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科学
2019.09.24
練習ではうまくできたのに本番では緊張して失敗してしまうときの脳内のメカニズムを、情報通信研究機構などの研究グループが解明しました。
実験では、脳に刺激を与えて失敗を防ぐこともでき、運動や演奏の際に緊張を抑える方法への応用が期待されます。
研究を行ったのは、大阪・吹田市にある情報通信研究機構脳情報通信融合研究センターなどの研究グループです。
スポーツや楽器の演奏などは動作を部分ごとに練習してつなぎ合わせることで無意識でも動けるようになり、本番で失敗するのは、緊張で意識するために、動作のつながりが悪くなるためと考えられています。
研究グループはこのメカニズムを解明しようと、タッチパネルに10個のマークを決まった順番で表示し、間違えないように触る実験を行いました。
実験の参加者は10個のマークの表示をまとめて練習するグループと、4個と6個に分けて練習するグループに分かれ、最後に、失敗すると電気刺激を受ける本番にのぞみました。
その結果、マークを分けて練習したグループは切れ目の部分で失敗しやすくなりそのときの脳の働きを調べると認知制御を司る前頭葉の一部が活性化していることがわかりました。
この部分に電流で刺激を与えて活動を抑えたところ、失敗する確率が下がったということです。
研究グループの春野雅彦研究マネージャーは「実際の演奏やスポーツでのデータも集めて研究し、失敗を抑える効果が長もちさせる方法も探りたい」と話し、運動や音楽演奏の際に緊張を抑える方法への応用が期待されます。
※掲載された論文はこちらから(※NHKサイトを離れます)
https://www.nature.com/articles/s41467-019-12205-6