高校野球 センバツ 報徳学園が大阪桐蔭に勝ち2年連続のベスト4

センバツ高校野球大会9日目、準々決勝の第4試合は兵庫の報徳学園が大阪桐蔭高校に4対1で勝ち、準優勝した去年に続いて2年連続でベスト4に進みました。

報徳学園は1回、大阪桐蔭のエース、平嶋桂知投手から2つのフォアボールを選ぶなどノーアウト満塁のチャンスをつくり、4番・齋藤佑征選手のレフトへのタイムリーヒットで1点を先制し、さらに内野ゴロの間に1点を追加しました。

先発した背番号「10」の今朝丸裕喜投手は140キロ中盤のストレートと鋭く落ちるフォークボールを軸に7回まで強力打線の大阪桐蔭に得点を許さない好投を見せ、8回に1点を失い2対1と1点差に迫られましたが、打線がそのウラ、2点を追加しリードを広げました。

今朝丸投手は9回も3人で抑え、報徳学園が大阪桐蔭に4対1で勝ち、準優勝した去年に続いて2年連続でベスト4に進みました。

大阪桐蔭は、5回からリリーフした2人目の南陽人投手が3イニングを無失点に抑えて流れを呼び込み、8回には2番の吉田翔輝選手のタイムリーヒットで1点を返しましたが、そのウラに守りのミスが重なり、再び突き放されました。

《報徳学園 監督・選手談話》

大角健二監督「リベンジが果たせてよかった」

報徳学園の大角健二監督は「大阪桐蔭は近畿大会では負けた相手だったのでリベンジが果たせてよかったです」と喜びをかみしめていました。

また、完投した今朝丸裕喜投手について「勝負どころでギアを上げて勝てるピッチャーになりました」と話し、「8回は1点差になりましたが、守備が粘り強く頑張って勝ち切ることができました。これがうちの野球です」と試合を振り返りました。

そして「スタンドからの応援が力になっているのでこのまま、勝ち切りたいです」と準決勝に向けた意気込みを話しました。

今朝丸裕喜投手「キャッチャーと相談した作戦で勝ててよかった」

報徳学園の今朝丸裕喜投手は、5安打1失点で完投した28日の試合について「キャッチャーと相談してインコースで攻める作戦をとった結果、相手の強打者に勝つことができたのでよかったです」と話しました。

5つの三振を奪ったことについては「ストレートで空振り三振を奪った時は本当に気持ちよかったです」と笑顔を見せました。

準決勝で千葉の中央学院と対戦することについて「きょうの試合に勝って、少し日本一に近づいた気がします。中央学院は強いですが、一戦必勝で頑張りたいと思います」と意気込んでいました。

今朝丸裕喜投手 インコースを攻める強気なピッチング

報徳学園の今朝丸裕喜投手が徹底的にインコースを攻める強気なピッチングで大阪桐蔭の中軸を封じ込め「最後まで投げきることができた」と充実した表情を見せました。

今朝丸投手は、ストレートの最速が150キロを超える今大会注目のピッチャーの1人ですが、28日の準々決勝で対戦した大阪桐蔭には特別な思いを持っていました。

去年秋の近畿大会の準々決勝で対戦し、甘く入ったストレートを次々と捉えられ打たれたヒットは10本、4失点を喫し、敗れていたからです。

対戦が決まった昨夜から再戦のマウンドに向けて、意識したのが大阪桐蔭の中軸に対して、徹底的にインコースを攻めることでした。

特に近畿大会でヒット3本を打たれ、「特に警戒していた」という大阪桐蔭の4番、ラマル ギービン ラタナヤケ選手との勝負にその強い意志が表れていました。

まずは1回、2アウト二塁のピンチで迎えた最初の対戦では初球からインコースに2球続けて投げ込み、その後、デッドボールにはなりましたが、ラマル選手も「秋よりボールに強さがあり、詰まらされるのが嫌だった」と振り返るほどインコースを意識させました。

