日本企業にチャンス到来!東南アジアでJリーグ人気

2019年03月25日

全世界で100兆円規模ともいわれるスポーツビジネス。急成長する海外と比べ、日本は遅れているとされていましたが、今、巻き返しの動きが始まっています。ターゲットは、タイを中心とする東南アジアでのJリーグ人気、各企業が熱い視線を送っています。

チャナティップ旋風でタイのJリーグ人気が急上昇

タイの親善試合でファンのお目当ては、コンサドーレのチャナティップ選手です。

「タイのメッシ」と呼ばれ、昨シーズンは東南アジア出身の選手では初めてJリーグのベストイレブンに選ばれました。この日も見事にゴールを決めて、ファンの期待に応えました。Jリーグは、東南アジアで、現地のプロチームと交流を図り、選手の獲得も進めてきましたが、チャナティップ選手の活躍は、大きな追い風です。

Jリーグが現地で行った調査でも「Jリーグに関心がある」というタイ人の割合は6年前の19%から、去年末には47%まで上昇しました。タイ語版のJリーグ公式フェイスブックは30万人以上のフォロワーを獲得し、いまや日本のサポーター向けの日本語版を上回る人気です。

チャナティップ人気 日本企業の売り上げにも貢献

タイでのJリーグ人気の高まりには、現地に進出している日本企業も大注目。スポーツ用品メーカーのミズノは、チャナティップ選手とおととしからスパイクの提供で契約を締結。欧米のナイキやアディダスには知名度で引き離されていますが、チャナティップ選手の活躍で知名度は大きく向上し、去年1年間のタイでのスパイクの売り上げは70%も増えました。

一方、3年前に初の海外拠点をタイに設けたアイス菓子メーカーの赤城乳業は、現地での知名度は、ほぼゼロからのスタート。そこで、チャナティップ選手とスポンサー契約を結び、等身大の写真パネルを使ったキャンペーンを各地で展開しました。

すると若い世代の間で、そのパネルと一緒に自撮りした写真が、SNS上で共有されるようになりました。売り上げも伸び、メーカーはタイの人口と同じ年間6900万本の販売目標をめざして、チャナティップ選手を前面に出したキャンペーンを続けることにしています。

マレーシア サッカーでムスリムの心をつかめ

サッカーはタイに限らず、東南アジアで屈指の人気スポーツです。その影響力を見込んで、現地の若手ホープをJリーグに送り込むところから手がける日本企業まで現れました。


ファイヤッド選手(左から2人目)と濱田社長(右端)

飲料メーカーの現地法人、マレーシアヤクルトの濱田浩志社長は、23歳以下のマレーシア代表、ハディ・ファイヤッド選手に着目。ハディ選手がJリーグでのプレーを熱望していたこともあり、濱田さんは日本行きに同行し、Jリーグのチームの練習に参加できるよう仲介役を務めました。その結果、今シーズンから、J2のファジアーノ岡山でプレーできることになったのです。

濱田さんがサッカーの力を実感したのは、マレーシアのプロチームのスポンサーになったことがきっかけです。

人口の多数を占めるマレー系のムスリム=イスラム教徒のマーケットへの浸透を目指し、会社は、戒律に従った食べ物であることを示す「ハラル」の認証をとっていますが、外国企業ということもあり、なかなか信頼を得られずにいました。

そこで、マレー系の住民がほとんどを占める地域のプロチームのスポンサーとなると、ねらいは的中し、その地域の売り上げが5倍以上、増えたのです。

今回ハディ選手とは、まず、インスタグラムを通じた宣伝の契約を結びました。ハディ選手には、若者を中心に6万人を超えるフォロワーがいます。練習や試合など日本での生活の様子を投稿してもらい、そこに濱田さんの会社のハッシュタグをつけてもらっています。


工場見学の参加者と記念撮影

ハディ選手がマレーシアにいる時は、工場見学などのPR活動にも参加してもらいます。濱田社長は「ハディ選手の日本での活躍が、われわれのブランドの認知度アップや価値向上につながる。マレーシアのチャナティップと呼ばれるような選手に成長してほしい」と、Jリーグでの活躍に期待は膨らむばかりです。

