高校野球 センバツ 健大高崎が山梨学院に勝ち12年ぶりベスト4

センバツ高校野球、大会9日目、準々決勝の第2試合は、群馬の高崎健康福祉大高崎高校が山梨学院に6対1で勝って、2012年以来12年ぶりとなるベスト4進出を決めました。山梨学院は大会連覇はなりませんでした。

健大高崎は両チーム無得点で迎えた5回、1アウト一塁三塁とチャンスを作り、1番の斎藤銀乃助選手のタイムリーヒットで先制し、さらに4番の箱山遥人選手が2点タイムリースリーベースヒットを打つなど、この回4点を奪って主導権を握り、7回にも2点を追加しました。

投げては、ともに2年生の佐藤龍月投手と石垣元気投手の投手リレーで山梨学院打線を1点に抑えて、健大高崎が6対1で勝ち、2012年以来12年ぶりとなるベスト4進出を決めました。

山梨学院は、ここまで2試合に先発して1失点と安定していた2年生の津島悠翔投手が、緩急をつけたピッチングで4回までヒット2本無失点と好投しましたが、5回に崩れ、打線もチャンスを作りながらあと1本が出ない展開が続き、大会連覇はなりませんでした。

《健大高崎 監督・選手談話》

青柳博文監督「選手に日本一になる強い気持ち 頼もしい」

勝った健大高崎の青柳博文監督は、10安打6得点と打線が奮起したことについて、「今シーズンから導入された新基準のバットの影響もあるかもしれませんが、甲子園に来てからなかなか打てていませんでした。この試合では、それぞれの選手が狙い球をしぼることができてよかったです」と話しました。

ベスト4に入ったことについて「選手たちは日本一になるという強い気持ちを持っています。頼もしいです」と話しました。

準決勝で対戦する石川の星稜高校については「粘り強いチームだと思います。次は守備を中心として勝ち切りたいと思います」と意気込んでいました。

箱山遥人主将 山梨学院との対戦「絶対勝つという特別な思いで」

健大高崎のキャプテンで2点タイムリースリーベースヒットを打つ活躍をした箱山遥人選手は、「とにかくチームのために積極的に振りました」と打席を振り返りました。

過去に公式戦で負けたことがある山梨学院と対戦したことについて、「絶対勝つという特別な思いを持って臨みました」と話しました。

準決勝については「キャッチャーとして、下級生の投手が投球のリズムをうまく作れるようにリードし、キャプテンとしてもチーム全体を引っ張っていきたいです」と意気込んでいました。

佐藤龍月投手「甲子園の雰囲気にも慣れた 次も勝ちきりたい」

先発した健大高崎の佐藤龍月投手は「キャッチャーと話して、打たせて取るピッチングを意識しました」と試合を振り返り、バッテリーを組む上級生の箱山遥人選手が2点タイムリースリーベースヒットを打ったことについて「キャッチャーとしても打者としても本当にすごいです。尊敬しています」と話しました。

準決勝に向けては「ピッチングのできは試合を重ねるごとによくなってきていて、甲子園の雰囲気にも慣れてきました。次も勝ちきりたいです」と意気込んでいました。

集中力を発揮できる秘けつは“座禅”

ピンチにも動じず、3試合を通じて失点はわずかに「1」と堅い守りに加え、チャンスではここぞとばかりにたたみかける見事な集中力を発揮して、2012年以来12年ぶりにベスト4進出を決めた、群馬の高崎健康福祉大高崎高校。

練習で培った実力を大舞台でいかんなく発揮できる秘けつは、試合直前に組む“座禅”にあります。

選手全員が参加し、3分間、ただ一点を見つめ、無心になる時間を作っているといいます。

取り入れたきっかけは大会直前のことし3月上旬、愛知遠征での練習試合でした。相手の高校を指導している僧侶の立ち会いのもと、部員全員で座禅を体験する機会があり、集中力が研ぎ澄まされる効果をチームで実感したといいます。

そのあと実践するようになり、今大会も、大阪入りしてからは練習前の早朝の散歩で宿泊先の近くの大阪城を訪れて座禅を組み、試合の日はゲームの直前に座禅を組んできました。

