2024年01月30日
OB・OGの方に訪問したものの、満足に質問できなかった…そんなことになるともったいないですよね。意義のある訪問にするための準備のしかたや、その後の就活へのいかしかたについて、引き続きマイナビの高橋編集長に聞きました。
学生
豊田
OB・OG訪問することが決まったら、どのような準備をしておくとよいでしょう。
まず、企業の下調べと、質問案の準備をしましょう。
マイナビ
高橋編集長
訪問を受けてくれる社員の人たちは、業務時間内に時間を割いてきてくれるOB・OGもいます。
その人たちの時間を無駄にしないためにも、事前に何を聞きたいかきちんと準備してまとめておく必要があります。
高橋誠人編集長
2002年にマイナビに入社。10年間、マイナビの学生向け広報事業に携わったあと、営業の現場で企業の採用コンサルティングに幅広く関わる。2018年より現職。
私はいつも、「就活ノート」を作ることを学生さんにお勧めしています。OB・OG訪問の際も活用することができますので紹介します。
パソコンやスマホも便利ですけど、紙のノートを使用している先輩が多いです。
見開きで使って、左のページにはその企業の基本情報と、OB・OG訪問などで聞きたい質問項目を書いておきます。
右のページには、当日聞いたことをメモしていきます。
学生
堀
企業の情報はどのようなものを知っておくべきですか?
企業のWebページなどでわかる範囲の、最低限の事前知識は得ておきましょう。
設立年や沿革、従業員数、主力事業など。上場企業であれば一般投資家や株主向け情報のところに、分かりやすい決算報告や今後の事業計画書などがアップされているので、目を通しておくとよいでしょう。
相手の時間を無駄にしないためにも、事前に調べればわかるようなことを訪問時に質問しないようにしましょう。
それでは質問する項目は、どんなことが大事ですか?
仕事についてのことと、プライベート(ワークライフバランス)についてのことに、大きく分けるとよいでしょう。
仕事についてのことは、現在の仕事内容ややりがい、さらには今後取り組みたい仕事内容など。先輩自身の当時の志望動機や、仕事観、キャリア観などもきいてみるとよいかもしれません。
それらの内容に共感できたら、その企業に入りたい、一緒に働きたいと思えるでしょう。
あとは、若い人の意見は通るのか?それとも昔ながらの気風があるのか?といった感じで風通しのよさなども聞いてみたら、実際に仕事をする際のイメージがわきやすいかもしれません。
なるほど。
ワークライフバランスについては、先輩のまわりでは平均何時ごろ退社していますかとか、休日に何をやっていますか、など。
社員同士の人間関係、雰囲気など聞くのもよいでしょう。社内サークルやレクリエーションなどがさかんな企業もあれば、ほとんど飲み会もないというような企業もあります。
こういったものはなかなか公式情報では得られないような、自分ならではの情報になりえますし、そこに自分がいるイメージをより描くことができると思います。
質問案は、あらかじめOB・OGの方に送る必要はありますか。
連絡先がわかるなら、できれば送った方が丁寧かなと思います。
いきなりだと、質問の意図にそぐう回答ができない可能性もあるので。
これから社会に出て働くときも、可能な範囲で事前にコミュニケーションは取っておいた方が、実際に会った時に仕事をスムーズに進められるので、心がけておくとよいでしょう。
質問はいくつぐらいなら送ってもよいですか。
大きくポイントで絞って、5、6個程度がちょうどよいのではないでしょうか。
10とか20とかだとちょっと相手の負担が大きいでしょうね。
事前に送るのはあまり多すぎないほうが、相手も気構えずに準備できると思います。
訪問当日、学生が気をつけたほうが良いマナーなどはありますか?
はじめにも言ったように、時間を割いてもらっているということをまず一番に念頭に置きましょう。
だから遅刻などをしないように気をつけること、もし交通事情などで遅れるような場合も事前にきちんと連絡すること。
会ったらはじめに「きょうは何時までよろしいですか?」と時間のうかがいをたてるなど、相手を気遣うことができるとよいですね。
別にこれは学生だからというわけではなく、人間関係の基本的なマナーですので、社会に出る前に身に着けておきましょう。
名刺の受け渡しとか、敬語とかはどうですか?
そのあたりは正直、あまり気にしすぎなくても良いと思います。先輩たちだって学生の時ちゃんとは知らなかったと思いますよ(笑)。
服装が気になるのであれば、リクルートスーツを着ていくといいと思います。
NGな質問や、聞いたらいけないことなどありますか?
先輩との関係性にもよると思いますが、やはりネットで事前に調べたら分かるようなことは聞かないこと。
あとは突っ込んだプライベートなこととか、いきなり年収などのデリケートな話に踏み込むような質問も、マナーとしてはやめたほうがいいでしょう。
訪問で得た情報をESや面接にいかしていくのに、より効果的な方法はありますか。
その先輩が個人的に感じている、業界の現状や展望など「いま」のことを聞いてみるのはおすすめです。
例えば自動車業界だとしたら、「今後は化石燃料から電気に変わっていくのは間違いないよ」と言われたら、「ではそういう環境に配慮したエンジンを作っているのは御社以外にはどこの企業ですか?」など深掘りしてみましょう。
そこで得たホットな情報に、自分なりの考えや検討を加えたうえで、実際に面接などで言うとよいでしょう。
「こういうふうに業界が変わっていくことに興味があります、業界の中で御社がリードしていくように自分も頑張りたいと思います」というふうに。
熱意も伝わりますし、せっかくOB・OG訪問したんだったらやるべきですね。
ぜひやってみます。
でも間違えてはいけないのは、OB・OG訪問をしただけで業界・企業研究をした気になりがちだけど、それは危険です。
先輩3人に会ったから結構企業のことは知っているよ、と思っていても、他の基本的な研究ができていなかったり、自分の志望動機と結びつけていなければ意味がありません。
企業研究、自己分析にプラスするあくまで補助ツールとして、OB・OG訪問を活用するようにしましょう。
もしずっと行きたいと思っていた企業が、OB・OG訪問をして何か違うと違和感を持ってしまった場合、志望するのをやめた方がいいのでしょうか。
これは本当によく聞かれるのですが、これは逆のパターンもあると私は思っていて。
つまり、「事前に聞いていたよりいい会社だった」「入ったらとても自分に合っていた」というパターンです。
その先輩にとってみたらマイナスの要素が多かったが、自分にとってその要素は全然大したことなかったということもあるし、正直、入るまで何が自分にとって正解だか分からないんですよ。
よく「自分の理想の企業を探したい」という学生さんも多いですけど、就活生はまだ企業で働いた経験が無いわけですから、自分のイメージと完璧にマッチした企業に出会えるケースは少ないと思います。
入社後に自分の成長とともに社会や企業も変化するので、その際に「理想の企業に近かった」と感じることがあるかもしれない。これくらいの気の持ちようでいいのではないでしょうか。
だから、1つや2つ違うなと思う点があっても、あまり立ち止まりすぎないでほしいです。
もし迷っても「その企業が好きだ」というモチベーションで、とりあえず動いていったほうがいいということですか?
「全然合わない、こんなはずじゃなかった」っていうミスマッチを減らすためには、やっぱり情報は多いほうが、もちろんいいとは思います。
でも、「マイナス面も分かった上で、とりあえず受けてみる」のも、いいのではないでしょうか?
もしそこに勤めることになっても、それを乗り越えていくことを楽しむ、そんな感じでもいいと私は思います。
先輩たちの力も借りながら、自分が前向きになれるような就活をしていってほしいなと思っています。
ありがとうございました。
撮影・編集:脇本彩香
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