サッカーが生み出す巨額マネー

しかし、東南アジアでJリーグ人気が高まり始めたとはいえ、世界に目を転じると、人気プレーヤーが集まるイギリスのプレミアリーグなどとは、知名度、資金力とも、まだ大きな差があります。

例えば、プレミアリーグの放送権収入は、イギリス国内を除いた海外だけで、日本円で、年間1500億円以上とも言われ、その収入には東南アジアの国々も貢献しています。これに対しJリーグの海外向けの放送権収入は、関係者によると、年間数億円です。

国内向けこそ、3年前にイギリスの動画配信大手と10年間でおよそ2100億円という巨額の放送権契約を結びましたが、Jリーグとしては契約更新を迎える、来年以降の海外向け放送権料をなんとか引き上げたい、と考えています。

Jリーグ 人気定着に向け次の一手は?

そのためにも、東南アジアでの人気を、どうやって定着させられるかが鍵となります。

Jリーグの木村正明専務理事は「Jリーグでプレーしたいと言ってくれる有力選手が、たくさんいることはありがたいこと。ただ、『Jリーグとイギリスのプレミアリーグ、どちらから誘われたらうれしいですか?』と言われたら、プレミアリーグなのは間違いない。Jリーグの価値をもっと上げて、欧州の5大リーグに肩を並べるところまで持っていかないといけない」と話します。

Jリーグの人気がさらに高まり、日本企業もその人気に乗ってビジネスを拡大する。こうした好循環をどう生み出していけるのか、Jリーグの次の一手に注目です。

最近のニュース一覧

体育会系 って「就活に有利」って言われているけど本当ですか?

2021年03月29日

採用で重視される学生の「質」ってなに?

2021年03月24日

公務員が人気?志望者増加のワケ

2021年03月23日

アナウンサーのテクを就活に使っちゃおう!和久田麻由子アナ編

2021年03月22日

【動画】混乱したときに立て直すテクをNHKアナに聞いてみた

2021年03月19日 動画あり

【動画】コネ、早期・・・ 採用には本選考とは違う“別枠”があるのですか?

2021年03月19日 動画あり

大学生の就職内定率 5年ぶりに90%下回る

2021年03月19日

就活に実名のSNSアカウントって必要ですか?

2021年03月17日

【動画】高瀬耕造アナ編 NHKアナに聞いた本番直前のルーティーン

2021年03月16日 動画あり

【動画】新型コロナの影響、どこまで?就職氷河期になってしまうのですか?

2021年03月11日 動画あり

【動画】林田理沙アナ編 NHKアナに聞いた本番直前のルーティーン

2021年03月11日 動画あり

ギモンその⑾「新卒カード、大事ですか?」

2021年03月10日

【動画】小田切アナ編 NHKアナに聞いた本番直前のルーティーン

2021年03月10日 動画あり

【動画】就活 セコム編 私の「ES」どこがささったの?

2021年03月10日 動画あり

すでに5人に1人が内定という結果も 就活早期化進む

2021年03月09日

ギモンその⑽ 「コネや早期選考…正直別枠があるの?」

2021年03月08日

首都圏の大手私鉄各社 2022年度の新卒採用減らす動き広がる

2021年03月08日

HIS 2022年度の新卒採用見送り 旅行大手 採用取りやめ相次ぐ

2021年03月07日

ギモンその⑼「OGOB訪問の数は多ければ多いほど良い?」

2021年03月05日

【動画】和久田麻由子アナ編 NHKアナに聞いた本番直前のルーティーン

2021年03月05日 動画あり

【動画】就活生の緊張ほぐせる!?NHKアナの本番直前ルーティーン

2021年03月05日 動画あり

私の「ES」どこがささったの?カルビー編

2021年03月04日 動画あり

企業に合わせずに書いたESとは 私の「ES」どこがささったの? 日比谷花壇編

2021年03月04日 動画あり

コロナでどう変わった 大学生たちのライフスタイル

2021年03月03日