気候変動による海面の上昇によって影響を受ける人の数は、これまでの想定の3倍に上る可能性があることが、アメリカの団体のシミュレーションで明らかになり、専門家は「私たちが生きているうちに、都市や経済のありかたに大きな影響を与える可能性がある」と警告しています。

今月29日付けのイギリスの科学雑誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された論文によりますと、気候変動の研究者が参加するアメリカのNPOはAIの開発などに使われる「機械学習」を応用してこれまでのシミュレーションの精度を高める新たな手法を開発しました。

この手法を使って世界135か国のデータに基づき、気候変動に伴う海面上昇の影響を再検討したところ、2050年までに水没するなどの影響を受ける可能性がある海沿いの地域の人口は、古いシミュレーションモデルによる想定のおよそ3倍になったということです。
中でも、アジア地域での影響が大きく、仮に温室効果ガスの排出量がおおよそパリ協定で目標としたレベルに削減されたとしても、現在、2億3700万人が住む地域が定期的に洪水に見舞われるとしています。
このうち、中国ではこれまでの想定の3.2倍にあたる9300万人、バングラデシュでは8.4倍の4200万人、インドでは7.2倍の3600万人が影響を受けるとしています。
中でも、アジア地域での影響が大きく、仮に温室効果ガスの排出量がおおよそパリ協定で目標としたレベルに削減されたとしても、現在、2億3700万人が住む地域が定期的に洪水に見舞われるとしています。
このうち、中国ではこれまでの想定の3.2倍にあたる9300万人、バングラデシュでは8.4倍の4200万人、インドでは7.2倍の3600万人が影響を受けるとしています。

また、日本はこれまでのシミュレーションより70万人多い530万人が影響を受けるとしています。

論文の著者のスコット・カルプ博士は「私たちが生きているうちに、気候変動が都市や経済のありかたに大きな影響を与える可能性がある。各国は、住民を守るため、沿岸部の水害対策を絶えず迫られることになる」と指摘しています。
※掲載された論文はこちらから(※NHKサイトを離れます)
https://www.nature.com/articles/s41467-019-12808-z
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