【詳報】センバツ高校野球 健大高崎が初優勝 群馬県勢 春は初

センバツ高校野球は31日、決勝が行われ、群馬の高崎健康福祉大高崎高校が兵庫の報徳学園に3対2で勝って初優勝しました。群馬県勢の甲子園での優勝は、春は初めてです。

記事後半では決勝の試合経過を詳しくお伝えしています。

一方、反発力を抑えた新たな基準の金属バットが導入された今大会はホームランが3本にとどまり、金属バットが導入されて初めての大会となった1975年以降では、最も少なくなりました。

健大高崎が逆転勝ちで初優勝 報徳学園は2年連続 準V

試合は報徳学園が1回に2アウト一塁二塁で5番の安井康起選手が一塁線を破るタイムリーツーベースヒットを打って、さらに相手の送球ミスも重なり2点を先制しました。

同点打の健大高崎 森山竜之輔選手

追う健大高崎は、そのウラ2アウト一塁二塁で5番の森山竜之輔選手がレフトの頭上を超える2点タイムリーツーベースヒットを打って同点に追いつきました。

健大高崎 高山裕次郎選手が勝ち越し打

さらに3回には1アウト三塁のチャンスで3番・高山裕次郎選手のタイムリーヒットで勝ち越しに成功しました。

投げては前日の準決勝に続いて先発した2年生の石垣元気投手がヒットを打たれながらも威力のあるストレートにスライダーやチェンジアップを織り交ぜて要所をしめ、2回以降、無失点に抑えました。

9回は同じ2年生で、背番号1を背負う佐藤龍月投手がリリーフして得点を与えず、健大高崎が3対2で勝って初優勝しました。

群馬県勢のセンバツでの優勝は初めてで、夏の甲子園では桐生第一高校と前橋育英高校が優勝を果たしています。

2年連続で決勝に進んだ報徳学園は持ち味の堅い守備からリズムを作り、相手を上回る7本のヒットで再三、チャンスを作りましたが、あと1本が出ず去年に続く準優勝でした。

《健大高崎 監督・選手談話》

青柳博文監督「いろんな方々の支援 感謝しかない」

初優勝した健大高崎の青柳博文監督は「仲間やコーチなどいろんな方々の支援があって優勝できた。本当に感謝しかない」と振り返りました。
群馬県勢としても初めての優勝となったことについては「高崎から甲子園というスローガンでやってきたので本当にうれしい」と話していました。
そして、先発の石垣元気投手と9回のマウンドに立った佐藤龍月投手の2人の2年生ピッチャーについて「石垣投手はキャッチャーでキャプテンの箱山遥人選手のリードのもと丁寧に投げてくれた。佐藤投手は状態はよくなかったが『気迫で投げてくれ』と送り込み、それに応えてくれて本当によかった。この先もけがなく順調にいってほしい」と話しました。
その上で「箱山選手がチーム全体として一体感を持つということでやってきてチームワークが深まった。本当に力強いし、楽しみなチームだ。文句を言わずに頑張ってくれて本当にありがとうということばしかない」と選手たちをたたえました。

箱山遥人 主将「ついてきてくれた仲間に感謝」

健大高崎のキャプテンで4番・キャッチャーとして臨んだ箱山遥人選手は「大会が始まる前から、これで日本一を取れなかったら仕方ないと言えるくらい、技術的な準備や精神的な準備をしてきたので、有言実行できて、すごくうれしいです。新チームが始まってから、うまくいかないことばかりで、キャプテンを辞めたくなったり、野球が嫌になったりする時期もありましたが、自分が言ったことについてきてくれた仲間に感謝したい」と喜びを語りました。
また、いずれも2年生で先発の石垣元気投手と2人目として登板した佐藤龍月投手について「2人なくしては、この日本一はないですし、この大会で精神的にも技術的にも成長してくれたと思うので、また、夏の甲子園優勝に向けて、共にレベルアップしていきたいです」と話していました。
そのうえで「100周年という記念の大会で、いろんな方々のおかげで優勝できた。感謝を伝えたいです」と締めくくりました。

