えました。

就職観を尋ねた項目での回答では、「楽しく働きたい」との回答は最も多かったものの、12～2月の調査に比べて3月は5.8ポイント減少しました。

昨年の同時期の調査では38.9%でしたからことしは7点8ポイントも減っています。

逆に「人のためになる仕事がしたい」と答えた人は、12月～2月の調査と比べ4.7ポイント増加。

昨年の同時期の調査よりも4.6ポイント増えています。

この調査は緊急事態宣言が発令される前の3月20日までが締め切りでしたが、新型コロナウイルスの感染拡大が、就活観にも影響を及ぼしているようです。

▽次は、就職先として選ぶ企業の志向についてです。
「大手企業志向」ですか、それとも「中堅・中小企業志向」ですか、という問いに…。

大手企業志向(「絶対に大手がよい」+「自分にやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」の合計)は55.1%。
2000年以降の21年間で最も高い結果となりました。

特に大手企業が多い関東・関西の国公立大学では7割が大手(「絶対に大手がよい」+「自分にやりたい仕事ができるのであれば大手企業がよい」)を志望していました。

ただ、3月以降は回答に変化が起きています。

大手企業志向が減少し、中堅・中小企業志向が増加。3月以降に予定されていた企業の説明会が相次いで中止になるなどが影響しているとみられます。

▽さらに、企業選びのポイントを複数の選択肢から選ぶ質問に対しては、
「安定している会社」　38.3%
「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」　35.9%
となり、他の選択肢を大きく引き離しています。

▽反対に行きたくない会社を複数の選択肢から選ぶ質問では、
「ノルマのきつそうな会社」　34.5%
「暗い雰囲気の会社」　29.5%
「休日・休暇が取れない(少ない)会社」　23.4%
「転勤の多い会社」　22.7%
が上位となっています。

◎マイナビ担当者の分析

・コロナウイルス感染拡大が就活にも影響する中で、「楽しく働く」という意識が持ちにくくなっている。

・ニュースで医療関係者などの奮闘を知り、自分のことより「人のため」「社会のため」に何かしたいという思いが強まっているのではないか。

・就職先についても漠然としたイメージではなく、自分が本当にやりたいことは考え、現実的な選択をしているのでは。

調査は就職情報大手「マイナビ」が実施。来年春に卒業する大学生や大学院生が対象で31007人がインターネットで回答。(調査期間:2019/12/1~3/20)