就活ニュース

「自己分析はいらない!?」

2019年11月22日

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就活生がこの時期から悩み続ける「自己分析」。ガクチカに書けるようなすごいエピソードなんてないし…。何が必要で、何から手をつければいいの?そうしたギモンを新卒採用分析が専門の法政大学の田中研之輔教授にインタビュー。すると「自己分析はいらない」と衝撃の発言が…どういうことなのでしょうか?

「自己分析はいらない!?」

学生
勝島

私たちはいま大学3年生で、これから就職活動が本格化しますけど、自己分析は就職活動の最初の1歩というイメージがあります。

うんうん、そう思うよね。

田中さん

でも、自己分析って何なのかよく分かってなくて・・・。何のためにあるのでしょうか。

僕は自己分析はいらないと思っているんですよ。

いらない!?ですか。

そう。学生経験の中で自己を掘り下げるのは大事な作業だけど、そこに答えはないって知った方がいい。

どういうことですか?

就活で大事なのは、どういうニーズがあって、どういう職業とか、働く場所があって、自分の今までの歴史がマッチするかを探すこと。

自己分析って、自分の中の歴史を探すだけじゃないですか。

でも、今、社会で何が求められているかを知らないで自己分析やっても全く意味がないってことなんだ。

僕は、授業でもよく「自己分析だけだとまずいよ」と言っていて。企業のIRって見たことある?

IR:Investor Relations(インベスター・リレーションズ)のこと。企業が株主や投資家向けに経営状態や財務状況、業績などに関する情報を発信する活動。

全然知りませんでしたが、前に取材した方から見たほうがいいよって言われて見るようになりました。

いいね。僕は、ずっと「IRオタク」になりましょうって言っているんだ。IRは説明責任なんですね。株主に対して、いま、どんな方針でやっているかを説明しなきゃいけない。

例えば、自分が興味がある会社のIRを見てみる。そしたら、スマートチャンネルという動画サービスを始めます、とか書いてあったとするよね。こういう情報を知る方が、自己分析よりよっぽど大事だと思うんだ。

単なる自己分析だと「これまでの人生経験の中から考える自分の強みは何か」とか「学生時代一番頑張ったことは」で、例えば、バイト週3で3年働きました、何々リーダーになりました、それで終わっちゃう。

そうじゃなくて、その3年やったバイトでどういう経験を積んで、この経験は御社に対してどこでいきますって言ってほしいんだよね。

自分の経験を、“どういかすか”につなげることが大事なのですか?

そう。自己分析を全否定はしないけどね。みんなは自己分析やってる?

やってます…。

やめたら?(笑)

先週、そろそろ自己分析しないとマズいなと思って検索したんですね。「自己分析 やりかた」で。

そうしたら、小学校や中学校の出来事を、何でやったのか、羅列していきましょうって書いてあって。やったんですけど、結局、「で、なに?」で終わってしまって。

うん、わかる。

自己分析って何のためにあるのかな…って。

自分を見つめ直す事は意味がないわけじゃないんだよね。

ただ、例えば部活動のキャプテンやってますとか、お母さんに不幸があってすごくつらい時期があってとか、基本的に人間の人生のパーツって似ている部分があるんだ。

だけど、自己分析をやっていると、それが自分にしか経験した事がない!っていう錯覚に囚われるんですよ。だから面接をしてみると、単に自己分析しただけの就活生は同じようなことを言うようになってしまうと。

大事なのは、自己分析に引きつけて言うなら「自己未来分析」です。これから社会がどうなる、5年後10年後に向けて自分はどうしたいのか、それを語ってくれた方が面接は通るしすごく大事。

「自己未来分析」ってどうすればいいの?

実際にESを書くとなると「ガクチカ」(学生時代に力を入れたこと)とか求められるじゃないですか。でも何を書けばいいのか分からなくて…。

じゃあ、なぜ、その設問を書かせるかを考えるんですよ、これが絶対大事。

なぜなら、社会人になることは、受け身から作り手側に変わることなんですね。

立場がかわると。

例えば目の前にあるこの水で考えてみるとね、受け手側の大学生まではこれをただ飲んでいるだけ。

就職して、作る方に回れば、同じような商品が並んでいる中で、お客さんが、なぜ、選んでくれたかを考えなきゃいけない。そういう訓練をしなきゃいけないんです。

作り手側に回るのは大学生のうちからやるのが大切なんでしょうか。

そうです。僕は大学生をポスト高校生とプレ社会人の2つに分けています。

田中さんがホワイトボードの前に…。

ポスト高校生というのは高校卒業してそのままの学びのまま、大学生になって何年かそのままでいる。

そうすると感覚的には高校4年生5年生なんですよ。授業を受けて何かそれを覚えればテストに通ると思っている。

講義のようです!

学生
西澤

たしかに。

だけど社会でそんなことは必要じゃないから「プレ社会人になれ」って学生には言っています。

社会人をいきなりスタートするんじゃなくて、大学をプレ社会人として2、3年過ごせば作り手側に回ることができる。

☛勝島ポイント:人生で一度も、自分を「作り手」として意識したことはなく、社会人になれば自然と変われるものだと甘く考えていました。「作り手」になるにも訓練が必要で、その訓練を積む時期がまさに今と聞いて少し焦っています。

プレ社会人になる、って言えばなれるものでもないと思うのですが…。

1番いいのは環境を変えることなんですよ。

自分がいる日常から環境を変えた時にいろんなものが見える。そこにプレ社会人になるきっかけが落ちていると思っている。

大学の中だけにいるとなかなかそれはできないんだよね。環境を変えるのは、インターンシップ経験や留学、海外旅行でもいいけど。

プレ社会人になる手段としてアルバイトではだめですか?

アルバイトでもいい。でも例えばコンビニでやるなら発注までしてほしいんだよね。

発注を実際にやるのは店長でも発注をやるところに入ってほしい。きょう気温が30度、明日32度となると、何が売れるか考えるわけ。

それがないと、自分の時間をただ時給に変えてるだけになっちゃう。アルバイト何してるの?

私は飲食店で働いています。でもできた料理をテーブルまで運んでるだけなんで…。

運び方にも色々ある。例えばどの角度から入ったらお客さんが一番喜ぶかとか、そういうことを極めるんですよ。

そうすると、プレ社会人のサイクルに入るから面白くてしょうがないよ。バイト先は、ひとつの料理で幾ら利益出るの?

いや…把握してないです。

それを聞くのがプレ社会人。そうできるようになったら、その人の自己分析は面白いし、ガクチカのストーリーが形式的じゃなくなるんですよ。

単なる自己分析ではなく、自己未来分析が大事という田中教授。
その意味をさらにくわしく聞いた第2弾は近日公開します。

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