石垣元気 投手「少しは成長した部分を見せられよかった」

決勝で先発し、8回2失点と好投した健大高崎の石垣元気投手は「準決勝で納得のいかないピッチングをしたので、気持ちを入れて投げ切ることを意識しました。この決勝で少しは成長した部分を見せられたのでよかったです」と笑顔を見せながら話しました。
そして「きょう優勝したことは1回忘れて、夏に向けて、また甲子園で優勝できるように頑張っていきたいです」と意気込んでいました。

高山裕次郎選手「夏の日本一を目指して」

3回に勝ち越しとなるタイムリーヒットを打った3番の高山裕次郎選手は「全員が前のめりになるくらいまずは気持ちで圧倒しようと思っていました。3回は自分が絶対に点につながるヒットを打とうと、その気持ちだけで打席に立ちました。ねらい通りにインコースの速球がきたので、練習で準備してきたバッティングをすることができました」と満足げに打席を振り返りました。
その上で「大会を通して自分たちのスタイルである“打ち勝つ”ことは、できたのですが、守備では課題が見えました。もちろんセンバツの優勝は大きな目標でしたが、やはり僕たちは夏の日本一を目指して練習してきています。だから気持ちも技術も、さらに突き詰めて練習を重ねていきたいです」と夏の大会に気持ちを切り替えていました。

森山竜之輔選手「歴史を塗り替えられよかった」

先制を許した直後の1回に2点タイムリーツーベースヒットを打った5番の森山竜之輔選手は「1番の斎藤銀乃助選手が山梨学院と対戦したときにバットを短く持って打席に入っていて、自分も甲子園では大振りになることもあるのでまねをしました。相手投手がインコースを速球でねらってくると思っていたので、バッターボックスでは、ラインからくつ半分のスペースを空けて構えていました。こうした取り組みが重なって打つことができました」と工夫を凝らした打席を振り返りました。
その上で「大会を通して、ずっと打てていなくて、それでも監督は辛抱強く自分を5番に置いてくれました。自分が打たないと勝てない時が来ると思って準備していましたが、きょう打つことができて本当によかったです。優勝して歴史を塗り替えることができてよかったです」と胸をなで下ろしていました。

【メモ】健大高崎 “野球部 創部は2002年”

高崎健康福祉大高崎高校の野球部は2002年に創部しました。創部当初からチームを率いる青柳博文監督のもと、2011年の夏に甲子園初出場を果たすと、翌年のセンバツではベスト4に進みました。

積極的に次の塁をねらうなど機動力で相手を圧倒する「機動破壊」をチームの代名詞に甲子園には夏3回、春は7回出場し、近年は群馬の高校野球をけん引してきました。

今大会は、1回戦、2回戦を無失点で勝ち上がると、準々決勝で、去年のセンバツ優勝校の山梨学院に勝利、準決勝では去年秋の明治神宮大会を制した石川の星稜に5対4で逆転勝ちして初めての決勝に進んでいました。

【今大会成績】
▽1回戦 4-0 学法石川(福島)
▽2回戦 4-0 明豊(大分)
▽準々決勝 6-1 山梨学院(山梨)
▽準決勝 5-4 星稜(石川)
▽決勝 3-2 報徳学園(兵庫)

【今大会トーナメント表】

《センバツ高校野球 最近10年の決勝成績》

▽2015年:敦賀気比(福井)3-1東海大四(北海道)
▽2016年:智弁学園(奈良)2-1高松商(香川)
▽2017年:大阪桐蔭(大阪)8-3履正社(大阪)
▽2018年:大阪桐蔭(大阪)5-2智弁和歌山(和歌山)
▽2019年:東邦(愛知)6-0習志野(千葉)
◆2020年:新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止

▽2021年:東海大相模(神奈川)3-2明豊(大分)
▽2022年:大阪桐蔭(大阪)18-1近江(滋賀)
▽2023年:山梨学院(山梨)7-3報徳学園(兵庫)
▽2024年:健大高崎(群馬)3-2報徳学園(兵庫)