4回の2回目の対戦では、甘く入った変化球をあとひと伸びでホームランという大きなセンターフライにされ、バッテリーを組むキャッチャーの徳田拓朗選手とインコースを攻めることを改めて確認していたといいます。

圧巻は6回、2アウト三塁で迎えた3回目の対戦でした。

ホームランを打たれれば、同点という場面でしたが、ラマル選手の懐に構える徳田選手のミットに向かって3球続けてインコースに投げ込み、ツーボールワンストライクに。

4球目も137キロのストレートをひざ元に投げきり、ラマル選手を窮屈なスイングで完全に詰まらせて、ショートゴロに打ち取り、ピンチをしのぎました。

今朝丸投手は、この試合で5本のヒットを打たれましたが、警戒していた3番から5番までの中軸は11打数ノーヒットと完璧に封じ込めて仕事をさせませんでした。

高校の先輩でもある大阪桐蔭の西谷浩一監督も「プレッシャーのかかる大事な場面で投げきる精神面が特に成長していた」と舌を巻くピッチングでした。

試合後、人生で初めてというテレビの中継インタビューを受けて「甲子園のマウンドより緊張しました」とはにかんだ今朝丸投手。

その表情とは正反対の、強気なピッチングで「一番の山場」と位置づけていたライバルとの対戦で去年秋の雪辱を果たしました。

徳田拓朗選手「投手 1回戦より気持ちが乗っていたように感じる」

報徳学園のキャッチャー、徳田拓朗選手は、28日の試合でバッテリーを組んだ今朝丸裕喜投手について「最初から最後まで調子がよく、1回戦で登板したときよりも気持ちが乗っていたように感じます」と試合を振り返りました。

また8回の1点差に迫られなおも2アウト一塁の場面で相手の俊足ランナーの盗塁を阻止したシーンについて「足が速いことは分かっていたので、いつ走ってきてもいいように待っていました。肩の強さも見せることができました」と話しました。

《大阪桐蔭 監督・選手談話》

西谷浩一監督「課題がたくさん見つかった」

大阪桐蔭の西谷浩一監督は「報徳学園は粘り強いチームだったので、粘って勝ちたいところだった。投手陣を含めてどれだけきっちりとしたディフェンスができるか。また、相手の投手がよくて、苦しかったとしてもどれだけ粘り強く攻撃していけるのか、そうした課題がたくさん見つかった」と敗因を分析していました。

そのうえで、大阪桐蔭の打線を5安打1失点に抑えた報徳学園の今朝丸裕喜投手について「秋に対戦した時と比べても数段よくなっていた。プレッシャーのかかる大事な場面であっても速球と変化球を投げきる精神面が特にレベルアップしていた。1点差に迫る場面もあったが、そういう場面でこのレベルのピッチャーを打たないと甲子園では勝ち上がれない」とたたえました。

そのうえで「選手たちにはこの大会で甲子園の歴代最多勝利の監督にしてもらったが、日本一にはなれないとわかったので、苦しい場面でも勝ちきれるよう夏に備えたい」と前を向いていました。

ラマル ギービン ラタナヤケ選手「相手の方が上だと感じた」

大会屈指の打者で、2年の夏から4番を任されるラマル ギービン ラタナヤケ選手は「報徳学園はチャンスを迎えるとヒットを打ってきて執念を感じました。自分も点差が開いた9回、ストライクゾーンに入ってきたボールは全部振っていこうと強い気持ちで臨みましたが、強い速球が来ると読んでいても対応しきることができず、相手の方が上だと感じました」と試合を振り返りました。

そのうえで、今朝丸裕喜投手については「力を入れた速球が強くて、インコースも狙われましたが、どれもいいボールばかりで非常に厳しかったです。投げられたボール全部がベストボールということはありえないので、球種やコースを絞らずに甘いボールを狙っていましたが、僕の実力が足りませんでした」と悔しそうに話していました。

そのうえで、夏の大会に向けて「ここぞという場面で、1本を打つことができる、チームから頼られるバッターになりたいです。そのためにもっと芯で捉える技術を上げて夏はリベンジしたいです」と成長を誓っていました。