高校野球 センバツ 健大高崎が明豊に勝ち準々決勝へ

センバツ高校野球、大会7日目の第1試合は、群馬の高崎健康福祉大高崎高校が大分の明豊高校に4対0で勝って準々決勝に進みました。

健大高崎は、1回、1アウト二塁三塁のチャンスで、4番でキャプテンの箱山遥人選手が内野ゴロを打つと三塁ランナーが素早くスタートを切って先制しました。

さらに続く5番・森山竜之輔選手の犠牲フライで1点を加えました。

その後も、機動力を生かした攻撃で追加点をあげ7回までに4点を奪いました。

投げては、2年生で背番号1を背負う佐藤龍月投手が140キロ台の速球に、落差の大きいチェンジアップなど変化球を使った緩急をつけたピッチングで7回をヒット2本、無失点に抑え、健大高崎が4対0で勝ち、準々決勝に進みました。

明豊は、9回2アウトから5番の末吉冴太朗選手が7イニングぶりにヒットを打ってその後二塁までランナーを進めましたが、最後まで打線がつながりませんでした。

《健大高崎 監督・選手談話》

青柳監督「もう1勝したい」

健大高崎の青柳博文監督は「試合の開始時間が遅れたが、選手たちも落ち着いてやってくれて試合の入りからよかった。次の塁を積極的にねらう姿勢がよかったので、タイムリーヒットなしで点を重ねられたと思う」と試合を振り返りました。
また、7回をヒット2本、無失点に抑えた佐藤龍月投手については「少し調子は悪かったですが、ベンチから『落ち着いて』と声をかけた。しっかり投げてくれてよかった」と話しました。
そして、準々決勝に向けては「守りを中心にチャンスを生かして、もう1勝したい」と話していました。

佐藤龍月投手「緩急を使ってしっかり修正できた」

健大高崎の佐藤龍月投手は、7回を投げてヒット2本、無失点に抑えたピッチングについて「キャッチボールから調子がよかったので、どんどん飛ばしていきました。途中、バランスが悪い時もありましたが、緩急を使ってしっかり修正できました」と満足そうに振り返りました。
佐藤投手は、このセンバツで14イニング連続で無失点と好投が続いていて「甲子園でも自分のピッチングができていると思います。得点を与えないことは目標の1つでもあるので、次の試合でも続けていきたいです」と力強く意気込みを話しました。

◇健大高崎“進化した新たな機動力”でベスト4めざす

健大高崎はタイムリーヒットこそありませんでしたが、ランナー三塁から内野ゴロでダブルプレーを覚悟でホームをねらう果敢な走塁で得点を重ねて勝利を呼び込みました。

健大高崎といえば「機動破壊」と呼ばれる機動力を使った積極的な走塁がチームの代名詞ですが、青柳博文監督は「警戒されているうえ、ピッチャーのけん制の精度が上がっていて、今までどおり盗塁で走れなくなってきている」と課題を感じていました。

こうした中で、この冬に磨きをかけてきたことの1つが、三塁ランナーの走塁練習で、ウォーミングアップの時に30分から1時間かけて行いました。

26日の2回戦ではまずは1回、1アウト二塁、三塁のチャンスでその成果が存分に生かされました。

バッターの打球はピッチャー前への弱いゴロとなりましたが、三塁ランナーの斎藤銀乃助選手が迷わずスタートを切って、間一髪のタイミングで先制のホームを踏みました。

この場面ではボールがバットに当たった瞬間にスタートを切るサインが出ていたということです。

この作戦は、打球がライナーであれば、ダブルプレーとなってチャンスが一瞬でついえますが、斎藤選手は「冬場に積み重ねてきたことが甲子園でできたのはうれしいです」と笑顔で振り返りました。

さらに2点をリードした6回、1アウト三塁の場面で三塁ランナーの佐々木貫汰選手にも同じサインが出ました。

バッターの打球はセカンドへの強いゴロでしたが、佐々木選手も素早くスタートを切って、ホームをおとしいれました。

「ライナーでダブルプレーはしかたないというサインなので自信を持ってスタートしました」と胸を張る好走塁で貴重な追加点を呼び込みました。

ことしの健大高崎は、去年秋の公式戦のチーム打率が出場32校でトップとなる3割9分7厘と強力打線が持ち味ですが、この試合はタイムリーヒットがなく、青柳監督も「バットが変わってなかなかヒットが打てない中でこういう形で勝負する力も大事。うちらしい野球で点がとれたと思います」と手応えを口にしていました。

初めて出場した2012年のセンバツで「機動破壊」で甲子園を沸かせてから12年。進化した新たな機動力で春夏通じて、その時以来となるベスト4をめざします。

《明豊 監督・選手談話》

川崎監督「相手の方が総合的に上だった」

明豊高校の川崎絢平監督は「雨での順延が続き初回の入りを大事にしていた中で、先制されて試合を優位に進められてしまった。打てなかっただけでなく守りの判断ミスもあり、相手の方が総合的に上だった」と試合を振り返りました。
相手の佐藤投手については「崩れそうになっても試合の中で修正できるところはさすがだなと感じた。夏に向けてああいうピッチャーを打ち崩せるように、チーム全体で攻撃面の強化を図りたい」と話していました。

石田智能選手「相手のレベルの高さを感じた」

明豊高校のキャッチャー石田智能選手は相手の走塁面について「盗塁の技術だけでなく、リードの大きさや次の塁をねらう打球判断の速さの違いを感じました。アウトにできると思ってけん制しても、余裕で間に合っていて、相手のプレッシャーを感じ配球面でも直球が多くなってしまいました」と話していました。
また、相手の佐藤投手については「速球をねらっていたが、変化球が思った以上によく的を絞りきれなかったです。ピンチになると球速も上がり、変化球のキレが増していったので、相手のレベルの高さを感じました」と話していました。