【注目】“HRは3本のみ”金属バット導入後 最少に

反発力を抑えた新たな基準の金属バットが導入されたことしのセンバツ高校野球はホームランが3本にとどまり、金属バットが導入されて初めての大会となった1975年以降では、最も少なくなりました。

高校野球では、ピッチャーをけがから守ることを主な目的にことしから反発力を抑えた新たな基準のバットが導入されました。日本高校野球連盟の試験では、打球の初速と平均速度が3%以上遅くなるほか、打球の飛距離が5、6メートル落ちると見込まれていることから最初の大会となるセンバツで選手たちの対応に注目が集まっていました。

今大会のホームランのうち、外野のフェンスを越えたのは、いずれも左バッターで
▽豊川(愛知)のモイセエフ ニキータ選手
▽神村学園(鹿児島)の正林輝大選手が1回戦でライトのポール際に打った2本で、大阪桐蔭の境亮陽選手が2回戦で打ったランニングホームランと合わせても3本でした。

金属バットが使用できるようになって初めてのセンバツとなった1975年(昭和50年)の大会以降で、ホームランが最も少なかったのは1996年(平成5年)の5本で、金属バットの導入以降では、最少となりました。

センバツでは甲子園球場で開かれた第2回以降、すべての大会で1桁だったホームランは、金属バットの導入で急増し、1984年(昭和59年)のセンバツでは、大阪のPL学園の桑田真澄さんと清原和博さんが活躍し、大会記録となる30本のホームランが飛び出しました。

おととしは大阪桐蔭が11本のホームランを打って1チームのホームラン数の大会記録を更新するなど、近年もホームランが多い傾向が続いていましたが、“飛ばない”バットの導入で潮目が変わった形となりました。

《報徳学園 監督・選手談話》

大角健二監督「今は悔しさが100%」

2年連続でセンバツ準優勝の結果について報徳学園の大角健二監督は「去年の準優勝は、これからの自信につながるものととらえましたが、ことしは特に日本一にこだわっていたので今は悔しさが100%です。でも、プラスに考えるとチームに求められる基準が上がったということだと思います。」と話しました。
また、決勝について「試合が進むごとに相手ピッチャーの変化球の精度が上がって、そこからうちのバッターは対応できずに終わってしまいました」と振り返り、今大会から導入された新基準のバットについて聞かれると「球が飛びにくくなった気はしますが、それに順応していくしかないと思います。バッティングを変えるのではなく、基本に返って長打が出る当たりを意識した練習をしたいです」と夏に向けて意気込んでいました。

今朝丸裕喜 投手「いい経験も負けたので悔しい」

去年はリリーフとして上がった決勝のマウンドに、ことしは先発として上がった報徳学園の今朝丸裕喜投手は「いい経験ができましたが、自分が投げて1点差で負けたので悔しいです」と話しました。
同学年の間木歩投手とともに、これまでの試合を戦い抜いてきたことについて「色々ピンチがありましたが、2人で支えながら乗り切ってこれたのは良かったです」と振り返りました。
そのうえで「今は間木がエースナンバーの1番ですが、課題を修正して自分も1番を付けたいです」と今後に向けて意気込んでいました。

間木歩 主将「練習重ね弱点を少なくして夏に戻ってくる」

2年連続で準優勝の結果について報徳学園のキャプテンの間木歩投手は「去年も投手としてセンバツの決勝は経験しましたが、ことしはキャプテンとして、チームを優勝に導く責任があり、違う緊張感を持っていました。本当に悔しいです」と振り返りました。
1点を追う9回にはキャプテンとして「負けてない、いけるぞ」とチームを鼓舞し続けたと話し、それでもあと一歩のところで届かなかったことについて「全員が悔しい思いをしています。練習を重ねて弱点を少なくして、夏に戻ってきます」と前を向いていました。

【解説】報徳学園 “光った堅守で準優勝”

