就活ニュース

ロッチと子羊 ~就活生大特集~ 「自信がなくてガクチカが書けない!」

2023年01月17日

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ロッチのお二人が悩める人々を救うお悩み相談番組「ロッチと子羊」。山口大学の小川仁志教授に世界の有名哲学者の考えを伝授してもらいながら、解決の糸口を探します。

この日、二人のもとを訪れたのは、「ガクチカ=学生時代に力を入れてきたこと」が書けないと悩む就活生です。

※この記事は、1月5日(木)にEテレで放送された「ロッチと子羊」の一部を編集したものです。

アルバイトの経験が書けない…

失礼します。

大学3年生
新井千尋さん

ロッチ
コカドさん

さっそく、お悩みをお聞きしてもいいですか?

自分に自信がなくて「ガクチカ」が書けないんです。

都内の大学に通う3年生の新井千尋さん

書くとしたらどういうことを?

家電量販店でアルバイトをしていて。

いいガクチカじゃないですか?

でも、そのアルバイトを頑張るあまり単位を落としたりしてしまったんです。

なるほど、だから、アルバイトをマイナスの経験だと思ってるってことですか。

そうです。

ロッチ
中岡さん

そういうネガティブな部分も見せちゃうとかどうですか。

中岡君の場合は、このままの僕を採用してくださいっていうタイプやから。バイトの履歴書とか書く時もね。

それで、8回連続バイトの面接落ちたんですよ。

ただ、9回目に受かったそのバイトは続きますからね。

そういう中岡君を採用してるから、向こうからしたら文句もないし。こういう考えもありますけどどうですか?

ええ??あ…就活にいかそうと思います(笑)。

コ・中

(笑)

すべては「外的な力」のせい?

哲学者
小川教授

いい議論してますね!哲学者の小川仁志です。

バイトがマイナスの経験になってしまったと思えてガクチカに書けないということですよね。

哲学者・山口大学国際総合科学部教授。京都大学法学部卒、名古屋市立大学大学院博士後期課程修了。博士(人間文化)。専門は公共哲学。商社マン、フリーター、公務員を経た異色の経歴の持ち主。著書は『ジブリアニメで哲学する』『子どもテツガク』をはじめ100冊以上。

はい。

過去の失敗をネタにするっていうのは、芸人さんだったら良いですよね。

そのやり方は、自分の過去を深刻に捉えすぎないという方法論でもあると思うんです。

実は、ある有名な思想家がそんな方法論を教えてくれています。

19世紀にアメリカで活躍したマーク・トウェインです。

「能力不足ではない」とありますが、なんでなのかが気になります。

「外的な力」を理解していただくと分かるんじゃないかなと思います。

同じ性能のパソコンAとB。
Aは涼しいオフィスで使われ、Bは暑い屋外で使われました。
Bは熱暴走を起こしてAより性能が落ちてしまいました。

さてこれはBのパソコンのせいでしょうか?

パソコンのせいではなくてまわりの環境のせいじゃないかと思います。

そうですよね。

その環境のことをマーク・トウェインは「外的な力」と呼んだんです。

マーク・トウェインは人の優劣や能力もその人の努力や才能ではなく、この外的な力で決まると言っています。

例えば、ロッチさんが芸人として成功したのは、全てが自分達の努力の成果ですか?

いえいえ、運です。

これはもう言い切ります!運です!

つまり、いろいろなことが影響して、外的な力が働いてっていう。

ほぼそうですよね。

ネガティブなできごとも全く同じだと思うんですよ。

あえて周りのせいにしよう!

私達、幼い頃から「周りのせいにしてはいけません」って言われ続けてきたじゃないですか。

その逆、自分が楽になる「ナイス言い訳」を考えてみてください。

新井さんがマイナスだと捉えているアルバイトについて、もう一度考えてみましょう。

では、なぜ学業が疎かになってしまったのでしょうか?

アルバイト先が楽しすぎたせいです。

じゃあそのアルバイトがそんなに楽しかったのは何故なのかを教えてください。

接客のアルバイトなので、色んな方とお話が出来て、自分の学んだことをすぐいかせて、実際に感謝してもらえたり。

ただお金がほしいだけの人だったらそんな風には思わないですよね。

そういう考え方になるのは多分、新井さんの生まれつきの性格とかが影響しています。

でもがんばってそんな性格になった訳じゃないですよね。

はい。

そういうことなんですよ。不可抗力のものを自分のせいにして悩む必要ないんですよ。

そんな気がしてきませんか?

してきました。

素直やな~。

大事なのは形ではなく満足感

さらに注目したいのは、そこで新井さんがどんな心の体験をしたかということです。

マーク・トゥエインも「人間は必ず心の満足に向かう」と言っていますよ。

確かに、アルバイトの経験そのものについては満足しています。

楽しくてやっていたことなので。

大事なのは、「何をやってきたか」ではなくて「どうやってきたのか」。どう心の満足があったのかっていう部分だと思います。

確かに。

新井さんのアルバイトの話は、接客が好きなんだというのがすごい伝わってきたから。

部活でもバイトでも、その形が重要なわけじゃないんですよ。

そのような気がしてきました。

じゃあ、新井さんが心からそう思えたかどうか、最後にもう一度確認しましょう。

ポイントは、新井さんが当時置かれた状況じゃなくて、当時の心の満足ね。

アルバイトを通じて、何か発見できたことはありましたか?

自分は、製品やサービスの良い所だけを伝えるんじゃなくて、あえてデメリットを含めて正直に伝えることを心がけていました。

その方法だと売り上げがちょっと下がっちゃうんじゃないですか?

私もそう思ってはいたんですけど、意外と売り上げが伸びて目標を達成することができて。

この人だったらしっかり悪い所も教えてくれるから信頼してみようと思ってもらえて、それが売り上げに結び付いたのかなと。

話を聞いてると、結局、新井さんは正直ベースの方が信頼を生むっていうことをアルバイト先で学び取ったっていうことですよ。

それはもう「新井哲学」と言って良いんじゃないですか。

出ました!「新井哲学」。

どうでした?いろいろ話してみて。何か順を追って騙された感じになってますよ(笑)。

いやいや(笑)。

自分の意思で過去を選んできたっていう組み立て方しかしたことがなかったので、参考になりました。

複数の外的な要因によって自分の過去があって、その中で得てきたものがあったんだから、アルバイトの経験は自分にとって全然マイナスのものではないなと思いました。

自信持てましたか?面接頑張れそうですか?

持てました!頑張れます。

ありがとうございます。

「ロッチと子羊」 (Eテレ 木曜20:00~)
ロッチのお二人が悩める人々を救うお悩み相談番組。山口大学の小川仁志教授に世界の有名哲学者の考えを伝授してもらいながら、解決のヒントを探します。

次回は、仕事選びに悩む男子学生がロッチの2人のもとを訪れます。

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