その効果もあって、雨による順延で日程が予定どおりに進まないなかでも、選手たちは1投1打に集中することができたといいます。

去年のセンバツにも出場したキャプテンの箱山遥人選手は「去年のセンバツは慌ただしく、自分たちらしいプレーをすることができずに、初戦で負けてしまった。ことしは座禅が組み込まれたことで、甲子園という特別な舞台でも落ち着いてふだんどおりに過ごすことができている」とその効果を実感しています。

28日の準々決勝でも、試合直前に甲子園球場の室内練習場で座禅を組んだという選手たち。

試合では先発の佐藤龍月投手が、5回までヒット1本無失点と好投して流れを呼び込み、打線がそのウラ、3本のタイムリーを集めるなど、見事な集中力で一気に試合の主導権を握りました。

「座禅をすると“勝つぞ”という思いに精神を集中させることができ、平常心でマウンドに上がることができた」と佐藤投手。

指導する青柳博文監督も「甲子園ではどうしても気持ちが高ぶるなか、選手を落ち着かせる効果がある。頭がクリアになることで自分自身も落ち着いて指揮をとることができている」と、ことしの健大高崎のチームの強さを支えるひとつの鍵としてあげています。

春夏通じて初の決勝進出がかかる準決勝へ。座禅で集中力を研ぎ澄まし、心をひとつにして戦いに臨みます。

《山梨学院 監督・選手談話》

吉田洸二監督「みんなで優勝旗を返し 2回勝ち 選手に感謝」

敗れた山梨学院の吉田洸二監督は、試合を振り返り「選手たちは頑張っていたが、とにかく相手投手のボールのキレや変化がすごくて、捉えることができなかった。チャンスを作る場面もあったが得点につなげることができず、その点、相手は甘くなったところを見逃さない実力があり、1枚も2枚も上手だった」と相手チームをたたえました。

前回の優勝校として臨んだ今大会について、「みんなで優勝旗を返しにくることができ、それだけでもありがたかった。さらに2回も甲子園で勝ち校歌を歌うことができたので、選手たちに感謝したい」と述べました。

夏の大会に向けては「今のチームは守備は合格点だが、打撃面ではボール球を振るなど課題が見えたので、選球眼を磨き、打撃を強化して、夏に帰ってきたい」と話していました。

中原義虎主将「ベスト8まで来て力のなさを感じた」

山梨学院のキャプテンの中原義虎選手は「ピッチャーのコントロールが乱れ、複数得点を許しましたが、チームの雰囲気としては、いつでも追いつくことができると、いい雰囲気を保っていました。そんな中で自分が代打で入った打席で打つことができず、後ろに回せなかったのが非常に悔やまれます」と振り返りました。

前回優勝校として臨んだ今回の大会について、「センバツの開会式で全員で優勝旗を返すことを目標にしていました。優勝旗を返すことができて、初戦と2回戦も自分たちなりにいい野球ができていましたが、ベスト8まで来て力のなさを感じました」と冷静に受け止めていました。

そして「ここまで応援をしてくださった方々がいて、甲子園でプレーをできていることを感じたので、チームで改めて目標を定め直して、夏にまた戻って来られるように、1戦1戦を大切にして成長していきたいです」と前を向いていました。

エースに代わり登板の2年生 津島悠翔投手 夏に向け成長誓う

大会連覇を目指した山梨学院は、コンディションが万全ではないエースに代わって、1回戦2回戦と先発を任され好投を続けてきた2年生の津島悠翔投手が準々決勝も先発しました。

津島投手は緩いカーブやスライダーなどをうまく操りながら、健大高崎打線を4回までヒット2本無失点に抑えましたが、5回につかまって4点を失い、この回途中でマウンドを降りました。

津島投手は「序盤はストライク先行で投げることができていました。変化球も決まっていてよかったのですが、途中からボール球が先行して相手打線につかまり、先発としての役割を果たすことができませんでした」と落胆した様子で振り返りました。

28日の試合では3回途中に爪が割れていたということですが、「血は出ていましたが、そこまで気にはなっていませんでした。まっすぐが通用せず、自分の力不足です」と言い訳を口にはしませんでした。

大会直前のメンバー変更で背番号11を勝ち取った津島選手。

「ずっと憧れていた舞台で投げることができてよかったですが、自分の力はまだまだだと痛感しました。ボールに勢いをしっかりと乗せられるようにすることと、変化球にもっとキレを出せるようにして、甲子園に戻ってきたいです」と夏に向けて成長を誓っていました。