2年連続で準優勝となった報徳学園。決勝で1点及ばず敗れたものの甲子園での5試合を通してエラーはわずかに2つと守備の堅さが光りました。

中でも、二遊間を守る山岡純平選手と橋本友樹選手の2年生コンビは、これまでの試合に続き決勝でもすばらしい守備を見せました。山岡選手は2回、一・二塁間の鋭い打球に飛びついてもぎ取り、すぐに立ち上がってファーストにボールを送りアウトに。また橋本選手は5回、1アウト二塁のピンチで三遊間の打球をダイビングキャッチし「あそこから投げられないとショートは務まらない」と強い送球でアウトにして失点を防ぐなど、再三の好守備を見せました。

自主練習で一緒に練習することが多く、互いをよきライバルと話す2人がそろって口にするのが『ふだんの練習の大切さ』です。

山岡選手が「試合を想定した練習ができているから一球への重みや球際の強さが鍛えられている」と言えば、橋本選手は「ふだん監督が打ってくれるノックからチームで緊張感を作っていることが試合でのいいプレーにつながっている」と胸を張りました。

今大会から反発力を抑えた新たな基準のバットが導入されたなかで報徳学園の長打はチームで3本のみ。山岡選手は「もともと長打を打てる選手が少なく、守備のチームと言われてきたこそ、低反発バットになったことで『僕たちの時代が来た』と前向きに捉えました。鍛えてきた球際の強さが甲子園でも出せました」と堅い守りから攻撃につなげる野球に自信をつけた様子でした。

一方で、結果は2年連続の準優勝、22年ぶりの栄冠には、あと一歩届きませんでした。9回の一打同点のチャンスに三振に倒れ、最後の打者となった橋本選手は「勝負強さが足りませんでした。次は夏に向けて切り替えて、必ず帰ってきて優勝します」と力強いまなざしで決意を口にしました。

堅い守りに加え、攻撃での勝負強さを身につけて夏こそ、全国の頂点を目指します。

==【詳しく】試合経過==

《両監督 試合前談話》

◇健大高崎 青柳監督「4、5点勝負に持ち込めれば」

群馬県勢としてセンバツ初優勝を目指す高崎健康福祉大高崎の選手たちは午前10時半ごろ甲子園球場に入りました。青柳博文監督を先頭にキャプテンの箱山遥人選手などが続き、多くの高校野球ファンから「頑張れ」などと声をかけられ、時折、笑顔を見せていました。

試合前に取材に応じた青柳監督は、ここまで21イニング連続無失点の佐藤龍月投手を指のまめの影響を考慮して、リリーフに回し、前日の準決勝で116球を投げた石垣元気投手を決勝も先発ピッチャーとして起用することを明らかにしました。
試合展開については「1対0などロースコアになると勝ち目がないと思うので、4、5点勝負に持ち込めればと思います。石垣投手に試合をつくってほしいです」と話していました。
そして「初めての舞台で想像もつかないが、今までやってきたことを出したいです。2002年の創部から日本一を目指してやってきたので、OBの思いも込めて戦いたいです」と意気込みを話していました。

◆報徳学園 大角監督「去年のリベンジを果たせるように」

22年ぶり3回目の優勝を目指す兵庫の報徳学園の選手たちは午前10時半ごろ甲子園球場に入りました。大角健二監督を先頭に、キャプテンの間木歩投手など選手たちが堂々とした顔つきで球場入りし、ファンから「頑張ってください」というエールをもらうとリラックスした表情を見せていました。

試合前に取材に応じた大角監督は今朝丸裕喜投手を先発ピッチャーとして起用することを明らかにしたうえで「今朝丸は勝てるピッチャーになってくれて、今まではキャプテンの間木投手にも頼っていたが、いまは2人とも信頼できるピッチャーなので去年の経験を生かして強気に攻めていってほしい」と話していました。
そして「去年、決勝で敗れた悔しさが選手たちには残っていて『リベンジする』ということばがすごく出ている。これまでどおり、粘り強い試合をやってくれそうで頼もしく思っている。去年のリベンジを果たせるように大観衆の後押しをもらって感謝の気持ちを持って全力でプレーしたい」と意気込みを話していました。

《両チーム 先発メンバー》

※選手名の横にある成績は今大会通算

◆先攻:報徳学園(兵庫)

