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医療
2019.11.14
温暖化に伴って世界の農作物の収穫が可能な量の減少や、感染症の拡大が懸念されることから、子どもの健康へのリスクが、さらに拡大するとした報告書を、気候変動の研究者などでつくるグループがまとめました。
イギリスの医学雑誌「ランセット」は、地球温暖化が人々の健康や生活に与える影響を分析した、ことしの報告書「ランセット・カウントダウン」を13日公表しました。
それによりますと、平均気温の上昇に合わせて主食のトウモロコシや麦、米などの農作物の収穫可能な量は、1980年からの30年間で3%から6%減少していて、このまま温暖化が進めば、途上国の子どもたちを中心に、栄養不足が深刻になるとしています。
また、気温の上昇にともなって蚊が媒介する感染症であるデング熱や、下痢を引き起こす病原体に感染しやすくなっていることが分かり、温暖化で子どもの健康へのリスクが高まると警告しています。
さらに、世界各地で起きている山火事については、危険にさらされた人の数が、152か国で増えていることが分かったとしています。
報告書は「温暖化の被害を最も受けるのは、いま世界で対策を訴えて声を上げている若い世代だ」と指摘し、世界各国がパリ協定にそって温室効果ガスの排出を削減することや、各国が健康被害への対策を強化することを呼びかけています。
※掲載された論文はこちらから(※NHKサイトを離れます)
https://doi.org/10.1016/S0140-6736(19)32596-6