▽1(遊)橋本友樹:打率.429 2盗塁
▽2(中)福留希空:打率.000 2盗塁
▽3(三)西村大和:打率.267 
▽4(一)齋藤佑征:打率.563 1盗塁
▽5(右)安井康起:打率.267
▽6(二)山岡純平:打率.429 1盗塁
▽7(捕)徳田拓朗:打率.077 2盗塁
▽8(左)辻本侑弥:打率.133
▽9(投)今朝丸裕喜:打率.200

【今大会 投手成績】
▽1:間木(右)3試合 19.2回 失点4
▽10:今朝丸(右) 3試合 16.1回 失点2
▽16:伊藤(左)1試合 1回 失点0

◇後攻:健大高崎(群馬)

▽1(右)斎藤銀乃助:打率.267
▽2(遊)田中陽翔 :打率.412
▽3(二)高山裕次郎:打率.333
▽4(捕)箱山遥人 :打率.467
▽5(一)森山竜之輔:打率.071
▽6(三)加藤大成 :打率.333
▽7(左)横道周悟 :打率.200
▽8(中)佐々木貫汰:打率.250 1盗塁
▽9(投)石垣元気 :打率.200

【今大会 投手成績】
▽1:佐藤(左)4試合 21回 失点0
▽10:石垣(右)4試合 15回 失点5

12:30

【試合開始】

午後0時半すぎ、センバツ高校野球、決勝の群馬の健大高崎 対 兵庫の報徳学園の試合が始まりました。先攻は報徳学園、後攻は健大高崎です。報徳学園は、準優勝した去年に続く決勝で、22年ぶり3回目の優勝を、健大高崎は、群馬県勢として初めての優勝を目指します。

【1回表】報徳学園が2点先制 安井選手のツーベースなど

報徳学園は5番・安井選手のタイムリーツーベースなどで2点を先制しました。

▽1.橋本 センターフライ
▽2.福留 センター前ヒット
▽3.西村 フォアボール(1アウト一塁二塁)
▽4.齋藤 センターフライ(2アウト一塁二塁)
▽5.安井 ライトへタイムリーツーベース→ライトからの送球が乱れ2得点
(健大高崎0-2報徳学園)
▽6.山岡 サードゴロ

【1回ウラ】健大高崎 すぐに同点 森山選手のツーベース

2点を追う健大高崎は5番・森山選手のタイムリーツーベースで同点に追いつきました。

▽1.斎藤 ファーストゴロ
▽2.田中 フォアボール
▽3.高山 セカンドゴロ(2アウト一塁)
▽4.箱山 レフト前ヒット(2アウト一塁二塁)
▽5.森山 レフトオーバーの2点タイムリーツーベース
(健大高崎2-2報徳学園)
▽6.加藤 サードゴロ

◇健大高崎 アルプス 野球部前身の主将の姿も

健大高崎のアルプススタンドには、生徒や保護者などおよそ800人が群馬県勢のセンバツ初優勝を見届けようと駆けつけました。健大高崎の選手が打席に入ると、太鼓や楽器を奏でて、選手たちの攻撃を鼓舞し、得点が入ったときには、メガホンを打ち鳴らして歓喜の声を上げて喜んでいました。

観客の中には、健大高崎の野球部の前身で、2001年に発足した当時の同好会のキャプテン、倉持雄太さんも来ていました。倉持さんが入学した年は女子校から共学になった1年目で当時野球部はありませんでした。「とにかく野球がしたい」と、同級生20人を集めて同好会を発足させると、草むしりや石拾いなど、野球ができる環境作りから始めたといいます。
倉持さんは「僕たちはとにかく楽しいから野球をしていました。だから甲子園出場なんて考えてもいませんでした。それが、なんと20年余りがたって夢のまた夢だと思っていた決勝にまで勝ち進んでいます。泥臭く自分たちの野球を貫いてほしいです。そのためにも全力で後輩たちを応援します」と感慨深げに話していました。

【2回表】報徳学園 二塁に進めるも無得点

健大高崎 石垣元気 投手

報徳学園は、チャンスを作りましたが、無得点でした。

▽7.徳田 ライト前ヒット
▽8.辻本 送りバント(1アウト二塁)
▽9.今朝丸 空振り三振
▽1.橋本 センターフライ

◆報徳学園 アルプス 去年の準優勝メンバーも

2年連続の決勝進出で22年ぶり3回目の優勝を目指す報徳学園のアルプススタンドには、在校生をはじめ保護者やOBなど、およそ2800人が駆けつけました。決勝が始まるおよそ1時間前からアルプス席は人で埋め尽くされ、応援団も熱気に満ちていました。

準優勝だった去年のセンバツにレフトで出場したOBの山増達也さんは「ことしは優勝してほしいです。これまでの試合も守備から攻撃に流れを作る報徳らしい野球ができていたと思います。なかなか経験できない舞台なので、楽しんでほしいです」と先輩からエールを送りました。
また、ピッチャーの今朝丸裕喜選手とキャッチャーの徳田拓朗選手と同じクラスでサッカー部のキャプテン、三谷颯麻さんは「同じ運動部として、決勝の舞台で戦っている仲間を見ると刺激になりますし、自分たちも頑張ろうと思います。優勝してほしいです」と話していました。

【2回ウラ】健大高崎は三者凡退

報徳学園 今朝丸裕喜 投手

▽7.横道 空振り三振
▽8.佐々木 サードゴロ
▽9.石垣 セカンドゴロ

【3回表】報徳学園 ランナー出すも無得点

報徳学園は、ランナーを出しましたが、無得点でした。

▽2.福留 セカンドフライ
▽3.西村 センター前ヒット
▽4.齋藤 セカンドライナー→一塁ランナーが飛び出していてダブルプレー

【3回ウラ】健大高崎が勝ち越し 高山選手の適時打

健大高崎は3番・高山選手のタイムリーヒットで1点を勝ち越しました。

▽1.斎藤 ライトへのスリーベースヒット(ノーアウト三塁)
▽2.田中 ファーストゴロ(1アウト三塁)
▽3.高山 ライトへのタイムリーヒット
(健大高崎3-2報徳学園)
▽4.箱山 ショートゴロ ダブルプレーに。

【4回表】報徳学園 この試合初の三者凡退

▽5.安井 ショートフライ
▽6.山岡 見逃し三振
▽7.徳田 センターフライ

【4回ウラ】健大高崎は三者凡退

▽5.森山 ショートゴロ
▽6.加藤 センターフライ
▽7.横道 ショートゴロ

【5回表】報徳学園 満塁の好機を生かせず

ピンチ切り抜けた 健大高崎 石垣元気投手

報徳学園は、満塁のチャンスをつくりましたが、無得点でした。

▽8.辻本 空振り三振
▽9.今朝丸 ライト前ヒット
▽1.橋本 セカンドフライ
▽2.福留 フォアボール(2アウト一塁二塁)
▽3.西村 セカンドからの送球をファーストが捕球できずエラー(2アウト満塁)
▼健大高崎:守備のタイム
▽4.齋藤 ショートゴロ

【5回ウラ】健大高崎 三塁まで進めるも無得点

健大高崎はランナーを三塁まで進めましたが無得点でした。

▽8.佐々木 セーフティーバントで出塁
▽9.石垣 送りバント(1アウト二塁)
▽1.斎藤 ショートゴロ(2アウト三塁)
▽2.田中 ライトフライ

★決勝の観衆は3万4200人と発表

【6回表】報徳学園 チャンスも無得点

報徳学園 三塁ランナーが本塁でアウト

報徳学園は、チャンスを作りましたが、無得点でした。

▽5.安井 センターオーバーのツーベース(ノーアウト二塁)
▽6.山岡 バントが内野安打(ノーアウト一塁三塁)
▽7.徳田 暴投で一塁ランナーが二塁へ(ノーアウト二塁三塁)
▼健大高崎:守備のタイム
 空振り三振
▽8.辻本
▼報徳学園:攻撃のタイム
サードゴロで三塁ランナーがホームでアウト(2アウト一塁三塁)
▽9.今朝丸(盗塁で一塁ランナーが二塁へ→2アウト二塁三塁)見逃し三振

【6回ウラ】健大高崎 3番からの好打順も三者凡退

▽3.高山 レフトフライ
▽4.箱山 見逃し三振
▽5.森山 146キロのストレートを見逃し三振

【7回表】報徳学園 1番からも三者凡退

▽1.橋本 空振り三振
▽2.福留 空振り三振
▽3.西村 セカンドゴロ

【7回ウラ】健大高崎 ランナー出すも無得点

健大高崎はランナーを出しましたが無得点でした。

▽6.加藤 レフトへのヒット
▽7.横道 ショートゴロ(1アウト一塁)
▼一塁ランナーに代走・四宮
▽8.佐々木 センターフライ
▽9.石垣 けん制で一塁ランナーアウト

【8回表】報徳学園は三者凡退

▽4.齋藤 センターフライ
▽5.安井 空振り三振
▽6.山岡 セカンドゴロ

【8回ウラ】健大高崎も三者凡退

▽9.代打 村山 ショートファウルフライ
▽1.斎藤 空振り三振
▽2.田中 ファーストゴロ

【9回表】報徳学園は得点奪えず 健大高崎が初優勝

健大高崎 佐藤龍月投手

報徳学園はチャンスを作りましたが、得点を奪えず、健大高崎が群馬県勢として初めての優勝を決めました。敗れた報徳学園は2年連続の準優勝です。

▼健大高崎 投手交代:石垣→佐藤
▽7.徳田 見逃し三振
▽8.辻本 ファーストゴロ
▽9.今朝丸→代打・貞岡 フォアボール
  代走 貞岡→西川
▽1.橋本
▼健大高崎が守備のタイム
 一塁ランナー盗塁成功(2アウト二塁)
 空振り三振(試合終了)

《決勝の見どころ》

【健大高崎(群馬)】
健大高崎はチームの代名詞でもある機動力を生かした積極的な走塁に加えて、4試合連続で打点をあげている今大会注目の強打者、箱山遥人選手を中心とした強力打線が2試合連続で3本の長打を打つなど本領を発揮してきています。

投手陣では2年生左腕の佐藤龍月投手が21イニング連続無失点と好投していますが、指のまめがつぶれた影響が懸念され、投手リレーや打線の援護が県勢初優勝へのポイントとなりそうです。

【報徳学園(兵庫)】
報徳学園はいずれも去年の準優勝を経験していてコントロールがいいキャプテンの間木歩投手と、速球に威力がある今朝丸裕喜投手を中心とした投手陣が準決勝までの4試合で6失点と安定しています。

エラーもわずか2つで、二遊間を中心とした堅い守りからリズムをつくって、ロースコアの接戦に持ち込めれば去年は果たせなかった3回目の優勝が近づきそうです。

《両チーム 今大会データ》

健大高崎が持ち味の長打力を発揮している一方で、報徳学園は小技に機動力も絡めた堅実な野球で勝ち上がってきました。互いにピッチャー陣が安定し、エラーも1試合平均1個以下と堅い守備は共通しています。

【健大高崎】
▽1回戦 4-0 学法石川
▽2回戦 4-0 明豊
▽準々決勝 6-1 山梨学院
▽準決勝 5-4 星稜

▼得点(1試合平均):4.75
▼チーム打率:.285
▼長打:6(ホームラン0)
▼犠打:9
▼盗塁:1
▼失点(1試合平均):1.25
▼失策:3

【報徳学園】
▽1回戦 3-2 愛工大名電
(延長10回タイブレークサヨナラ勝ち)
▽2回戦 6-1 常総学院
▽準々決勝 4-1 大阪桐蔭
▽準決勝 4-2 中央学院

▼得点(1試合平均):4.25
▼チーム打率:.286
▼長打:1(ホームラン0)
▼犠打:12
▼盗塁:8
▼失点(1試合平均):1.5
▼失策:2